【テキストまとめ】ホストに貢ぐ女・前編

ホストクラブで味わう非現実感

【山里】ホストさんにそういうふうに言われてどういう気持ちになるわけ？
【カヨ】あぁ私やっぱ男好きだなって思った(笑)。
【ＹＯＵ】そういう言葉だけででも、ホルモン出ちゃうんだよね。
【山里】そっかー。一度ね、閉じた扉がまた開いた。
【カヨ】もう全開でしたね。よみがえりました、何かいろいろ。
【山里】そういう鍵持ってんのね、ホストって。
【カヨ】やっぱり現実社会では見られない夢があるし、この非現実感がすごいめちゃくちゃ楽しいんですよ。

【ＹＯＵ】そうだよな。

【山里】そっかぁ、それからもう行くようになっちゃった。

ホストクラブの客はみな“エース”をめざす

【山里】いやでもだからって、そこまでの大金をホストに貢げるっていうのは、まだ納得いかないんすよね。
【ＹＯＵ】そうっすねぇ。
【ミズキ】なんかその。ホストに通ってる女の子たちって、基本的にはみんなエースを目指すところがあって。

【山里】おぉーそう。
【ミズキ】ホストってやっぱり売り上げ制なんで、やっぱりお金をたくさん使ってくれる子が当たり前に大事にされるんですよ。同じ時間で同じホストを指名してる女の子が５人いたときに、お金を使う順にやっぱり時間を長くその卓に付くんですよ。
【山里】そうか。
【ミズキ】エースになることによって・・・。
【山里】大事にしてもらえるんだ。
【ミズキ】圧倒的な大事にされてる感が欲しい。好きで通い詰めてるうちに、やっぱみんなその担当独占したいっていう気持ちがあるから。

エースになって満たされる“承認欲求”

【山里】エースになるためにいくらぐらい使ってたの？
【ミズキ】大体平均で３００～４００万円ぐらい。
【山里】月？
【ミズキ】はい。
【山里】ええっ・・・！
【ＹＯＵ】すげぇな。
【ミズキ】でも
【ミズキ】イベント月はもっとすごくて、担当の誕生日のイベントとかは盛大なバースデーイベントデーというのがあって、そういうのになるとシャンパンタワーとか。
【山里】あぁ見たことあるTVで。
【ミズキ】飾りボトルを入れなきゃいけなくて。
【山里】飾りボトル？
【ミズキ】クリスタルとか
【ＹＯＵ】クリスタル。
【ミズキ】いろいろあるんですけど、それが大体１本100万円プラスTAXみたいな。

【ＹＯＵ】それ銀座より高ぇぞ？
【山里】高い。
【ミズキ】何かシャンパンと違って飲まないんですよ、飾りボトルなんで。
【カヨ】置くだけ。
【ミズキ】飾っとくんですよ。
【山里】えっ。
【ミズキ】入れて置くんですよ、卓に、ボトルネックをつけて。
【ミク】そうそうそう。
【ミズキ】で、クリスタルがあると、あの卓ヤバイみたいな。で、それを自分がキープして３００万とかでポンって入れると、何か次の来店のときとかも、キープボトルだからここに並べてくれるんです。
【山里】あぁなるほど。
【ミズキ】それのために、イベントの月とかに合わせてお金を貯めてシャンパンタワーとか、クリスタルとか入れるんで、多いときはやっぱ８００万円ぐらいかな。
【山里】はぁ・・・すごい、シャンパンタワーってあれお値段どれぐらいするんすか？
【ミズキ】安いので１００万ぐらい、あの小っちゃいので１００万です。
【山里】えっ。
【ミク】見栄え悪い。
【山里】１００万払って見栄えが悪い？
【ミズキ】１００万のタワーだと叩かれるんですよ、担当がかわいそうみたいな。
【山里】え！？
【ミズキ】やっぱり担当に恥をかかせるわけにはいかないんで。エースとしてやっぱりこうプライドもあるんで。
【ミズキ】最初の初回とか数回の指名での数万じゃ全然面白さが分からないと思うんですよ。やっぱ何十万、何百万って使うことによって、周りの人からの対応が変わったりとか、ありがたがられるのが楽しい。だから、やっぱり大金を使っちゃう。

【ＹＯＵ】何かだから、承認欲求じゃないけどさ。
【ミズキ】すごい満たされますね。
【ＹＯＵ】それなんだよね、
【ＹＯＵ】やっぱりきっとね。
【ミズキ】うん。