ウラ話

潜入!東洋動画スタジオ

東洋動画スタジオには、なつが働く仕上課の他にも、作画課、美術課、録音スタジオなどがあり、アニメーション制作に関わるさまざまな人たちが働いています。今回は東洋動画の内部と、そこで働く人々の仕事をご紹介します。

東洋動画スタジオ イメージ配置図

1955年(昭和30年)に設立した東洋動画は3階建て。アニメーターの作業場はもちろん、録音スタジオや撮影スタジオ、資材倉庫なども備えた、日本初の大規模なアニメーションスタジオです。
各部屋ごとに柱のカラーリングが変えてあり、どの部署なのかが一目で分かるようになっています。
十勝編にはあまり登場しなかったカラフルな配色で、「華やかな大都会にある職場」という雰囲気になっています。
※イメージ配置図はスタッフとの意思統一のためのもので、実際に建てるセットとは差異があります。

1階 所長室・製作課・スタジオ:パープル/事務室・会議室:イエロー

1階には、なつ(広瀬すず)が入社試験を受けたときの試験会場となった会議室や、監督(演出)などがいる製作課、撮影したアニメーションに声を入れるための録音スタジオ、昼休みにご飯を食べたり、バレーボールをしたりする憩いの場所の中庭などがあります。
ちなみに、仲(井浦新)が咲太郎(岡田将生)にすごまれて落ちたのは、この中庭にある池です。

2階 作画課:ブルー/美術課:オレンジ

2階には、井戸原(小手伸也)、仲(井浦新)、下山(川島明)、麻子(貫地谷しほり)、堀内(田村健太郎)などがいる作画課や、陽平(犬飼貴丈)がいる美術課があります。作画課に異動した後のなつもここで働いています。

<作画課>

<美術課>

3階 仕上課:ピンク

モモッチ(伊原六花)などがいる仕上課は3階にあります。仕上課にはトレース課と彩色課のほか、仕上の全体をチェックする検査課もあります。

アニメーション制作の流れ 『白蛇姫』の場合

実際にどのような流れで、だれがどんな作業に関わっているのか、ドラマ内に出てきた工程を中心にご紹介します。

  • 企画・取材・脚本

    日本初の総天然色・長編漫画映画製作という、東洋映画・大杉社長(角野卓造)の大号令のもと、東洋動画・山川所長(古屋隆太)を座長に、監督(演出)やプロデューサーが集められ、企画とコンセプトを決めます。しかし、東洋動画にアニメーション経験者はほとんどいなかったので、短編の漫画映画を製作していた新東京動画社を吸収・合併し、仲努、井戸原昇という2人の優秀なアニメーターを招き、彼らが実質的なリーダーとなりました。監督(演出)、脚本家、さらにアニメーターも加わり、具体的なストーリー展開やキャラクターなどを考えていきます。

    木重彦(木下ほうか)映画監督・『白蛇姫』で初めてのアニメーション監督
  • 設定・デザイン・絵コンテ

    取材資料をもとに、キャラクターデザインや、背景などの美術設定を作成します。そして色指定を行い、画面の構図・カメラワーク・テンポなど、作品の演出を決定する絵コンテを作ります。
    また、背景美術とキャラクターを重ねてみた上で、夜や昼、家の中や森などのシーンごとに色を決め、色の指定をします。フィルムで試し撮りもしながら、作品全体のイメージを検討します。

    絵コンテ
  • 作画打ち合わせ

    監督(演出)が絵コンテをもとに原画担当のアニメーターと話し合いを重ね、狙いやコンセプト、色のイメージ、世界観を共有します。“原画”とは、監督(演出)などが書いた絵コンテをもとに描く、動きの基礎となる絵のこと。シーンごとのキャラクターの内面の感情などを原画担当にきちんと伝えるための工程です。
    ※監督(演出)は必ずしも絵を描ける人とは限りません。

  • 原画【作画課】

    原画担当は、監督(演出)のイメージを絵で表現する役割で、人それぞれ得意なジャンルがあり、主に複数名で担当します。元気なシーンや静かなシーンなど、いろいろな人が原画を描くからこそ、おもしろい作品になるのだとか。アニメの世界では、‶原画“とは元になる‶絵”を指すこともあれば、担当する‶人“を指すこともあるので、ちょっとややこしいです。
    さらに、それらの原画を取りまとめ、監督(演出)からの指示通りに直したり、絵柄を統一させてクオリティーを保つ役割の人を“作画監督”といいます。作画監督がチェックしたあとに次の工程へ移ります。「白蛇姫」の時代はまだ、作画監督というポジションは確立せず、‶原画“がその役割を負っています。

    仲 努(井浦 新)原画担当 井戸原 昇(小手伸也)原画担当 原画
  • 動画【作画課】

    原画と原画をつなぐように描かれる“中割り”と呼ばれる絵を“動画”といい、動画の枚数が多ければ多いほど、アニメーションの動きはなめらかなになります。動画を担当する人も“動画”ということがあるので、ご注意ください。そして、原画や動画を描く人はみんなまとめて、アニメーターと呼ばれています。原画担当が描いた絵をきれいな線に整えることを“クリーンナップ”といい、動画の仕事は、まずその作業から始まります。“動画”担当の中でもリーダーとして、みんなをまとめ、“原画”を積極的にサポートする人を“第二原画(セカンド)”と呼びます。

    下山克己(川島 明)原画・動画担当(セカンド) 大沢麻子(貫地谷しほり)原画・動画担当(セカンド) 堀内幸正(田村 健太郎)動画担当 三村 茜(渡辺麻友)新人・動画担当 奥原なつ(広瀬すず)新人・動画担当 動画
  • トレース【仕上課】

    なつが少し前までいた仕上課の仕事は、“トレース”と“彩色(さいしき)”。トレースとは、作画課の人たちが描いた絵を透明なセルロイド(通称「セル」)に書き写すこと。なつがドラマでトレースした「Aフィッシュ(Aと魚)」の絵は、実際に当時のアニメーションの現場で練習用として使われていたものです。初めはきれいにトレースするのが難しいので、Aフィッシュで何度も何度も練習するそうです。

    トレース/トレースの練習用「Aフィッシュ」
  • 彩色(さいしき)【仕上課】

    彩色とは、トレースしたセルロイドに色を塗ること。指定された色を正確に塗っていきます。セルロイドの裏から色を塗り、はみ出したら布などでふいて消すか、乾いてから削り取ります。

    森田桃代(伊原六花)彩色担当
  • 仕上検査【仕上課】

    トレースされた絵やなつたちが塗ったセル画をチェックする仕事です。
    間違えて塗った色やトレースのズレなどをチェックし、最終的に出来上がった絵の品質を管理する重要な仕事です。

    石井富子(梅舟 惟永)仕上検査
  • 背景美術【美術課】★原画のタイミングで同時進行

    建物や風景など、作品の背景を描く人たちを背景美術といい、そのトップは美術監督と呼ばれています。背景美術は建物内部や構図を決めるため、作品の世界観に大きく影響します。背景美術の制作は、原画制作と同時に始まり、仕上課で作業したセル画と美術課で作業した背景画を重ね合わせ、最終的に撮影が行われます。

    山田陽平(犬飼貴丈)背景美術担当
  • 撮影・編集

    セル画と背景画を重ね合わせて、撮影台で撮影して現像に出します。背景画には大きいサイズのものもあり、「白蛇姫」の時代のころは、撮影台のハンドルを手動で回しながら撮影をする場合もあり、繊細で大変な作業でした。

  • 録音

    声優や俳優による声の収録を行い、BGMや効果音なども録音します。

    亀山蘭子(鈴木杏樹)キャラクターの声担当 豊富遊声(山寺宏一)キャラクターの声担当
  • 試写・完成

このように、さまざまな工程で多くの人が関わりながら出来上がるアニメーション。これからなつは、どんなアニメーションに関わっていくのか、作業工程も含めて、お楽しみください!

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