Special コラム  十勝晴れ

【第26回】大地で生きる支え合い

アニメ「大草原の少女ソラ」の制作に、昼夜問わず掛かりっきりで大忙しのなつたち。 25週(9月16日〜21日)の放送では、その大変そうな様子を聞いた泰樹さんが、「なつを助けてやれ」と一言。 富士子さんは上京し、なつを手伝いに行くことになりました。
泰樹さんの口から出る「助けてやれ」という言葉は、やはり重みが違いますね。

厳しい開拓の時代、一人で海を渡り、土地を切り開いた泰樹さん。
家族に限らず、誰もが支え合って、開拓者は強くなったといいます。

「なつぞら」を通して描かれるのは、血のつながりはなくても、家族として受け入れ、お互いに支え合うことの尊さ。
なつも千遥も、それぞれの環境で、そうした人たちの中で生きて強くなったのです。

そんな開拓時代から続く支え合い精神は、今も十勝に深く根づいています。
十勝で暮らす人たちに話を聞くと、昔からの農家さん同士はもちろん、新しく移住した人も、近所の人同士助け合って暮らす様子が見えてきました。

移住して郊外の森の中にお店を建てたTさん。
オープン準備で忙しく、周りの草木の手入れまで手が回らずにいたら、ある日ご近所さんが道具を持って、ヤブになっていた草木を刈って、土を敷いて整地して、お店までのアプローチとなる道を作ってくれました。
「こんなにしてもらって、うちでは何もお礼できなくて申し訳ない」とTさんが言うと、その人は「お礼はこの場所でお店を続けることだけで十分だよ」と返したそうです。

雪の少ない十勝とはいえ、大雪の降った日の除雪は大仕事。
森や畑に近い農村部のおうちでは、近所の農家さんがトラクターで除雪していってくれるという話をよく聞きます。

手作業では大変な雪かき作業も、トラクターで一気に片づけていってくれる頼もしさ。 Kさんは「こうした周囲の人の助けがあるから、この場所で生活していけるんです」と話してくれました。

市街地でも、スコップ片手にご近所同士で声を掛け合いながらの除雪作業は、雪の日ならではの助け合いの風景ですね。

たくさんの野菜が出回る、夏から秋の収穫の頃。
十勝に暮らしていると、おすそ分けの野菜をもらう機会がよくあります。
じゃがいもや枝豆、とうもろこしなど、農家さんから直接もらったり、そのまたおすそ分けが回ってきたり。帰ってくると玄関先に置かれていることも。

収穫の喜びをみんなで分かち合う。
これも開拓時代から自然と受け継がれる習慣ですね。

野菜だけでなく、時には漁師さんから、一匹まるごとの鮭(さけ)のおすそ分けなどもあります。もらった鮭の筋子で、いくらのしょうゆ漬けを手作りするのも、秋ならではのおいしい風物詩です。

厳しい開拓の中で、支え合って強くなってきた十勝の人々。

「なつぞら」12回の放送(4月13日)では、泰樹さんの呼びかけで、天陽くんの畑をみんなで協力し開墾するシーンがありました。
「何年かかっても、ここを豊かな土地に生まれ変わらせる。この荒れ地を、我々の子孫に誇れる美しい我が里の風景に変えるのじゃ」という泰樹さんのセリフは、土に勝ち、自然に打ち勝つ覚悟を持って入植した、開拓者ならではの言葉でした。

優しさや親切心だけでなく、人をあてにするのでも、恩の貸し借りでもなく。
同じ大地でともに生きる仲間として、人々は支え合ってきたのです。

自らの力で生活を切り開いてきた誇りは、今でも十勝の風土に息づいています。

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