Special コラム  十勝晴れ

【第12回】じゃがいも畑の一年

初夏、十勝の畑はにぎやかな季節を迎えます。なかでも一面に花を咲かせるのが、じゃがいも畑。品種によって、紫、ピンク、白など、花の色もさまざまに、畑のパッチワークを淡く彩ります。

「なつぞら」では、満開の花が咲く畑の横を、高校生になったなつが馬に乗って天陽に会いに行く場面が記憶に残っています。実際のじゃがいも畑も、夏にはあのシーン同様に満開の花を咲かせます。
今週11週目の放送では、照男がおみやげにもってきた天陽の畑のじゃがいもに、柴田牧場で作ったバターをつけて食べるシーンがあり、なつも久々に十勝の空気を感じていましたね。

今回は、十勝のじゃがいも畑について、イラストデザイナーYが紹介します。

訪ねたのは、十勝・芽室町でじゃがいもを栽培する、坂東さんの農場。
開拓一世から数えて5代目となる、俊徳(としのり)さんにお話を伺いました。

じゃがいもは、春の種芋植えにはじまり、夏の除草、秋の収穫、そして冬は雪室(ゆきむろ)と呼ばれる雪を入れた貯蔵庫に保存。一年を通して、いろいろな作業があります。収穫の頃は、大きなハーベスター(収穫機)やトラクターが畑を行き交います。

坂東さんの畑で作っているのは、ポテトチップスやフライドポテトなどの加工に向く「トヨシロ」という品種。
十勝にあるポテトチップスをつくる工場へと出荷しています。フライドポテトにしてもおいしいじゃがいもです。

丁寧に管理された坂東さんのじゃがいもは品質がいいと評判で、工場内でも入荷すると歓声が上がるほどなのだそう。
「たいへんだけど、やっぱり収穫するときが一番うれしいですね。じゃがいもは品種や時期によって味がいろいろなので、冬を越して甘さを増したじゃがいもをぜひ味わってほしいです」

坂東さんは、イベントなどで時折、「フライドポテト屋さん」を開いて、じゃがいものおいしさを伝える活動も行っています。

十勝に来てから、私たちもポテトチップスをよく食べるようになりました。お店では、大手メーカーのものから、JAや村などで作っているローカルなものまで、いろいろな種類を見かけます。
出荷用の段ボール箱(12袋ほど入ったもの)のまま買う、ポテトチップスの箱買いも、十勝の人たちの間では日常の光景。
わが家でも、お気に入りはいつも箱でストックしています。

坂東さんの家にも、ポテトチップスのメーカーから「生産者還元」として、箱入りのポテトチップスが送られてくるそうです。


開拓時代から十勝で作られていたじゃがいもですが、当時はほとんどが自家用で、現在のように商品として出荷されるようになったのは、昭和30年代後半のこと。トラクターが普及して、重量のあるじゃがいもを遠くまで運べるようになってからのことなのだそうです。
馬からトラクターへの変化により、畑で作る作物が変わり、十勝の風景も変わっていきました。

痩せた土地でも育つ食料として開拓の人々を支え、今では十勝を代表する作物となったじゃがいも。

ポテトチップス、フライドポテト、じゃがバター…じゃがいも料理を食べるときには、じゃがいも畑の風景もぜひ想像してみてください。

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