Special コラム  十勝晴れ

【第10回】馬が教えてくれる、開拓時代の働き方

馬は、十勝の開拓の暮らしとともにありました。
「なつぞら」の中でも、畑で土を起こしたり、牛乳を運ぶ馬車を引いたりと、さまざまなシーンで馬が登場しています。
9週目では、なつが映画会社の試験で描いた、躍動感のある馬の姿が印象的でしたね。

今回は、馬と十勝の人の関わりについて、イラストデザイナーYが紹介します。

訪ねたのは、「なつぞら」に出演した馬「桃姫(雌11歳)」を育てている、十勝の幕別町にある馬牧場。
桃姫が引く馬車に乗せていただきながら、牧場主の蛭川徹さんにお話を伺いました。 昔ながらの馬車に乗るのははじめての経験でした。

蛭川さんは、泰樹さんが乗る馬車のシーンの“馬車指導”を担当。
馬車を引いた桃姫は、「なつぞら」出演をきっかけに、“女優馬”として地元のイベントなどでも人気を集めています。

蛭川さんは、馬に関わる道具にも興味を持っており、現在では使われていないような古い馬車や馬耕の道具を集めています。

「当時を知っている近所のおじいさんたちが、懐かしがっていろいろ話してくれるんです。これはこう使ったとか、いやいや、そうじゃなかった、とか。農協の修理工場にもまだ当時を知っている人がいて、実際に古い道具を修理してもらったときは、その人もうれしそうでした」

ドラマでは当時の道具を使った馬耕の様子が再現されました。幼い頃のなつたちが、天陽の畑をみんなで開墾するシーンです。出演している馬は同じく桃姫。

トラクターもない時代に、馬と人の力だけで畑を掘り起こす作業。さぞかし力のいる仕事だったのでしょうね…と問いかけたところ、蛭川さんはこう答えてくれました。

「当時は、広い面積を耕すから、一回一回しゃかりきになってやってたら、体力がもたないんですよね。なので、そんなに力を入れず、ただ淡々と、馬も人もゆっくり歩くんです。そうして時間を積み重ねていくと、一日の終わりにはそれなりの面積を耕している、という感じだったらしいです」

雄大な自然と向き合いながら、馬の歩く速さに合わせて、ゆっくりと、着実に。
そうした働き方が、厳しい開拓時代に生きる人々を支えていました。

馬に引かれて揺られながら、力を入れず、馬も人もゆったりと。そんな風に一日の仕事を積み重ねて。

十勝の開拓を支えた当時の人たちの働き方を、昔ながらの馬車に乗ったことで、はじめて体験できたような気がしました。

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