インタビュー

坂場一久役 中川大志さん インタビュー

3人でたわいもない時間を
たくさん過ごした

坂場はコミカルなキャラクターだと思います

『おひさま』(2011年)以来の連続テレビ小説への出演はいかがでしたか?

『おひさま』に出演させていただいたときは12歳で、“朝ドラ”というものの重さも芝居のことも全然わかっていなかったのですが、何年かこの仕事をしてきて、またいつか出たいと思っていた場所でした。まさか、100作目の作品に関われるとは思っていなかったですね。しかもヒロインの夫の役で、そのヒロインがよく知っている広瀬すずさんだなんて、考えてもいなかったです。
本当は撮影が始まる前も、撮影中も怖かったんです。プレッシャーもあったし、撮影に入って1か月以上、「どうしよう、どうしよう」と緊張していました。なにより坂場という役は難しくて、どう伝えたらよいかずっと考えていて、今まで演じた役の中でも一番悩んだキャラクターでした。

-----そんな難しい役の坂場一久(イッキュウさん)を演じて、いかがでしたか?

坂場というキャラクターはつかめているけれど、それをどのように表現していこうかと思っていたんですよね。坂場はコミカルなキャラクターだと思いますが、そこをどこまでやるかという落とし所がすごく難しくて…。坂場の何がコメディーかというと、“自覚のなさ”だと思うんです。本人はうまくできていると思っているけれど、周りからは全くそう見られていない。坂場自身が思っている坂場と、他人が思う坂場とのギャップがこのキャラクターのおもしろさだと思ったので、あまり狙わずに、「坂場は真面目にそう思っている」ということを忘れないように演じました。
坂場は『なつぞら』の登場人物の中でもすごく変化のあるキャラクターでしたね。これだけ一人の人間の人生を長く演じることはないので、その過程を表現していくことは、朝ドラならではだと思いました。一人の人間を成長させて変化を作っていく過程はとても楽しかったです。

きっと、なつも坂場も不器用な人

なつ(広瀬すず)のどこにひかれたと思いますか?

最初は2人とも純粋にアニメーションに向かっていたと思います。同じ方向を進んできて、そこには困難も苦悩もあって、そして気付いたらずっと隣にいた。「もしかしてこの人がいなかったら、ここまでの自分がなかったのではないか、そしてこの人がいないと、この先、自分は進んでいけないんじゃないか」と坂場は感じたのだと思います。

同じ方向を見ていたからこそ、坂場がむちゃくちゃなことを言っても、なつは一生懸命それに応えようとしてくれた。そして、時には坂場も想像がつかないような発想がなつから飛び出す。純粋になつのアニメーターとしての発想力やエネルギーにすごくひかれていたのだと思います。あまり恋愛的な部分はドラマでは描かれていませんが、きっとなつも坂場も不器用な人。自分の気持ちに気付いていたけれど、ごまかして仕事と結びつけちゃって(笑)。2人とも似た部分があるんじゃないかと思います。

「こんな顔してたんだ」と思いました

なつと結婚し、子どもが生まれてパパになりましたね?

結婚する前までは「イッキュウさんはやめておいたほうがいい」というような世間の皆さまからの声が僕の耳にも…(笑)。でも、そういうキャラクターがどこまで成長して変化するかを演じられるのがおもしろいと思っていたので、 “やめておいたほうがいいヤツ”がどこまで変わるかを楽しく演じました。

子育てのシーンは楽しかったです。まさかこの年でそんな役をやるとは思っていなかったので、とても新鮮でした。僕は子どもが大好きなので、子役ちゃんたちとの共演を楽しみにしていて、疑似体験ではありますが、「もし自分の子どもが生まれたら、こんな気持ちが芽生えるのかな」と想像してみたりしました。なっちゃんが子どもを産んで、その赤ちゃんを病院で初めて抱っこしたとき、重みを感じてなんか心が動いたんです。本番後にカメラチェックをして「こんな顔してたんだ」と思いました。子どもたちに引き出されていた顔があるのだと感じています。

-----二人の夫婦関係というのはどうですか?

なぜ子育てやなつの仕事に対してあそこまで協力的になれたかというと、なつにプロポーズをしたときから、坂場は覚悟を決めているんです。それは登場したころの坂場とは全然違う坂場なんですよね。
なつのアニメーションに向かう気持ちとか才能を見てきて、彼女が作るアニメーションを一番楽しみにしているのが坂場。誰よりもなつの力をわかっていて、絶対に犠牲にしてほしくないというのが坂場の思いです。坂場もアニメーションの現場にいたから大変さがわかっているので、なつの背中を素直に押せるのだと思います。

すごく信頼しているので、最後まで安心感がありました

広瀬すずさんとの夫婦役はいかがでしたか?

広瀬さんは中学生くらいから知っていて、同じ年代の人たちの中でとても尊敬する人です。僕は『なつぞら』が中盤にさしかかったくらいからの参加だったので、「広瀬さん、どのくらいこたえているのかな?」と思って現場に入ったのですが、ピンピンしていてびっくりしました(笑)。ヒロインとして真ん中に立っている存在感もすごいし、共演者の方たちとのコミュニケーションについても、広瀬さんが中心になって引っ張っているなと思いました。

なつと結婚後、坂場家のセットが立ったあたりから一気に2人だけのシーンが増えて、より話す時間も増えました。全然関係ない話とか、くだらない会話しかしていないですけどね(笑)。子どもができてからは、優役の増田光桜ちゃんを交えて3人でたわいもない時間をたくさん過ごして、本当に夫婦ってこういう感じになっていくのかなと思いました。撮影の合間に広瀬さんと「こうしていこう」みたいなディスカッションはしていませんが、前から仕事も一緒にしてきて、どういう性格の人かわかっていますし、本当にすごく信頼しているので、最後まで安心感がありました。

BACK NUMBER インタビュー