インタビュー

山田タミ役 小林綾子さん インタビュー

タミにとって天陽は
ずっと自慢の息子だったと思います

今回はお互いが母役で、とてもうれしい再会でした

『おしん』(1983年放送)から36年ぶりの連続テレビ小説ご出演になりましたが、初めに聞いたときはどんなお気持ちでしたか?

「えー!本当に出られるの?」と思いました。『おしん』のあと、大人になってからまた出られる機会があったらいいなとずっと思っていたので、本当にうれしかったです。私は朝ドラから本格的に俳優としてのお仕事を始めたので、時間のあるときはいつも朝ドラのことを気にして見ていました。とっても愛着があり、私にとっては特別で大切なものが“朝ドラ”なので、こういう機会が巡ってくるなんて、幸せだなと感じました。

-----過去のヒロインの方々もたくさん出演していますもんね。

松嶋菜々子さんと岩崎ひろみさんと待ち時間で一緒になるタイミングがあって、「自分がヒロインのときはどうだったか」という話をしたりして、楽しかったです。それとうれしいことに、仙道敦子さんと『おしん』以来、久しぶりにお会いしたんです。『おしん』のときは、大人の中に子どもが1人という状況で撮影が続いていたので、年の近い仙道さんが途中で加わって、とてもうれしかったことを覚えてるんですよ。仙道さんはお姉ちゃんのような存在で、空いている時間に私が仙道さんにすごい勢いで話をしていた記憶があったんです。今回はお互いが母親役で、同じシーンの撮影もあり、とてもうれしい再会でした。

『おしん』の家とそっくりなんです

台本を読んでいかがでしたか?

北海道が舞台と聞いて、「北の方にご縁があるのだな」と思いました。北海道の自然の雄大さというのは、日本の中で誇れるものだと思いますので、そこを舞台にした100作目がどんなドラマになるのかなと純粋に思いました。台本を読むと、雪のシーンがあったり、夏の青空の中で酪農の仕事をしているシーンがあったりして、すてきな絵が浮かんでくるようで、ずっとワクワクしながら読んでいました。初めて山田家のセットを見たときは、囲炉裏(いろり)があってそこで炭で火をたいて、畳ではなく掘っ立て小屋に土間があって、「あれ?懐かしい感じがするのはなぜ?」と思ったら、『おしん』の家とそっくりなんです。なんかホッとしてしまいました。

-----夫役の戸次重幸さんの印象は?

とても気さくで楽しい方ですが、役をいろいろ研究していらっしゃるように感じますし、とにかく真剣にお芝居に取り組む方だと思います。北海道出身の戸次さんは北海道弁がわかるので、私がセリフを練習していると教えてくださって、とても心強かったです。山田家は東京から来た家族なので、最初はあまり北海道弁を使わなかったのですが、回を重ねるごとになるべく北海道弁を使うように心がけてみたら、戸次さんも「僕も変えよう」と言ってくださって、一緒にそのようにしていました。
戸次さん演じる山田正治については、ご本人より少し堅い感じに見えるかもしれないですね。

なっちゃんの夢も応援してあげたいと思ったはずです

なつ(広瀬すず)と天陽(吉沢亮)の関係についてはどのように思いますか?

なっちゃんは小さいころから山田家に遊びに来ていましたし、息子の天陽と仲がいいのもよくわかっていて、2人のことは温かく見守りながら過ごしていたと思います。母として天陽のことを考えると、なっちゃんと一緒になってくれたらうれしいと純粋にずっと思っていたでしょうけれど、彼女が東京へ行くという話になったとき、なっちゃんの夢も応援してあげたいとタミは思ったはずです。長男の陽平が東京の美大に進学したので、母として本当は天陽もそうさせてあげたかったと思うんです。だけど家庭の事情があり、お金もない状況なので、離れることができなかったわけですよね。
第10週で「覚悟を決めなさい」とタミが天陽に言ったのは、それくらい言ってあげないと天陽もなっちゃんに対する気持ちがずっと揺らいでいたのかもしれないという母としての思いから。タミはなっちゃんと初めて出会ったときからずっと2人を見守っていて、それぞれを応援していたという感じでしょうね。

優しい天陽が残ってくれた

タミはこの物語の中でどんな役割だと思いますか?

一番大きいのは、ヒロイン・なつの憧れであり、彼女の人生に大きな影響を与えた天陽を育てた親というところだと思います。山田家の生活を考えると、絵を描くことを応援するというのは、勇気のいることだったと思うんですよね。だから兄の陽平を東京の美大に行かせてあげたのは大きな決断だったと思います。天陽はあれだけの絵を描く才能を持っているわけですから、親として本当は絵を描く仕事に進んでほしいと思っていたでしょうけれど、兄弟のどちらも東京に行くと生活ができなくなってしまうので、息子のどちらかには残ってほしいと、なんとなく諭しながら育ててきたのだと感じています。そして優しい天陽が残ってくれた。優しくて絵の才能もあり、その才能も認められて、靖枝(大原櫻子)というかわいくて働き者の奥さんまでもらって、孫とも一緒に暮らせている。タミにとって天陽はずっと自慢の息子だったと思います。

早すぎる天陽の死は、あまりにも衝撃的でした。私たち家族にとって一生消えることのない深い悲しみですが、あの笑顔、優しさ、家族や十勝を心から愛してくれたその魂は、北海道の大地とともに、いつまでも私たちの心の中に生きていると思います。

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