インタビュー

奥原咲太郎役 岡田将生さん インタビュー

一瞬一瞬を生きることが芝居だと、
目の前で見せてもらっている

長い時間をかけて皆で作っていく作品に
憧れている自分がいた

“朝ドラ”に対してはどのような印象をお持ちでしたか?

いろいろな方からお話を聞いたりして、本当に撮影が大変だというのが一番の印象でした。ただドラマのチームとしては、家族のように長い時間をかけて皆で作っていく作品だと思うので、そういうところにちょっと憧れている自分がいたんです。他の作品は3か月とか、短いと1か月で終わってしまう作品もあって、皆が打ち解けた頃には撮影が終わってしまうので、「もっと同じメンバーで長くできたらいいのに」という思いがあって、以前から朝ドラをやってみたいと思っていたんです。朝ドラの撮影は一緒にいる期間が長いので、スタッフさんがやりたいこととキャストがやりたいことがどんどんマッチしていくんです。そういう瞬間が増えていくのがすごく楽しくて、ディスカッションしていくといろんなアイデアが出てくるし、「こうしたい」という思いも出てくるので、長い期間を共に過ごすというのはすごくいいなって思っています。

ダメな兄貴だと世間で言われていたようで…
落ち込みました

咲太郎という人物像についてはどう思われますか?

咲太郎は最初、ダメな兄貴だと世間で言われていたようで…ちょっと落ち込みました。僕も「もうちょっとちゃんとしろよ〜」と思っていましたし(笑)。
咲太郎は自分とは真逆のタイプで、役柄的にも咲太郎のように人を巻き込んでいく役はやったことがなくて、どちらかというと巻き込まれるタイプの役が多いので、最初は戸惑いました。求められていることを一生懸命演じていくうちに、「咲太郎ってかわいいな」と思うようになりました。この人にお願いされるとどうしても手伝いたくなってしまう人。咲太郎はそういう人なんじゃないかなと思いますね。

人は生きていく中でどこか我慢してしまうところがあるじゃないですか。でも咲太郎は我慢せずにまず行動して、そのあと立ち止まって思考する。面倒くさい男だと思う人もいるかもしれないですけど、とても人間的ですてきなことだと思うんです。
咲太郎は自分ではなく他人のために生きている人で、僕もそうありたいと思っていますが、やっぱりどこか自分中心で回っているところがあり、まず人のことを考える咲太郎の生き方はすごく興味深いです。今回は、演じるときにまず他人の気持ちを考えて、相手が動きやすいように意識してお芝居するように心がけているので、演じるのがどんどん楽しくなってきています。

“男気があるお芝居”もされる方

広瀬すずさんと兄と妹を演じるうえで意識したことは?

広瀬さんが出演している作品を拝見してすごくすてきな女優さんだと思い、共演してみたい気持ちがずっとありました。現場で広瀬さんと一緒にいると、どんどん役と自分がリンクしていくというか、役に自分が近づいていくというか…。自然とお兄ちゃんになります。ドラマでは幼いときに別れて再会するところから始まるので、絶対的に一番の存在という思いがより一層強く、現場でもなるべく一緒にいるように心がけていました。広瀬さんに対しては、「大丈夫かな?」とか「疲れてないかな?」と、どこかお兄ちゃん目線で見ている自分がいます。

-----広瀬さんとはとても仲良くお話しているのを見かけますが、実際に一緒に撮影をしていかがですか?

イメージ通り元気でフラットな方でした。お芝居を見ていても集中力が高くて瞬発力がすごい。“広瀬すず”なのか、それとも“なつ”なのか、境目がわからないです。それは演じるうえですごくいいことだと思うし、勉強になります。広瀬さんは、細かいところまで考えていますし、一方で何も考えないで突っ走って演じるシーンもあって、女性的な面はもちろんありますけども、“男気があるお芝居”もされる方なので、とても刺激を受けます。
でも、思っていた以上に人見知りな子でした(笑)。僕も人見知りなので、人見知りの人ってわかるんですよ。「人見知り?」と広瀬さんに言ったら 「なんでわかったんですか」って。長い期間、一緒にお芝居するので、人見知り同士、心を開いていろんな表情をお互いに引き出していければいいなと思っています。

実際に台本を読んだときには寂しくて寂しくて…

咲太郎にとって特別な存在の亜矢美さん役・山口智子さんについては?

山口智子さんは大先輩で、しかも初共演なのですが、そんな壁も全く感じることなく接してくださって、すごくオープンに本当に楽しんでお芝居されている印象です。改めて「お芝居って自由なんだ」と現場で教えてくれる方。どうしても「この役はこういう方向性」と1つに固めてしまう自分がいるのですが、山口さんを見ていると、一瞬一瞬を生きることが芝居だと、目の前で見せてもらっている気がします。一緒のシーンはすごく楽しくて、あまり固めずにフラットな状態で演じた方がいいと、最近よく感じています。

咲太郎は亜矢美さんを母ちゃんと呼ぶことで、母ちゃんの存在を確認している。母ちゃんを感じたいと愛に飢えているところがあるのかなと僕は感じています。幼いころ咲太郎を拾って育ててくれて、母ちゃんの夢を追いかけながら咲太郎は必死に生きてきて、お互いの存在が心の支えであった2人。だから、母ちゃんが去る話の展開についてはなんとなく聞いていたのですが、実際に台本を読んだときは寂しくて寂しくて…シーンを演じるのもつらかったです。
千遥(清原果耶)に会えなかったシーンのときに胸がキューッと締めつけられて、そのシーンを撮影するのも嫌だったのですが、そのときと同じ感覚でした。

-----山口智子さんとのエピソードはありますか?

『なつぞら』の撮影中に、公演していた僕の舞台を山口さんが見に来て下さったんです。そのとき山口さんに向けて出た僕の第一声が「山口さん!」じゃなくて「母ちゃん!」だったんです。山口さんも“亜矢美母ちゃんらしいこと”を言ってサッと帰っていくから「待ってよ、母ちゃ〜〜〜ん」みたいな(笑)。そのとき、舞台で全く違う役を演じていたのに、完璧に咲太郎に戻っていたんですよね。それくらい朝ドラで演じる役の影響力はすごいと感じた瞬間でしたね。

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