インタビュー

大沢麻子役 貫地谷しほりさん インタビュー

今の年齢でちょうどいい役に出会えた気がしています

大森寿美男さんの世界にもう一度入れる

今回のオファーにはどのような気持ちで臨まれましたか?

私は『なつぞら』と同じ脚本家の大森寿美男さんが書いた大河ドラマ『風林火山』に出演させていただいたとき、ドラマ・オリジナルの役を演じたのですが、とても反響があり、本当に大好きな役だったんです。だから、今回も大森さんの世界にもう一度入れると思い、うれしかったです。個人的には次に朝ドラに出るときには、お母さん役をやりたいという漠然とした思いがあったのですが、そうなるとあと10年はできないと思っていましたからね。『なつぞら』は朝ドラ100作目という記念の作品でもあるので、出演するのがすごく楽しみでした。

当時の私もこんな感じだったのかと思いました。

広瀬すずさんとよくお話をしている姿を見かけますが印象はいかがですか?

広瀬さんとの共演は初めてなのですが、いつもセリフが完璧に入っていて、本当にえらいです。彼女も「全然大丈夫です!」と元気にやっていて、とにかくかわいいんです。顔を見ているだけで楽しいです。「かわいいね」というと「童顔なだけです」って(笑)。
あと、広瀬さんは“体力お化け”なんです。体を動かすのが大好きらしくて、1日で3つスポーツジムをはしごしたことがあると話をしていました。自分の出番がないときにダッシュしていたので「何してるの?」と聞いたら、「有酸素運動です」って(笑)。

-----ご自身がヒロインを演じた『ちりとてちん』のときと比べてどうですか?

広瀬さんは本当にキラキラしていて。「すずちゃん、元気だよね」とスタッフさんに話したら、「しほりちゃんもあんな感じだったよ」と言われて、当時の私もこんな感じだったのかと思いました。確かにセリフを覚えるのに苦労したと思ったことは一度もなかったし、『ちりとてちん』の収録で空き時間が3時間くらいあると、当時買ってもらった自転車で、大阪の繁華街まで行って洋服を買ったりしていました。若かったから体力は全く問題なかったです。変なスイッチが入っていた気もします。セリフを読んだらすぐ役に入れましたし、毎日撮影をする中で、頭が朝ドラに順応していたのかもしれません。

「そういうことを思うときもあるな」と感じながら演じました。

マコ=大沢麻子という役を演じてみて、思ったことはありますか?

最初マコは、なつ(広瀬すず)に少し偏見みたいなものを持っているけれど、なつの持っている情熱にだんだん気がつき、後から入ってきた坂場(中川大志)や神地(染谷将太)の才能に圧倒されてしまいますよね。セリフでも「楽しめないのよ、あなたのようには」と言っていますが、私も、そういうマコの気持ちがわかる微妙な年齢になってきたので…、「そういうことを思うときもあるな」と感じながら演じました。
20代のときは仕事が第一だと思っていたんです。でも、30歳を迎えるころに『ちりとてちん』で共演した渡瀬恒彦さん(貫地谷さんが演じた喜代美の師匠役)からいただいたお手紙にも、「君がこれからやらなきゃいけないのは、愛に惑うことです」と書いてあったんです。ほかの先輩たちからも「プライベートを大事にしなさい」と言われることが増えて、仕事は大事だけど、今を生きていること以上に大切なことはないんじゃないかと思うようになりました。マコを演じてみて、今の年齢でちょうどいい役に出会えた気がしています。

「戻ってきてください」と言われてましたよね?
戻ってくるのかな…?

マコさんは仕事をスッパリ辞めるという選択をしますが、そこに関して感じることはありますか?

そうですね、すごく理解できます。一度立ち止まって考えてみるということがいかに勇気のいる決断か。できない人の方が多いと思うんですよね。女としてだけでなく人としてすごくいい選択をして、今の流れを捨てて、違う道を模索するというのは本当にたくましいしカッコいい。

今回マコはいったん家庭に入る決断をするのですけれど、それも選択肢としてあっていいと思いますし、一方でなつのように情熱で突き進む人がいてもいい。いつの時代も変わらないんだなと思いました。
幸せというのは自分で決めるものだけれど、決められているような部分もあって、それが幸せだと流されてしまうときもあると思いますが、それが悪いことじゃないと思うんです。
でも、なつに「戻ってきてください」と言われてましたよね?戻ってくるのかな…?

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