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“二人三脚”でつかんだ金メダルの裏側 レスリング・向田真優選手

東京オリンピック、レスリングで金メダルに輝いた向田真優選手。
三重県四日市市出身です。
金メダル獲得の裏側には、これまでの課題を婚約者でもあるコーチと、“二人三脚”で乗り越えたことがありました。
「まるっと!」でスポーツを担当する亀蔦なごみキャスターが取材しました。

金メダル!それと同じくらい気になったモノが・・・

三重県四日市市出身の向田真優選手(24)。

オリンピック初出場で金メダルを獲得しました。
階級は、同じ三重県出身の吉田沙保里さんがオリンピック3連覇を果たした女子53キロ級です。

向田選手が金メダルを獲得して10日後の8月16日。
名古屋市内のホテルで取材する機会をいただきました。

向田選手、金メダルを首にかけて来てくれました。
私の目は、その金メダルにクギ付け・・・だったのですが、
それと同じくらい気になったモノがありました。それは向田選手の“爪”です。

金色と、五輪の輪をイメージしたデザインでした。
向田選手といえば、激しく戦っている姿をテレビで見ていたので、こんなおしゃれをして試合をしていたかしら!?

向田真優選手
「試合前はできないので試合が終わった後に、五輪選手村のネイルブースでみんなでやってもらいました」

そうですよね!すごくかわいらしい爪。
1本1本、好きなデザインをリクエストできたということです。

今まで生きてきた中で1番うれしかった!

初出場でつかんだ金メダル、その重みは?

向田真優選手
「すごい重いですね。つかみ取ったという感じだったので、表彰台に立った瞬間からすごく実感は湧いていて今まで生きてきた中で1番うれしかったです」

向田選手は大会後、地元、三重県四日市市へ帰り、両親や子どものころに練習していた四日市ジュニアレスリングクラブに金メダル獲得を報告したそうです。

向田真優選手
「両親からは『本当にありがとうって頑張ったね』って言ってもらえて、両親にメダルをかけることが、実現することができてよかったな。四日市ジュニアの恩師、宇野先生にも喜んでいただけてそういう帰る場所があることに対してすごく自分は幸せだなと思います」

決勝戦は苦しい戦いに

決勝戦まで順調に勝ち上がった向田選手でしたが、金メダルをかけた中国の選手との決勝は、厳しい展開となりました。
タックルを防がれたあと、攻撃に転じられ、第1ピリオドを0対4とリードされてしまうのです。

向田真優選手
「第1ピリオドは思うように足が動かなかった。やっぱり緊張もあって。これで負けたら一生後悔するという思いを胸に戦っていたんですけど、自分が思うようにいかなかった」

反撃を後押ししたのは婚約者であるコーチ

0対4とリードされたまま第1ピリオドを終えた向田選手。
この瞬間、向田選手の気持ちを奮い立たせたのは、婚約者でもある志土地翔大コーチでした。

向田真優選手
「絶対、攻めていかないと後悔するって声をかけてもらい、そこでスイッチが入った。絶対、攻めていくという気持ちで、第2ピリオドは、自分からどんどん仕掛けることができた」

大切な存在である志土地コーチに背中を押された向田選手。
後半、相手の片足へのタックルを続けざまに決めて、4対4の同点に追いつきます。

2人が追い求めたレスリングとは

試合終了まで残り1分を切り、このまま同点で終われば最後にポイントをとった向田選手が勝利という状況。
今までの向田選手ならこのまま終わってしまったかもしれません。
しかし、向田選手は動きます。
守りに入って逆転負けを喫してきた課題を克服しようと、攻め続けました。

向田真優選手
「自分の中で最後どうしても攻めて終わりたいっていうのがあったのでその思いが形になった」

さらにセコンドからはその気持ちを後押しするような志土地翔大コーチの声が。

志土地翔大コーチ
「いけ、真優いけ!狙っていけ!いけ!」

“最後まで攻めきる”という2人が追い求めたレスリングでした。
タックルに入った向田選手を相手が持ち上げようという、気持ちと気持ちがぶつかり合うような攻防。

こうした状況の中でも焦らず冷静だったという向田選手。
追加点をとるまでのイメージが描けていたといいます。

向田真優選手
「いけ!いけ!と声をかけてもらったので、いくしかないと思って最後立ち上がって場外に出した」

“苦しみながらも立ち上がり、一歩踏み出す”
最後は向田選手が相手を押し出してポイントを奪い、5対4で勝利しました。

2人の気持ちがかみ合った瞬間。
まさに“二人三脚”でつかんだ金メダルでした。

向田真優選手
「2人の気持ちが形となって、最後報われたかなと思います。これからの人生もオリンピックと同じように輝けるようにパリ五輪も視野に入れながらこの金メダルに恥じないように2人でまた新たな気持ちで頑張っていきたいと思います」

パリでの2連覇に期待

向田選手は試合後、同じ階級で目標としていた吉田沙保里さんに“最後まで諦めずに攻めて頑張ったね”と声をかけてもらったそうです。
向田選手は、「自分にとって沙保里さんのことばはうれしかった。これまで以上に沙保里さんのようになりたい」と同郷の偉大な先輩を目標に掲げました。

国際大会では、「前半でリードしながら守りに入って後半に逆転される」という試合がたびたび見られた向田選手。

決勝戦でみせた後半に攻めていく姿勢の裏側には、正面から課題と向き合ってきた向田選手のこれまでの努力と、コーチの存在が強くあったのだと感じました。

末広がりで金メダルを!

向田選手を取材した2日後の8月18日。
向田選手と志土地コーチは、婚姻届を提出されたということです。
その日付を選んだ理由をお聞きすると、「末広がりの8と8の間に、世界一の『1』がはさまれている」ということでした。

夫婦となった2人で今後も二人三脚で成長を続けられると思います。
今度は“夫婦で金”、パリオリンピックでの2連覇に期待したいです。

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