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“週末里親”として子どもを支える

NHK名古屋放送局が行っている子ども、子育てを応援するプロジェクト「#わたしにできること~未来へ1歩~」。親と暮らせない子供たちを支える「里親」にはさまざまな形があります。月に1~2度、施設の子どもを預かる「週末里親」を名古屋放送局の猪瀬美樹ディレクターが取材しました。

“家族”の絵を描いたことがない

愛知県豊田市にある児童養護施設・梅ヶ丘学園です。
ここでは、2歳から18歳までの子どもおよそ60人が暮らしています。

週末里親と交流をしているやっくん(5歳)です。
幼い頃から施設で暮らしています。
祖父の面会はありますが、最近は、親とほとんど会っていません。

職員の井上さんには、最近気になっていることがあります。

やっくんが描いている絵です。虫やカエルなど“生物”の絵を描くのが得意なやっくん。
しかし、これまで家族の絵を描いたことが一度もありません。

児童養護施設職員の井上暁美さん「心も身体も24時間、いつも一緒に「このお母さん」「このお父さん」っていうことでは、やはりない。様々な事情を抱えた子どもたちが、この施設で生活をするということはやはりそこ(家族)とは切り離された生活ということになります」。

“自分だけを見てくれる大人”とカエルとり

この日はやっくんにとって“特別な日”です。

やってきたのは、1組の夫婦。
週末里親の近藤夫妻です。
やっくんに「“自分だけ”を見てくれる大人を作ってあげたい」と井上さんが調整をしました。

近藤裕昭さんと妻の裕美さん。
この日の交流は2回目。
お互いにまだ緊張しています。
井上さんもフォローのため、3人の交流を見守ります。
訪れた先は、やっくんが通い慣れた近所の公園。
大好きなカエルをとりに来ました。

やっくんと近藤夫妻の交流は月2回。
お互いが慣れてきたところで、いずれは夫妻の家に泊まるなど、家庭体験も行う予定です。

週末里親を選んだ理由は?

子どものいない近藤夫妻は、もともと一般的な「里親」に関心がありました。
しかし、共働きのため、なかなか“一歩”を踏み出せずにいました。

近藤裕美さん「(子どもが)学校や保育園から帰ってきた時に迎えることが今の状態ではちょっとできないのでちゅうちょしていました。『週末里親っていうのがある』って聞いた時に「できそうかな」っていうことで方向転換をしました」。

少しずつ縮まっていく距離

ふだん、あまり子どもと接する機会のない近藤夫妻。
裕美さんがやっくんに積極的に関わろうとする一方…裕昭さんは、なかなか声を掛けることができません。

「ちょっと疲れましたか?」
「はい。マスクは暑いですね。部屋の中での仕事がほとんどなので、そうですね。空調も効いているし…」

すると…。
なんとやっくんが、裕昭さんをご指名!

少しずつ距離を縮め、いずれはやっくんを長期的に見守る存在になることを目指してます。

(Q今日はどうでしたか?)
やっくん「楽しかった」。
(Q次は何したい?)
やっくん「またここに行く」。

近藤裕昭さん「また来たから出かけようか、というか。お互いに嬉しい感じ。よく遊びにくる“親戚のおじさんやおばさん”くらいの感じでいいのかなって気はしてますけど」。

近藤裕美さん「“細く長く”っていう感じになるのかなって。梅ヶ丘学園を出た18歳以降も、何かしらあった時に連絡を取れるような関係になれたらいいかなとは思います」。

取材を終えて “週末里親”を裏で支える施設職員

今回の心温まる交流の裏では、子どもが暮らしている施設の職員の方々が、週末里親の面談を行ったり、里親に子どもとの関わり方を細やかに助言するなど地道なサポートが行われていました。
関心を持たれた方は、ぜひ1歩を踏み出していたただけたらと思います。

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