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障害児を感染から守るには

新型コロナウイルスの感染が広がるいま、とりわけ厳しい状況に直面しているのが、体に重い障害があり、たんの吸引など医療的ケアが必要な子どもたちです。重症化しやすく、命の危険にさらされるおそれがあります。感染を防ごうと緊張の日々が続く家庭や学校の現場を名古屋放送局の吉岡拓馬記者が取材しました。

医療的ケア必要な子は

名古屋市に住む山本明香里さん(11歳)。
難病のため体が不自由で、食べ物を飲み込む機能に障害があります。
このため気管を切開して、そこから呼吸をしています。

母親の香世さんは、明香里さんに感染させないよう、消毒や換気をこまめに行っていますが、ひとたび感染すれば、重症化してしまうのではと不安を募らせています。

香世さんの話「私も買い物に出たり、最低限ですがでかけたり、毎日介助しているので、感染しないか不安に感じています。最初のクラスターの感染者が利用されていたジムが、学校の近くだったのですごく怖く感じました。また新たなクラスターが出るのではという思いはあります」。

「重症化したときに、前みたいに呼吸がひどいことになったらと。想像したくないですが、そうならないように願うばかりです」。

休校措置で現場は

明香里さんのような子どもたちがいつもは頼りにしている学校現場でも危機感が高まっています。

県内の特別支援学校に勤める教員から私たちのもとに1件のメールが届きました。

「車イスの乗せ下ろしや、水分や食事の介助などで子どもに密接して関わらざるを得ない」。
「教育活動の中で完璧に3密を避けることはできない」。

ほかの小中学校と比べて、特別支援学校は校内での感染リスクが高いと訴える内容でした。

愛知県内には、体に障害のある子どもが通う県立の特別支援学校は7校あり、子どもの数は、1校あたり100人から200人あまり。
多くの子どもや職員が集まっています。

「スクールバスを使う子もいるし、公共交通機関で来る子もいる。職員の中にも公共交通機関を使って通勤する人も多い。ものすごく広く関わりがでてくるので感染する危険がものすごく高まる」。

愛知県の大村知事は10日、県独自の『緊急事態宣言』を出して、5月6日まで県立高校と同様、特別支援学校も休校とすることを決めました。

一方、特別支援学校では、休校中も親が仕事などでどうしても子どもを見られない家庭のために自主登校教室を設けて、子どもを受け入れています。

半田市にある1校が現場の厳しい状況について話を聞かせてくれました。

すごい緊張感ですね。特に職員に対して大勢の人のいるところにいかないよう、感染の当初から口酸っぱくなるほど言ってきました」。

学校では、職員の検温や健康状態のチェック、時差通勤などを行い、できる限りの対策を取っているといいます。

「学校は人が集まっていろいろな教育活動を行うところですので、人が集まる以上万全というのは難しいと思います。病院とは違うので、できるだけのことしかやれないというもどかしさはあります」。

子どもたちの命を守ろうと、家庭や学校では懸命な取り組みが続いています。

香世さんは、地域全体で感染拡大を防ぐため協力してほしいと訴えています。
「障害のある子もそうですが、自分と違う立場の目線に立って皆さんが行動していただければ優しさも生まれるのかなって。優しさを持ってみなさんが節度ある行動をとってくれたらいいかなと思います」。

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