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令和2年度(第36回)NHK名古屋放送局 創作ラジオドラマ脚本募集 審査結果発表

NHK名古屋放送局主催の「創作ラジオドラマ 脚本募集」は、NHK名古屋開局60年記念事業として昭和60年に始まったもので、毎年100編を超える多くの応募作品をいただいています。 今回の応募総数は159編。年齢は20歳から81歳まで、北は北海道から南は宮崎県まで、幅広い年齢層と地域の方から応募を頂きました。誠にありがとうございます。その中から、第1次・第2次・最終審査と厳正な審査の結果、受賞作品が決定しました。最終審査には劇作家・佃典彦氏、作家・堀田あけみ氏、脚本家・宮村優子氏、劇作家・鹿目由紀氏にも加わっていただき、NHK名古屋放送局のプロデューサー、ディレクターの計9名による審査の結果、最優秀賞1作、佳作2作を選出しました。
最優秀賞作品に選ばれた『屋上の侵入者』は、「FMシアター」(NHK-FM)で全国放送の予定です。


佐藤菜々子さん(最優秀賞)

細見大輔さん(佳作)

飯倉泉さん(佳作)


◇最優秀賞『屋上の侵入者』 作・佐藤菜々子(千葉県)

3人の登場人物が織りなすシンプルな物語ながら、セリフや言葉のチョイス、詩的なイメージの美しさが高い評価を得ました。全体の構成や、伏線の張り方、情景がありありと浮かんでくる豊かな表現など、完成度の高さが素晴らしく、最優秀賞に選出されました。


◇佳作『扉を開ければそこは』 作・細見大輔(東京都)

「引きこもり」という難しい問題を、テーマへの愛を感じる節度あるユーモアを交え、爽快感溢れる物語に仕上げていた点が高い評価を受け、佳作に選出されました。


◇佳作『モンキーのゾウ列車』 作・飯倉泉(愛知県)

コロナ禍にある現代の描写から始まり、「戦災孤児」の歴史を探っていく物語のテーマ性や、大変な時代を懸命に生きる登場人物の魅力ある描写が高い評価を得て、佳作に選出されました。


<最優秀賞『屋上の侵入者』あらすじ>

深夜の学校。居眠りをしていた高校教師の吉岡洸佑は、ある少女の訪問で目を覚ます。「幸せとは何か」と問う、その不思議な少女は、なぜか吉岡のことを知っていた。少女は屋上に行きたいと話すが、屋上へと繋がる道はフェンスと鍵付きの扉で閉ざされていた。吉岡は、強引に屋上に向かおうとする少女に根負けして、鍵を取りに行くことになる。廊下を歩きながら、吉岡は夢とも現ともつかぬ不可思議な世界に身を浸す――暗い海のなかで、ゆっくりと沈んでいく自分の姿が見えるのだ。吉岡は、教え子だった淳史という生徒の死後、こうした妄想に苛まれていた。淳史は海で不可解な死を遂げており、死の前日に吉岡のもとへ屋上の鍵を借りに来たが、吉岡は鍵を渡さなかった。海が好きで、吉岡と一緒に屋上に行った際、「屋上の下は海みたいだ」と笑っていた淳史の姿。吉岡は淳史の死の前兆に気付かなかったことを悔やみ、彼の死後、頭の中で夢と現実の境界をさまよいながら、淳史を探していたのだった。そして、目の前の少女もまた、淳史の死と向き合う者の一人だった。ふたりは、淳史の死と決別するために、彼が話していた「屋上の海」を見に行くことになるのだが・・・。


<『屋上の侵入者』作・佐藤菜々子さん 受賞の言葉>

この度は素晴らしい賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。心に穴を抱えた登場人物たちが、暗い水底から脱出する過程を描こうと試みたのが今回の作品です。書き始める際、問いを立てました。「幸せとは何か」。ラストシーンで自然に出てきたセリフに、私自身が救われました。
学生時代から、何を目標に生きればいいんだろうと迷走し続けた結果、2年前にたどり着いたのがラジオドラマでした。まだまだ手探りで、毎日ドキドキしながら書いていますが、自分の感受性が広がっていく喜び、言葉を発掘する面白さを知ったおかげで、人生が豊かになりました。ラジオドラマに出会えて、本当に運が良かったです。どの出会いが欠けていても、今の私は存在していませんでした。今まで出会ってきた全ての方々に、心より感謝申し上げます。生きるって、理屈じゃなくてリズムなんだと、最近よく思います。自分の心を揺らし、誰かの心に届くドラマが描けるよう、これからも勉強し続けたいと思います。


<過去の受賞者>

これまでに第3回入選受賞の木皿泉さんや第5回佳作受賞の水橋文美江さんといった、テレビドラマやラジオドラマの脚本家を輩出している。