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愛知・新城 「四谷の千枚田」ライトアップ 棚田を守りたい

  • 2024年06月18日

日本の棚田百選に選ばれる新城市の「四谷の千枚田」。
田植えが終わるこの時期、地域で支える棚田のライトアップが行われました。
棚田を守る人たちを紹介します。(NHK名古屋カメラマン 山村 一) 

愛知県新城市
「四谷の千枚田」のライトアップ

日本の棚田百選に選ばれている「四谷の千枚田」。
6月1日、田植えが終わったこの時期に、棚田のあぜ道をろうそくの明かりで照らす1日だけのイベント「お田植え感謝の夕べ」が行われました。

平成17年、全国棚田サミットの開催がきっかけで始まり、現在も「鞍掛山麓千枚田保存会」が地元の人たちと一緒にこのイベントを受け継いでいます。

美しい景観と豊かな自然が魅力
「四谷の千枚田」

空や山、水をはった水田の美しさに目を奪われる

「四谷の千枚田」は、標高883メートルほどの鞍掛山のふもとに広がる、急な斜面に作られた石積みの棚田です。

現在は、1000枚以上あった田んぼのうち420枚で米作りが行われています。

石垣に囲まれ、狭くて不規則な形の田んぼ
農機具が使いづらい

高齢化が進み担い手が減る中で耕していない休耕田もありますが、坂道が多く体力的に厳しい環境の中でも、25軒の農家がほぼ手作業で米作りを行っています。

棚田の伝統を守りたい!
58歳で米作りの道に

伊藤健司さん(59)

去年から四谷の千枚田で米作りを始めた伊藤健司さん。
いちばん経験の浅い新米農家です。

7年前に知り合いの紹介でこの地域と出会い、豊かな自然や作物などの恵みに触れたことで、残りの人生はこの場所で暮らしながら農業をしたいと考えるようになったそうです。

本来の仕事は家族に任せて、週に5日も棚田で作業

伊藤さんは豊橋市内で食料品の販売店を営んでいますが、
地元の人から築140年の古民家を譲り受けるなど、2年後の移住を目標に準備を進めています。

 

伊藤健司さん

棚田での農作業はわくわくしかない。楽しくてしょうがない。
8枚の田んぼ(約1反)での米作りですが、今後は休耕田を耕しながら
田んぼの数を増やして、棚田の農業を守っていきたいですね。

伊藤さんを後継者に!
ベテラン農家・小山舜二さんの思い

小山舜二さん(83)

棚田での農業が2年目を迎えた伊藤さんをいつも気にかけているのが、小山舜二さん(83)。
小山さんは「四谷の千枚田」の保全活動を30年以上続ける鞍掛山麓千枚田保存会の責任者です。

「お田植え感謝の夕べ」をはじめ、棚田で行われるさまざまなイベントにも取り組み、地域を盛り上げようとしています。

小山さんが伊藤さんにアドバイスをする

伊藤さんの「休耕田を耕して棚田を後世に残したい」という熱意に心を打たれた小山さん。
田植えが終わったこの時期は、山から流れる冷たい水を温めながら田んぼへ引き入れる工夫など、
さまざまな棚田農業のコツを伝えるようになりました。

ゆくゆくは伊藤さんが後継者となり、棚田の保全活動やイベントなどを受け継いでくれることを期待しています。

小山舜二さん

伊藤さんにもう初心者マークは必要ないね。
棚田の農家はみんな高齢化して体が痛い人が増えてきている。
伊藤さんは千枚田に新しい風を吹き込んでくれている。

棚田イベントをみんなで盛り上げる

「お田植え感謝の夕べ」イベント当日。
人口が少ない小さな集落で行われるイベントのため、さまざまな人が協力してくれます。

棚田周辺に大きな駐車場が無いため、1キロ先の駐車場から棚田までの送迎バスを運行しました。

送迎バスの運行は地元の農協職員が手伝ってくれた

ろうそくは、地元の人たちとボランティア、観光客が一緒になって、ひとつひとつ手作業で置いていきます。

みんながひとつになってイベントを作ります
農道や棚田のあぜ道にも ろうそくを設置

イベントを盛り上げる花火は、花火師の資格を持つ地元の農家が中心となって打ち上げます。

地元の人たちが花火を準備

伊藤さんは出店で焼きそばを販売するなど、一日中、地域の一員として活躍します。

軽快にあぜ道を駆け回り ろうそくを設置
伊藤健司さん

みんなで一緒に準備できるのは、仲間に溶け込ませてもらっている実感があってうれしいですね。

 みんなでともそう千枚田!
「お田植え感謝の夕べ」開始

暗くなるにつれ 光が浮かび上がる

午後7時すぎ。棚田に幻想的な光景が広がります。
あぜ道に1500の明かりが浮かびました。

みんなでともしたろうそくの明かり

夜7時から9時まで。25発の花火が打ち上げられました。

棚田の夜空を彩る花火

県内外からおよそ400人が会場を訪れ、棚田の幻想的な光景を楽しみました。
最後は10連発の花火が打ち上げられ、イベントは終了しました。

花火を見る伊藤さんと小山さん
小山舜二さん

ろうそくの明かりが山の上まで続く光景は、
まるで竜が天に昇る姿を見ているようで胸が躍りました。大成功です。

伊藤健司さん

たくさんの人が喜んでくれて、本当によかったです。
20年後も続けていたいですね。

四谷の千枚田の魅力をかみしめる伊藤さん

お米だけではなく、人と人がつながることも「四谷の千枚田」の大きな恵みだと思います。
この思いを受け継いで次の世代につなげていく役割を果たしていきたいですね。

  • 山村 一

    名古屋・豊橋支局カメラマン

    山村 一

    これまで何度も四谷の千枚田に足を運び、取材を続けてきました。今回、新型コロナウイルスによる影響で取材できなかった「お田植え感謝の夕べ」が撮影できました。1500本のろうそくの明かりが天の川のようできれいでした。

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