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KYジャーナル「”子持ち様”論争 なぜ?」

  • 2024年05月21日

あえて空気は読まず、ズバッと解説、山本恵子(Keiko Yamamoto)解説委員の「KYジャーナル」。
今回のテーマは、「”子持ち様”論争 なぜ?」です。

子育て世代の働き方に賛否両論

最近、SNSで、小さな子どものいる親を「子持ち様」と呼び批判する書き込みが広がり、賛否、論争となっています。

きっかけは去年11月のこちらの書き込みでした。

「子持ち様が『お子が高熱』とか言ってまた急に仕事休んでる。部署全員の仕事が今日1.3倍ぐらいになった」

この投稿は、3000万回以上見られ、今も論争が続いています。
どんな意見が上がっているのでしょうか。

「子持ち様、本日また突休」
「子持ち様は優遇されて土日祝休み、日勤帯で帰れていいですねーーー」
「こちらが休みたい時は『うちは子供がいるんで無理です』で終了。お互い様ではなく片方様」

子どもの養育が理由で働く時間や曜日が限られていることへの批判の言葉が寄せられています。
一方で、こんな意見もありました。

「〝子持ち様〟だけでなく、自分の怪我や病気、身内の看護や介護など、誰にだって突然仕事に穴をあける可能性はある」
「誰か1人休んだだけで仕事が回らない会社の体制が悪いでしょ」

この論争、育児休暇や子どもの急な発熱で、休んだり早退したりした分の仕事を負担させられているといった不満が、SNSへの投稿をきっかけに噴出しているのです。

”子持ち様”論争 背景は?

背景として考えられるデータがあります。

国が行っている子育て世帯の調査です。
18歳未満の子どもがいる世帯は赤、いない世帯は青で示されています。
1986年には子どものいる世帯は46.2%だったのに対し、2022年には18.3%に減り、逆に、子どもがいない世帯が8割を超えました。

子どもがいない世帯が大多数を占め、一方で、出産後も働き続けられる制度が整い、子育てしながら働く人が増えたことがあると考えられます。

どう解決?”子持ち様論争”

この問題の解決には、会社や組織が「負担」が一部の人に偏らないようにすること。
そして業務を負担した人には、「手当て」や「評価」をすることが重要になります。

企業の中には、育休を取得した人がいる職場の同僚に「育休職場応援手当」の支給を始めたところもあります。
また、ことしから国は、育休を取った人や短時間勤務をしている人の仕事を代替する従業員に手当てを支給した中小企業に助成金を出しています。

こうした取り組みに加え、従業員一人ひとりとの”コミュニケーション”や”アンコンシャスバイアス”いわゆる”無意識の思い込み”をなくすこともカギになってきます。

「アンコンシャスバイアス」の研修の「残業を頼むのは誰か?」という課題です。
独身社員、子育て中の女性社員、ベテランの男性社員のうち誰に頼みますか?

ついつい、独身の人やベテラン男性社員に頼みがちではないでしょうか?
しかし、当たり前のことですが、独身の人も予定があったり、ベテランの男性社員にも親の介護があるなど、それぞれ事情があるはずです。

また、子どもが小さい人は残業ができない、土日は休み、などと思いがちですが、土曜日は保育園に預けられる、家族が子どもをみるなど、1人ひとり、できること、できないことなど個々の事情を聞くことが大事になります。

”論争”から見えたものは…

今回の”子持ち様論争”を見ていて感じたのは、子育ての負担が依然として女性に偏っているということです。
子どもの発熱などで休んだり、早退するのは女性が多いが、男性が家事や育児を負担をすれば、女性への偏りが軽減されることになります。

今回の”子持ち様”論争へ、ヤマケイのひと言はこちらです。

”子持ち様”ではなく”誰もが”

子どもがいる、いないにかかわらず、誰もが個々の事情に応じて休めたり、早く帰れたりすることが大事です。
企業や組織には、そうした職場づくりに取り組んでほしいと思います。

  • 山本恵子解説委員

    NHK名古屋放送局 報道部 副部長

    山本恵子解説委員

    愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。高校生の娘の母。

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