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能登半島地震 被災地で命をつなぐ産婦人科医

  • 2024年02月08日

能登半島地震から1か月あまり。NHKの投稿フォームには、こんな声が寄せられました。

「(被災地の)妊婦さん、大丈夫ですか?」
「離乳食、おむつなどの事情が気になります。」
「女性や子どもたちの小さな声を聞いてあげたい。」

今も多くの人たちが避難生活を強いられるなか、
妊産婦や乳幼児が被災するとどのようなリスクが生じるのか。
石川県七尾市で、地震の翌日、新しい命を取り上げた医師に話を聞きました。

(NHK名古屋 ディレクター 川田 莉加)

発災直後のSOS「助けて」

石川県七尾市で、震度6強の揺れが観測されたその10時間後、新しい命が誕生しました。

 

恵寿総合病院 産婦人科 科長 新井隆成医師

分べんに立ち会った、産婦人科医の新井隆成さんです。

新井医師
「1月1日の午後4時半ごろですね、陣痛がきているから受けて入れてほしいという問い合わせがきました。母児両方の安全を考えたとき、両方とも危険をはらんでいたわけですけれども、「とにかく助けてほしい」という訴えをしておられましたので、十分に気を付けて来てくださいということで我々は受け入れることを決めたわけです。」

地震の影響で、病院の壁は崩落。天井からは水漏れ。産婦人科がある建物の被害は大きく、別の建物にある手術室での分べんとなりました。

新井医師
「本当に、素直によく無事で生まれてくれたなと。もう本当にそのひと言。」

「命に関わるリスクも」

医師たちの適切な対応で生まれた、新しい命。
しかし、災害が起きた際、妊産婦や乳幼児は、常に危険と隣り合わせだといいます。

 

特設の産婦人科病棟

新井医師
「まず、かつての大災害の報告として早産が増える。そして低出生体重児、あるいは胎児発育不全が増える。そして妊娠高血圧症候群が増えたということが東日本大震災の報告からも分かる話です。こういったいわば災害関連の周産期合併症を、防がなければいけない。
こういった災害弱者に災害のストレスが強く起こってそれが解除されないで守られない状況になれば、当然命に関わるような状況にもなりえる。」

妊産婦や乳幼児がいる家族が、避難先で気を付けたいポイントは。

新井医師
「自宅にいるくらいリラックスというのは難しいですが、できる限りリラックスして体を休めて、そして感染症も含めて内科的な合併症が起こりにくい環境をしっかり用意してあげる事ですよね。
また、個人個人が体調が悪いとかしんどいとかそういったことをすぐ言える環境、そしてその声に対して環境を整える体制が求められる避難の在り方だと思います。」

現地の医師が、今呼びかけたいこと

いつ起きるか分からない災害。新井医師は、被災地以外の人にも、今こそ備えを見直してほしいと呼びかけています。

新井医師
「能登もまさか1月1日にこんな大災害が起こるなんて誰一人思っていなかったです。
大切なのは災害時を基準にして平時の準備をするということ。ふだんの生活を1度ゆっくりと家族で相談して見直していただいて、災害時がこういうふうになり得るから平時はこういう準備をしておこうということですね、一人一人がシミュレーションをすることによってより安全な準備が整うと思います。」

また、目まぐるしく状況が変わる被災地で、妊産婦や乳幼児など災害弱者を守り続けるために、被災地以外からの人道支援が欠かせないと考えています。

新井医師
「やはり被災地においてはすべてが被災者集団なんですよね。被災者たちも疲弊します。ここで(医療者も)身の安全を守ってしっかりと人的支援ということが行われないとですね、被災者集団だけで支えていく危険というのをやはり感じた次第ですね。そういった支援者の輪をつなぐシステムが、今後日本全国で整っていくことを強く切望します。」

  • 川田莉加

    NHK名古屋コンテンツセンター ディレクター

    川田莉加

    LGBTQや若者の生きづらさ、子どもの話題について取材。

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