名古屋の巨大地下施設に潜入!
- 2023年09月12日

名古屋の街のど真ん中に空いた、巨大な穴。
地下に降りると、そこには大空間が広がっていました。いったい何のための施設なのか?工事現場に潜入しました。
(ディレクター 渡邉はるか)
名古屋の巨大な穴の正体は?
巨大な穴がある場所は名古屋駅から南へ、車で10分。

案内してくださるのは、若松靖弘さんです。

工事現場のフェンスの中をのぞいてみると...


ありました!巨大な穴。

直径でいうと13m、深さが約50mのとても深い穴になっています。
いったい地下で何が行われているのか?
工事用エレベーターで地下へ。およそ3分。


エレベーターを降り、さらに奥へ進むと..


こちらが、名古屋中央雨水調整池となります。

地下にあったのは、巨大なトンネルのような施設「名古屋中央雨水調整池」。
実は、一時的に雨水を溜める場所です。ためる雨水の量は、なんとおよそ10万4千トン。

小学校の25mプールで、約400個分以上の水をためられるような計画になっております。

直径は5.75m、この先およそ5kmも続いています。
浸水被害を防ぐ施設 名古屋中央雨水調整池
なぜこのような施設を作ったのでしょうか?
名古屋市は、これまでたびたび大きな浸水被害に見舞われてきました。それを受け、名古屋市では、浸水被害を少しでも防ぐために施設整備を進めてきたのです。
名古屋中央雨水調整池の工事は、2015年に押切公園から開始。2022年12月に貫通しました。

地下50mに貯まった雨水は、いったいどこへ行くのか?
実は、中川運河に排水するため、現在は運河へつなぐトンネル(接続管)と、くみ上げる広川ポンプ所を建設しています。

こちらがその接続管の工事現場。

ここからおよそ1kmのトンネルを掘っていきます。これらの設備は、来年度末の稼働を目指しています。
まるで地下神殿!?広川ポンプ所
トンネルが到達する予定の、広川ポンプ所へやってきました。

このポンプ所も地下空間がすごいんです。そこはまるで地下神殿。



ポンプ所としては、名古屋市内で一番深い施設となります。
こちらが完成予定図。

構造物の深さは65mと、名古屋城の高さとほぼ同じです。
地下65mの深さから、雨水を中川運河へとくみ上げます。

名古屋市上下水道局 若松靖弘さん
このポンプ施設が動き出したときには、もう、階段の上あたりまでは常に水が入っているような状況になります。
なぜこんな地下深くに作る必要があったのか?
名古屋の中心部を通る名古屋中央雨水調整池は、地下には地下鉄や高速道路を支える基礎があるため、そのさらに下に作る必要があったのです。

地下施設を生かすには市民の協力も必要
名古屋の地下に建設中の、このすごい施設。
この施設を生かすためには私たち市民の協力も欠かせないといいます。

名古屋市上下水道局 若松靖弘さん
我々も、鋭意このような施設の整備を進めているところではありますが、この施設に水を入れるためには、雨水ますというものがございまして、そこから水をとって施設に流れ込むということになりますので、皆様のご自宅前の雨水ますの清掃をご協力いただければと思っております。

取材を終えて
名古屋には今年5月に来ましたが、地下にこんな施設があるとは驚きでした。現場を見てみると、深さおよそ50mというのは足がすくむほどでした。
取材の中では、約5kmのトンネルを掘るのにも、新しい工法が開発されていて、工期がより短くなるなど、技術もすごいと思いました。様々な制約がある中で大規模な地下工事を行うという、都会ならではの大変さを知りました。