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生成AI あなたの職場にも?

  • 2023年06月07日

去年秋の公開以来、世界中を席巻している「ChatGPT」。複雑な質問にもすらすらとよどみない文章で回答してくる様子は衝撃的だった。
生成AI」や「対話式AI」とも呼ばれ、インターネット上にある大量のデータを学習して私たちの要求に自然に応えてくれる。これまでの検索エンジンと一線を画す最新テクノロジーの登場は、私たちの仕事の仕方を一変させるのだろうか。
(NHK名古屋 吉田智裕記者)

ChatGPT お手並み拝見

「ChatGPT」どこまですごいのか。早速、私も使ってみた。手始めに「NHK名古屋放送局の番組『まるっと!』について教えて」と入力すると・・・

「まるっと!」は、日本放送協会(NHK)名古屋放送局で放送されているローカル情報番組です。この番組は、主に愛知県および周辺地域のニュース、イベント情報、エンターテイメント、スポーツ、文化など、地域の様々なトピックについて取り上げます。
「まるっと!」は平日に放送され、通常は生放送されることが多いです。番組の内容は、名古屋や愛知県の最新のニュースや天気予報から始まり、地域のイベントやおすすめスポット、グルメ情報などが紹介されます。また、番組では地元の文化や伝統、特産品についても取り上げられることがあります。
さらに、「まるっと!」では、地域のスポーツイベントやスポーツ選手の活躍、地元のアーティストや音楽イベントなどにも焦点を当てます。時折、ゲストを招いてトークセッションやパフォーマンスも行われることがあります。
「まるっと!」は、名古屋放送局が地域の情報を幅広く伝えるための番組として、視聴者に親しみやすいスタイルで展開されています。地域の人々にとっては身近な情報源として親しまれており、地域の魅力を広く発信する役割を果たしています。

番組の基本情報だけでなく「地域の人々にとっては身近な情報源として親しまれている」と、嬉しい評価も添えてくれた。ただ、出演者について教えてほしい」と要求すると。

まるっと!」の出演者については、具体的な情報が個別の放送日やシーズンによって異なる場合があります。したがって、2023年5月の情報は提供できませんが、一般的な出演者の例を挙げることはできます。
「まるっと!」は、名古屋放送局のキャスターやリポーターが担当しています。地元のニュースやイベント情報を伝える役割を果たしています。
また、番組では時折、地域の有名人やゲストが出演することもあります。彼らは特定のトピックやイベントに関連して話をすることがあります。
具体的な出演者の詳細情報や最新の情報を知るには、NHK名古屋放送局の公式ウェブサイトや番組の公式ウェブページをチェックすることをおすすめします。そこで放送スケジュールや出演者情報を確認することができます。

1問目と比べると、具体的な個人名などは教えてくれないし「公式ホームページを見てほしい」と、やや消化不良な答え。同じ質問を繰り返すと毎回違う答えになることもあった。文章の作成スピードや会話の自然さには驚いたが、頼りない面も感じられた。

ChatGPTで“カイゼン”

旭鉄工 木村哲也社長

そのChatGPTをさっそく利用している企業が東海地方にもあると聞き、愛知県碧南市に向かった。自動車部品メーカーで社長を務める木村哲也さんは、トヨタ自動車に20年あまり勤務し、そこでトヨタ生産方式を学んだ。部品メーカーに転籍後も、ノウハウを生かして生産ラインの効率化などに取り組み、今では関連会社を立ち上げて外部企業のコンサルティング事業も手がけているのだという。
この「カイゼン」の肝となるノウハウはこれまで一般的なパソコンの表計算ソフトで管理してきたものの、事例の蓄積が増えすぎて探し出すのも一苦労の状態に。
頭を悩ませていたところに登場したのがChatGPTだった。

カイゼンGAI

そこでChatGPTにこれまでの事例を読み取らせたところ、対話形式で速やかに改善策を教えてくれるシステムが構築できたという。名付けて「カイゼンGAI」。
自社で同様のシステムを一から立ち上げようとすると数千万円程度の費用がかかるそうで、大幅な経費削減を図ることができたと話していた。

「節電の事例を教えて欲しい」と入力してみたところ

試しに「節電の事例を教えてほしい」と入力すると、すぐに4つほど事例を表示。
さらにそのうちの1つの事例について詳細な説明を求めると、実施時期やどの程度の電力削減につながったかなどを解説してくれた。このほか「業務効率化の効果が高い取り組みを抽出してほしい」といった複雑な指示にも迷うことなく対応した。
木村社長はこのシステムをコンサルティングに活用するほか、他の企業にシステム自体を販売することも検討している。

木村社長

「労働生産人口が減る中でみんなで生産性を上げることが大事だと思っている。各企業で世の中にないものとか新しいものを生み出す方向に注力して、生産性を最大化していくことが日本中でできたらいいと思う。そのために我々のシステムをいろんな会社で使ってもらいたい」

東海地方の大手企業は?

東海地方の大手企業はChatGPTに代表される生成AIにどう向き合っていくのか。

中部電力の林社長は5月23日の記者会見で「日本に大きな変革を与えるツール。過去から我々はいろんな生成AIの夢を持ってきた。ドラえもんや鉄腕アトムもそう。うまく活動できる素地もあると思う」と好意的な評価。「1度スピーチ原稿を書いてみたい」とまで語り、関心を隠そうとしなかった。今後、顧客対応や設備の保守点検の効率化などへの活用を検討するという。
金融機関の「あいちフィナンシャルグループ」は資料作成や情報収集のほか、融資の判定支援や顧客からの問い合わせ対応などにも活用が期待できるのではないかとしている。
一方で、トヨタ自動車は「個別のアプリやソフトの導入状況については回答していない」とコメント。JR東海は「現時点で導入実績や導入予定はないが活用を検討している」との回答を寄せた。
 

頼り切ってしまうのは・・注意点も

では、利用にあたって注意すべきことは何か。
AIが専門の名古屋大学大学院情報学研究科の武田浩一教授に聞いた。

武田教授

「生成する出力は全部が正しいわけでもないですし情報を正しく吟味するのは今まで以上に注意が必要。自分たちの入力に含まれる情報が学習されて再利用されたり、どこかに出てくる可能性がある。この使い方をしてるとこういう情報流出があるとか、こういう情報は間に人を入れてレビューしてから出すとかそういうプロセスをつくる。リスクを減らす形で社内で採用を決めるのがいい」

AIは自然な文章で回答を作成してくれる。文面があまりに整っているがゆえに「正しい」と思い込みそうになる。だが、AIは集めてくる情報の真偽までは必ずしも判定していない。回答に誤りが本当にないか、利用する側がきちんとチェックすることが欠かせない。
また、ChatGPTを利用する際に入力する情報は十分に精査してほしいとのことだ。AIは入力された情報を学習し、進化していく。例えば、会社の重要な機密情報や個人情報などを不用意に打ち込んでしまうと、それが学習に使われ、ほかのChatGPT利用者に流出してしまう危険性があるという。今回取材した碧南市の企業でも入力した情報が学習に使われないよう設定を施しているという。
このほか、武田教授はAIが他人の著作物を勝手に引用してしまう「著作権侵害」のリスクについて釘を刺すことも忘れなかった。

世界の潮流を察知し、いま多くの行政機関や企業が取り残されまいとChatGPTの導入を検討している。もちろん業務の効率化を狙ってのことだろう。文章作成の驚異的なスピードを目の当たりにすると、「仕事を任せられるのではないか」という期待も膨らむ。
だが、情報の正確性が担保されない以上、使いこなすには利用者側に十分な判断力や知識が求められると言える。情報漏えいのリスクも無視できないだけに、厳重なセキュリティー対策も必要だろう。
それでもなお、ChatGPTは私たちの職場や働き方に大きなインパクトを与えることになるのだろうか。その見極めにはもう少し時間が必要なのかもしれない。

  • 吉田智裕

    NHK名古屋

    吉田智裕

    2017年入局。
    岐阜県垂井町出身。
    金沢放送局を経て現所属。
    現在は、経済担当。

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