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高齢者のやけどに注意! 名古屋の救急医が原因を分析

  • 2023年05月31日

やけどを専門に治療する「熱傷センター」がある中京病院の黒木雄一医師が、2020年までの5年間にやけどで入院した75歳以上の患者117例について、その原因を分析しました。多かった原因とは...

1位「調理関連」 多くはガスコンロ

最も多かったのが、「調理関連」で25例。 
中でもガスコンロの火でやけどをしたケースが多いということです。 

2年前77歳の時にやけどをした女性は、料理をしようとしてコンロの火が袖にうつり、腕や顔、首や肩などに重いやけどをしました。 
皮膚を移植する手術を4回繰り返し、半年以上痛みが取れなかったと言います。

2位「ストーブ」と「家屋火災」

次に多かったのは 、「ストーブ」「家屋火災」で、それぞれ22例。

 「ストーブ」は火が燃え移ったり、ストーブの上に置いていたやかんの湯で、やけどをするケース。 
「家屋の火災」で、圧倒的に多いのは、タバコの不始末です。

4位「風呂」 入浴中追いだきして熱中症になり意識失う

続いて多かったのは、「風呂」で17例。
 入浴中に追いだきし、熱中症になって意識を失い、湯が高温になってやけどをしたケースだそうです。 一定の温度になると自動的に追いだきが止まる機能がない、昔のタイプのお風呂で起きています。
 17例のうち、8人が亡くなっていました。

5位「野焼き」

5番目は「野焼き」で10例。 
中には、灯油とかガソリンを加えて、火が一気に燃え広がってやけどをして亡くなる人もいるそうです。 
そもそも野焼きは法律で原則禁止されていますし、黒木医師は「絶対にやめてほしい」と話していました。

6位「仏壇のろうそく」

6番目は、「仏壇のろうそく」で6例。 
例えば85歳の女性は、仏壇にお供えをしたときに、ろうそくの火が服に燃え移って、 腕や体、首に大やけどを負いました。手術が必要となり、3ヶ月以上入院したそうです。 
「仏壇のろうそく」によるやけどは、全員が女性で、夏のお盆の時期に多いのも特徴です。

黒木雄一医師
「治療技術はいろいろと進んできてはいますが、特に高齢者の場合は、狭い範囲の、ちょっとしたやけどでも、体に対するダメージが大きく、やけどは治っても結局後遺症として寝たきりになってしまって、やけどではなくて、肺炎になって亡くなるとか、そういうことが多い。やけどが命取りになるので、とにかく予防に尽きる」

高齢者のやけど対策は

黒木医師は、まず高齢者にはできるだけ火を使わないことを勧めています。
その上で、「ガスコンロ」は「電磁調理器」にすること。
そして、ゆったりとした服は火が付きやすいので、できるだけぴっちりした服を着ることも、予防につながると呼びかけています。
「ストーブ」は、できるだけ「エアコン」に変更を。
「風呂」は、 自動で温度を調整する機能がない古いタイプの風呂では、 原則入浴中の追いだきはしないこと。 そして家族がいる場合は、こまめに様子を見に行くこと。 
「野焼き」はしない。
「仏壇のろうそく」は、 火を使わない「電気ろうそく」を 使うのがおすすめです。

黒木雄一医師
「高齢者のやけどは、ある程度パターンがあるので、その多くが予防可能だと思う。
今までずっと火を使うことに慣れ親しんだ人たちに、その火を使うことをやめろ、ストーブを使うな、エアコンを使えということはなかなか難しく、解決するのが困難ではあるが、1人でも多くの人に高齢者がこういう理由でやけどをしている実態を知っていただき、予防につなげたい」

  • 松岡康子

    NHK名古屋放送局記者

    松岡康子

    静岡局、豊橋支局、名古屋局、科学文化部、生活情報部を経て、2013年から再び名古屋局。 
    主に医療分野や介護分野の取材を担当。 
    愛知県小牧市出身で、2人の息子の母親。

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