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#3 最愛の親友へカミングアウト「多様な性のあり方」

  • 2023年06月01日

From:長屋友美さん(36歳・レズビアン)
>>>To:初めて打ち明けた親友 裕香さんへ

6月は“多様な性のあり方”を考えるプライド月間。
NHK名古屋は「多様な性のあり方」を考えるキャンペーンを実施します。

“あなたでいてくれてありがとう Thanks for being you!”

東海地方にゆかりのあるLGBTQ+当事者やその家族が「あなたでいてくれてありがとう」と伝えたい人に手紙を送ります。彼らが紡ぐ言葉から、多様な性をめぐる生き方に思いをよせます。

第3回の主人公、愛知県一宮市出身の長屋友美さん(36)。
長年、自分がレズビアンであることを受け入れられなかった長屋さんは、7年前自分を変えるためにオーストラリアに留学しました。そこで出会ったのが同い年の親友、裕香さん。
その偶然の出会いが、長屋さんにとって初めてのカミングアウトとなったのです…。

うちらがオーストラリアで初めて会ったのが2016年だから、もう7年も経つんだね。
私と裕香は見た感じ全然違うタイプの人間で、最初会った時はまさかこんなにも仲良くなるなんて思ってなかった。
むしろ、合わないタイプかと。笑

忘れもしない、みんなでビーチバレーしてて、勝手なイメージで参加しなさそうだなって思ってたのに、まさかの全力で砂だらけになる裕香の姿と、出身が岐阜で同じ東海地方、そしてまさかの同い年っていう共通点で一気に距離が縮まったよね。

最初のうちは楽しいことを共有して一緒に楽しむ友だちって感じだったけど、一緒に過ごす時間が長くなるうちに、裕香が恋愛や仕事、これからの人生について葛藤する中でオーストラリアに来てることを知って、私とは全く違う人生を歩んできてる人だけど、すごく真っ直ぐ正直に自分の人生と向き合ってるなって感じたのを覚えてる。

出会った頃の私は日本で自分の要素の一部である”セクシュアリティ”に対してずっと葛藤してて、そんな自分が嫌で変わりたくてオーストラリアに行く選択をした。
あの時はまだ、私のセクシュアリティに関して話してはいなかったけど、一番近くにいる裕香の悩みながらも逃げずにもがく姿に私はすごく刺激を受けてたよ。
裕香が日本に帰国するとき、空港で2人で号泣したよね。
今までそういう場面で泣くタイプじゃなかったんだけど、自然に涙が溢れてきて自分でもびっくりした。
まさか半年後にまたオーストラリアで一緒にいるとは、あの時は思いもしてなくて…笑

裕香が日本に帰ってからも、お互いにたくさん近況報告とか相談し合ったよね。
私がファーム探しで家なし仕事なしになりそうな状況で起きたまさかの出来事覚えてるかな?
真っ先に裕香に電話して、あれは正直ピンチでしかなかったけど、話を聞いた裕香がポジティブ変換してくれたから、不安でしょうがなかったのが一気に”自分ってなんてラッキーなんだ”って本気で思えるようになってめちゃくちゃ救われたよ。

いつもそんな感じで、お互いに支え合ってたよね。
2人一緒に落ち込むことってまずなくて、どっちかが悩んでたり困ってたりする時はもう1人が相談に乗ったりサポートするっていう最強の関係。
そんな中で、大切な存在だからこそ幸せになってほしいって思いから、言葉がストレートになりすぎて裕香のことを傷付けたこともあったんじゃないかなって思う。
それでも、そんな私の言葉を受け止めて、”ありがとう”って言ってくれる裕香に甘えてたのは私の方かもしれない。

そんな裕香だからこそ、元々あんまり人に相談したりとか自分の話をするのが得意じゃなくてつい強がっちゃう私も、素直に色々話せたんだと思う。

裕香が改めてオーストラリアに戻ってきてくれて本当にうれしかったし、一緒にアサリ採りしたり、カヌーで事故ったり、ラウンドしたり、今でも全ての出来事が鮮明に思い出せるぐらい刺激的で楽しくて最高の時間だった。
あ、全身ダニにやられて数週間異常なかゆさに耐えきれず放心状態だった私を、見捨てずに付き添ってくれてありがとう!!笑
これも今ではいい思い出。

2人とも日本に帰国してからは、”水を得た魚”みたいにどんどん行動して環境も目まぐるしく変わっていったね。
目標が明確になってからの裕香の行動力は本当にすごい。
心が求めるままにどんどん自然体に近づいていく裕香の姿を見てて、私もうれしかった。
オーストラリアで悩んでたのがうそみたいに変わったよね。

私が上京して彼女ができた時、今まで誰にもカミングアウトしてなくて、反応が怖くて話そうとしたこともなかったんだけど…その時は、裕香には私の大切な人のこと知ってほしいなって、自然にそういう思いが芽生えてきて自分でも不思議だった。
裕香なら大丈夫、そう思ってはいたけどやっぱりどんな反応されるか、関係性が変わらないかっていう不安はあってめちゃくちゃドキドキしながら震える手で電話したんだよ。

緊張しすぎてて、自分がなんて言ったかもうあんまり記憶にないんだけど、“今度紹介してね”って自然に言ってくれた裕香の言葉が本当にうれしくて、心がめちゃくちゃ軽くなった。
変に重く受け取られたらどうしようって思ってたけど、言葉は軽く、それでもしっかりと受け止めてくれてくれたことに本当に感謝してるよ。
最初にカミングアウトしたのが裕香で良かった。
もしこうやって私の一部として自然に受け止めてもらえてなかったら、今オープンに生きられてる自分はいなかったんじゃないかなって、それくらい私にとってはあの時の裕香の言葉や雰囲気がありがたかった。
約30年間誰にも言えなかったことを、伝えさせてくれて、希望を持たせてくれて本当にありがとう。

それまでは、恋愛の話は適当に返事するか嘘つくかでごまかして生きてきたから、裕香に話してからは、自分の大好きな人の話を親友に話せる喜びをめちゃくちゃ噛みしめてたよ。
恋愛相談したり、のろけたり自然にできることがめちゃくちゃ幸せだった。

今は、家族にもカミングアウトして、オープンに生きれてて、数年前の自分には想像もできなかった人生を歩んでる。
それはオーストラリアで感じた、”人生”に対する価値観の変化と今までの自分の”当たり前”の崩壊。
そしてそこで出会った親友(ソウルメイト)の裕香の存在。
この全てが私に本当の自分の人生を歩むきっかけをくれた。

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