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市川房枝生誕130年、愛知の女性の政治参加の現状は?

  • 2023年05月18日

あえて空気を読まず、働く女性の視点から
社会に切り込む、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。
今回のテーマは、「市川房枝生誕130年、愛知の女性の政治参加の現状は?」です。

婦人参政権運動で知られる、市川房枝さんは現在の一宮市出身で、ことし5月15日、生誕130年を迎えます。
調べてみると、市川さんは14歳で、アメリカに渡ろうとしたり、当時の名古屋新聞、現在の中日新聞の初の女性記者だったり、婦人参政権運動後、戦後は60歳で議員になるなど、働く女性の道を切り拓いてきた、まさに先駆者なんです。

「婦選は鍵なり」

市川さんは「婦選は鍵なり」と女性が政治に参加することが重要だと訴えてきました。
では、女性の政治参加の現状はどうなっているのか。
ことし4月に行われた統一地方選の結果で見ていきます。

統一地方選挙の結果は?

今回の地方議会の選挙全体に占める女性の割合は、およそ20%と過去最高になりました。
また、市議会議員を見てみると、全国で1457人が当選し、こちらも22%と過去最高となりました。

そして、その市議会議員の女性の割合のトップ3は、最も多いのが、千葉県白井市で55.6%(定数18のうち女性10人)、2番目が兵庫県宝塚市で53.8%(定数26のうち女性14人)、そして、3番目が、愛知県日進市(定数20のうち女性10人)と東京武蔵野市(定数26人のうち女性13人)で、ともに50%となっています。
ただ、自治体によって差があるのが現状です。

愛知県内の市町村議会議員、女性の割合は?

今回の統一地方選が行われた、愛知県内の市町村議会議員の女性の割合を色分けした図です。女性の割合が30%以上が赤茶色、10%から20%未満がだいだい色などと、色がついているのが、今回統一地方選挙が行われた自治体です。

愛知県選挙管理委員会によりますと、愛知県内で女性議員の割合が多いのは、日進市が定数20人のうち女性は10人で50%、岩倉市は定数15人のうち女性は6人で40%。長久手市は定数18人のうち女性は7人で38.9%、大府市が定数19人のうち女性は7人で36.8%となっています。
名古屋市は定数68人中19人で27.9%です。
ちなみに、みよし市はこれまで女性議員は0人でしたが、今回5人が当選ました。

「政治は生活」

市川房枝さんの政治信念は「政治は生活」。政治は難しいものではなくて、生活をよくするためにあるので、台所と政治を結びつけて「政治は生活」、生活者である、女性が政治に参加することが大事だと言い続けていました。

そのため、市川さんは生活者の目線で、選挙も考えていました。

例えば、選挙費用はお金がかからないように、支持者が持ち寄るとか、住民の迷惑にならないようにトラック、拡声器を使用等しない、などです。

今回の選挙でも、赤ちゃんが起きてしまうからと「選挙カー」を使わない、という候補者もいましたが、市川さんは70年前に実践していたんです。

最もよき政治とは

市川さんが、政治はどうあるべきかを語った言葉があります。

「最もよき政治とは、国民の台所の米びつの中に米がいつでも満たされているようにすること」であり、同時に、「夫婦子どもが和楽して各々の職務に勤しむことができるようにすること」だと言っていたそうです。

まさに、生活者である女性が政治に参加すること、「婦選は鍵」なんです。

政治も男女共同参画を

今回の選挙で、女性議員が増えたといっても、平均で20%です。人口の半分は女性ですから、まだまだ少ないと言えます。

女性議員が増えるためには何が必要なのか、女性議員が増えた自治体、議会、何が変わるのか、取材を続けたいと思います。


取材を終えて
市川房枝さんの口癖は「私は憤慨しとるんですよ」だったそうです。そのため「憤慨ばあさん」と呼ばれていたとか。私もおかしいことには「おかしい」と声をあげ続け、「憤慨ばあさん」を目指したいと思います。

  • 山本恵子解説委員

    NHK名古屋放送局 報道部 副部長

    山本恵子解説委員

    愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。高校生の娘の母。

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