「しょうがっこうがだいすき」
ゆうきをだして おともだちにこえをかけてみよう
ひらがながかけるようにれんしゅうをしておこう


小学校が大好きになるために、やるといいことが書かれた絵本です。
3年前に発行され、なんと13万部のベストセラーになりました。
実は、書いたのは愛知の小学生なんです。
作者は、秋元ういさん。小学6年生です。2年生の時に書いた本が話題となり、絵本化しました。
(NHK名古屋 ディレクター 福島正修)


小学生にして"作家"という肩書を持つ、ういさん。
3姉妹の長女で、普段は妹たちと遊ぶのが大好きです。
「うーん、やさしいお姉さん」
「遊ぶときに自分の意見ばかりで聞いてくれないお姉ちゃん(笑)」

ういさんは、本を出版した経験のある両親に影響を受けて、自分も本を書いてみたいという思いが強くなっていきました。
「やってみたいことがあれば、よし、やってごらんよといろんなことにチャレンジできるようサポートしたり補助したりしています。」


ことし9月、新作を出版しました。そのテーマは、多様性!? 性的マイノリティーについてです。心と体の性が一致しないトランスジェンダーについて、興味を持ったことがきっかけでした。

「トランスジェンダーという人が本当にいるのか、お母さんお父さんに聞いたところ、いるって答えが返ってきたので、本当にいるか確かめてみたくなったやっぱり聞いておかないといけないっていうか、聞いておかないと、ずっと疑問に思ったままだから。」

絵本では実際にトランスジェンダーの方にインタビューをして、ういさんの素直な疑問に答えてもらいました。
そのひとり、日本初となる、同性パートナーシップ制度に関わった、杉山文野さんです。杉山さんは現在2児の父。戸籍上は「女性」、心の中は「男性」です。


「トランスジェンダーの人は、何に困っているんですか?」
「一番困っているのは、誰にもわかってもらえないんじゃないかと、人に相談できないこと。ほかにも、使いたい性別のお風呂やトイレも入れないことかな。」
さらに、こんなすごい取材も実現しました。
台湾デジタル発展部のトップ、オードリー・タンさんです。トランスジェンダーを公表し、多様性のシンボルとして世界的に注目を集めています。

「トランスジェンダーにとって性別の存在はなんですか。」
「トランスジェンダーにとっての性別は、虹の色のようなもの。自分の中にあるいろんな経験を表現することだと思う。」
「虹というのはグラデーションがすごくきれいなんですけれども。ちょっとずつ色が違うということで、人は虹のようだ、私もすごく納得しました。」


完成した絵本のタイトルは
「みんな えがおになれますように」
「もしかしたら自分のクラスにいるかもしれない。LGBTQについて書かれている子ども向けの本とか絵本はすごく数に限りがあって、特に小学生の方々には読んでもらいたいです。」
福島正修 ディレクター(NHK名古屋放送局)
ういさんが次に書きたい本の題材は、"戦争について"。沖縄戦や広島戦の戦争を体験された方に会って、インタビュー取材を進めているところだそうです。
また、本を書くのはういさんだけですが、2人の妹さんは、ビジネスや英会話に強い関心があって、お母さんはそれぞれ興味があるものを、応援したいと思っているそうです。
「自分で本を書けるとしたらなにがあるだろうと考えたら小学校についてだったので書きました。」