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【KYジャーナル】あなたの都道府県のジェンダーギャップ指数は?

2022年6月29日

あえて空気を読まず、働く女性の視点から
社会に切り込む、山本恵子解説委員(Keiko Yamamoto)の「KYジャーナル」。

1999年6月23日に互いにその人権を尊重しつつ、性別に関わりなく活躍できる社会の実現を目指し「男女共同参画社会基本法」が施行されてから23年。

国は、毎年6月23日から26日までを「男女共同参画週間」として男性と女性が、職場で、学校で、地域で、それぞれの個性と能力を発揮できる「男女共同参画社会」について考えてもらおう、と呼びかけています。

私たちの住んでいる都道府県は、性別を問わず活躍できるようになっているのか、男女の格差「ジェンダーギャップ指数」が公表されたので、愛知県の例を紹介しながら考えてみたいと思います。

日本のジェンダーギャップ指数は、世界156カ国中120位

「世界経済フォーラム」が毎年、世界の男女の格差を調査し「ジェンダーギャップ指数」を発表しています。
ジェンダーギャップ、つまり、ジェンダー格差が小さい国から順位が発表され、去年は、1位はアイスランド、2位はフィンランド、3位ノルウェー、4位ニュージーランドと続き、日本はというと、世界156カ国中120位と先進国では最低レベルでした。
主な国を見てみますと、アメリカは30位、イタリアが63位、韓国は102位、中国は107位でした。日本は男女の格差が大きい国と言えます。

特に格差が大きいのが、政治、経済分野です。
政治は国会議員や大臣に占める女性の割合などが低いことなどにより147位、経済は女性の管理職の割合が低いこと、男女の賃金格差が大きいことなどから117位となっています。

都道府県別ジェンダーギャップ指数

この「ジェンダーギャップ指数」を、国のレベルではなく、都道府県別に出してみようと 上智大学の三浦まり教授らのグループが、ことし2月1日時点の公表されているデータを使って試算し、政治、行政、教育、経済の4分野ごとの順位を発表しました。

愛知県のジェンダーギャップ指数は?

愛知県を見てみますと、政治は23位、行政は30位、教育は24位、経済は37位でした。
それぞれ分野は、6つから9つのデータが使われているので、注目すべきものを見ていきます。

【政治】

まずは政治の分野です。
衆議院、参議院の選挙区の国会議員、県議会議員、市町村議会議員の男女比、女性市町村長がいる割合、女性ゼロ議会の割合など6つの指標が使われています。

愛知県の国会議員の数は、衆議院と参議院の選挙区では23人中、女性は2人と28位。

▼県議会議員の女性の割合は99人中5人と5.1%で42位。
一方で、市町村議会議員の数は1134人中193人、17%で8位となっています。

政治分野で1位の東京都は、都議会の女性の割合は32.3%、市町村議会での議員の数が29.3%といずれも1位でした。

【行政】

続いて、行政は県や市町村の管理職の女性割合、審議会や防災会議の女性割合など9つの指標が使われています。

注目したいのは、防災会議の女性の割合。
自治体の防災計画を決める「防災会議」、愛知県は、69人の委員のうち女性は4人で45位でした。

防災会議は特にジェンダーの視点が重要だと指摘されています。
女性が少ないということは、例えば、災害時の避難所設営などに女性の視点が反映されにくいということなので、性暴力の防止などの観点からも大切です。

国が先月発表した調査結果では、市区町村の防災会議に女性がゼロの自治体と、女性が10%以上いる自治体の備蓄品の割合を比較したところ、例えば生理用のナプキンや女性用の下着、哺乳瓶や乳児用のおむつ、それに簡易トイレなどの生活用品の備蓄率が高いことがわかりました。

【教育】

教育の分野では、愛知県は、大学進学率は、男性が56.4%、女性が50.5%と23位でした。
大学進学率は、男女の格差もあるんですが、地域格差も大きいんです。
女性の大学進学率、トップは東京の74.1%、最下位は鹿児島の34.6%となっています。
教育で注目したいのが、校長先生に占める女性の割合です。
愛知県の小学校の校長は男性が746人、女性が221人と女性の割合は22.8%で25位、中学・高校の校長になると、男性586人、女性43人で27位ですが、わずか6.8%でした。

校長に女性が少ないと、子どもたちのジェンダー意識、例えば、リーダーは男性、など、その後の進学や職業選択などにも影響を与えるという指摘もあります。

調査を行った三浦まり教授は・・・

都道府県別ジェンダーギャップ指数を発表した、上智大学の三浦まり教授は、「ジェンダーギャップが大きいということは、女性は男性と比べて教育や就労が制限され、声を意思決定に反映させにくいことを意味する」。
「この結果をきっかけに地域ごとにジェンダーギャップが残る場所を見つけ出し、改善の取り組みにつなげてほしい」と話しています。

調査結果は、調査の事務局を務めた共同通信のホームページにありますので、「都道府県別ジェンダーギャップ指数」で検索してみてください。

ヤマケイの一言

「男女の格差がないのが当たり前」
人口は男女半数ですから、本来は格差がないのが当たり前。都道府県ごとに男女の格差が大きいところはどこかが明らかになったので、格差をなくす取り組みを進めてほしいと思います。

「男女共同参画白書」"もはや昭和ではない"

6月14日には今年の「男女共同参画白書」が公表されました。
ことしの白書は、「人生100年時代の結婚と家族」をテーマに特集を組んでいます。注目したいのは「もはや昭和ではない」と強調されたことです。

白書では、新型コロナウイルスの影響は、特に女性に大きかったことについて、「我が国において男女共同参画が進んでいなかったことが顕在化した」。
そして、「こうした問題の背景には、一人親世帯や単独世帯の増加など、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方の慣行、人々の意識、さまざまな政策や制度などが、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されている」と書かれています。

今年度の男女共同参画週間のキャッチフレーズは、17歳の作品。
「あたらしい」を築く、「あたらしい」社会へ。
今は、令和4年ですから、昭和のままの、社会や組織のあり方、意識を「もはや昭和ではない!」と見直し、アップデートしていく必要があると思います。

筆者

山本恵子解説委員(NHK名古屋放送局 報道部 副部長)
愛知県出身。1995年入局。金沢局を経て社会部で教育、女性活躍、働き方改革などを中心に取材後、名古屋局で赤ちゃん縁組や里親について取材。国際放送局World News部を経て2019年再び名古屋局。「子ども子育て応援プロジェクト#わたしにできること~未来へ1歩~」スタート。2021年より解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)を兼務。中学生の娘の母。