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ドラゴンズキャンプ特集 貧打解消へ 和田流のバッティング指導法とは

2023年2月8日

昨シーズン最下位に沈んだドラゴンズ。大きな要因は貧打でした。チームの得点、ホームラン数は両リーグワースト。打線強化のために就任したのが和田一浩打撃コーチです。立浪和義監督からバッターの指導を一任される中、和田コーチは沖縄でのキャンプで選手としっかり向き合い打線のてこ入れにつなげようとしています。

(NHK名古屋 スポーツキャスター 亀蔦なごみ)

責任を持ってやる

和田コーチにインタビューしたのはキャンプ2日目の夜。オフの期間の自主トレーニングを経てキャンプをスタートした選手たちの動きについてまず聞きました。

和田コーチ

「率直な感想ですか。自分の課題をちゃんと分かっている選手が多いのですごくいい練習ができています。立浪監督からは『任せているから頼むよ』と言われているので、責任感を持ってやっていきたいと思っています」

8年ぶりにドラゴンズのユニフォームに袖を通した和田コーチ。課題となる打線の強化を進めるにあたって大事にしていることがあると言います。

和田コーチ

「今はいろんなバッティングの理論が飛び交っていますし、その中でどの理論を選ぶのか、選手によってそれぞれ違うと思うんですね。私はやっていくべき方向を明確にしてあげたい。選手の考えを聞いた上で、こういう風にしていこうというものをいかに見つけるか。そうでないとこのキャンプやオープン戦といった準備期間が無駄になってしまいます。しっかり把握し進めていきたいです。漠然とキャンプを過ごすのだけは避けたいと思います」

選手をよく見て声をかける

和田コーチは現役時代、首位打者などのタイトルを獲得。通算2050安打でホームランは319本打ちました。引退後は解説者として外から野球を見つめ直し、選手に接する際の引き出しが増えているようです。その和田コーチが打線のキーマンにあげたのが、選手の時にチームメートだった高橋周平選手です。

高橋選手は昨シーズン、けがの影響もあって5年ぶりに規定打席に達しませんでした。背番号3を背負うプロ12年目の高橋選手は不振から脱しようと打撃フォームを模索しています。ただ和田コーチは今のところ「必要以上に考えすぎず自分が思う形で調整するように」とシンプルなアドバイスだけをしています。

和田コーチ

「高橋選手は去年までのバッティングスタイルではだめだと感じています。ただ良かった時のことも残像として残っているんです。彼はすごく不安がりというか選手はみんな不安なんですよね。シーズン始まる前って。自分のやっていることが本当にあっているのかと。ただ高橋選手は今、状態は悪くはないので、相談にしっかりのった上で彼自身が『これで突き進んでいくんだ』という自信を持たせてあげたいですね」

高橋選手

「(キーマンと言われて)やらないといけないと思っています。『あんまり悩まず自分のバッティングをすればいいから』と言ってくれています。とにかく結果を残すだけですね」

インタビューをした日の午前中、和田コーチは室内練習場でバットを振る高橋選手に声をかけていました。「いいよいいよ。それだよ。周平できているよ」と今の打撃フォームに不安を感じないように取り組ませている姿が印象に残っています。

期待する若手には飛躍のための斬新なメニュー

打線の底上げに欠かせない若手の成長。飛躍のきっかけをつかんでもらおうと、斬新な練習メニューが見られました。長打が魅力の2年目の鵜飼航丞選手は去年、開幕を1軍で迎えましたが、最終的には59試合の出場で打率2割6厘。期待されたホームランは4本に終わりました。和田コーチが自分にあった打撃フォームを見つけるのに取り入れたのがテニス。ラケットとバットを振る時の共通点である一連の動作でボールを打つ大切さを体に覚え込ませるのが狙いでした。

鵜飼選手

「テニスプレーヤーになったつもりで練習していました。いかにして小さくまとめて似たような形にできるのかというのが大事かなと思っています」

和田コーチ

「現場ではなくて上(実況席)から野球を見てきていろいろ勉強させてもらいました。そういった経験というのをチームに還元したいと思います。約8年ぶりに覚悟を決めてユニホームを着ているので、持っているものはすべて出し切って選手たちを応援していきたいと思っています」

取材を終えて・・・

就任会見の時にも「覚悟を持って引き受けることにした」と話していた和田コーチ。私はキャンプ初日、久しぶりにユニフォーム姿を見て懐かしい気持ちになりました。そして指導風景を見て、和田コーチならやってくれるという期待感も出てきました。選手の特徴を踏まえた指導は言うのは簡単ですが、それを実行するのは難しいことだと思います。ですが和田コーチは引き出しの多さを生かして、さまざまなアプローチを試みていました。何としても第2の和田選手を1人でも多く育てて、強竜打線復活につなげてほしいです。

筆者

亀蔦なごみ(NHK名古屋放送局スポーツキャスター)

愛知県東海市出身

昨年度からスポーツコーナー「月スポ」「金スポ」を担当しプロスポーツから地域のスポーツまで取材をしています。
趣味はもちろんスポーツ観戦!
中学高校6年間ソフトボールをしていました。