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どこに生理用品が?

2023年2月6日

私が(=記者)中部空港支局に赴任してまもない2022年8月上旬、空港会社から1つのリリースが届いた。

"生理用品無償提供サービスに関するピクトグラムの開発"

「空港で生理用品?」「ピクトグラム?」

中部空港の担当になってまだ数日。知識がない私はまずは見て勉強するしかないと取材を始めることにした。

(NHK名古屋 記者 中川聖太)

空港に生理用品

まず、どんなサービスなのか。

空港会社の担当者に案内してもらうことに。

担当者がスマホをかざすと、、、

あっという間に生理用品が出てきた。

アプリをダウンロードし、スマートフォンをかさずと、無料で生理用品を受け取ることができる。

2021年9月から女性用トイレの個室に設置されていて、国内の空港では初めてのサービスとのこと。

中部国際空港株式会社 ターミナル運用・CS推進グループ 田中李奈さん

「体調だったりとかで急にきてしまう、自分で気づかなかったけれども突然来てしまうっていうのは女性なら誰しもありえることかと思います。これがあることで安心をしていただいて、ご不安な気持ちを解消していただけたらなと思います」

「なんていいサービス!」

こう思った私は、なぜピクトグラムが必要なのかこの時点ではまだわからなかった。

どこにあるの?

その理由は利用者の声に。

空港会社の田中さんが見せてくれたのは2022年5月までに行った利用者へのアンケート。

好意的な意見があった一方で、改善を求める声が目立っていた。

"どの搭乗口にあるのかまでは知らなかった"。

"設置してあるならもっとわかりやすく"。

設置されているのは、国内線の、搭乗手続きなどを終えた制限エリアにあるトイレ。

しかも、生理用品を受け取れるのは5か所あるトイレのうち、2か所のトイレの個室のみ。

広い空港の中で、どこにあるのか、見つけるのが難しいという現状がわかったという。

中部国際空港株式会社 ターミナル運用・CS推進グループ 田中李奈さん

「見当たらず腹立たしい思いをしたというご意見もございまして。空港はほんと空間が広いですので、どこで手に入るのかっていうのがわかりづらいのかなと思います」

ピクトグラムでわかりやすく

そこで、わかりやすく場所を伝える手段として思いついたのが「ピクトグラム」。

しかし、生理用品を表すピクトグラムはなかったことから、グラフィックデザインを専攻している、名古屋市立大学の学生らに作成を依頼。

2022年8月、学生らはピクトグラムの作成を開始した。

デザインする上で、苦労したのが、空港という特殊な設置場所。

さまざまな国籍の人が利用する空港。
誰が見てもすぐに見てわかるピクトグラムにするにはどんなデザインにすればいいのか。

その上で公共の場所で不快感を与えないか。試行錯誤が続いた。

大学生

「ナプキンを大々的に公共空間にピクトグラムとして出していくことがいいのかどうか。他のピクトグラムとの差別化も空港だとほんとにいっぱいのマークがあるので、その辺も考えるのが難しいなと思います」

完成したピクトグラム

およそ半年間かけて完成した新たなピクトグラム。

2023年1月、案内板やトイレなど合わせて11か所に設置された。

22歳女性

「マークがあったらすぐそこにあるんだなとわかるので個人的にはあったほうが助かるかなって思います」

中部国際空港株式会社 ターミナル運用・CS推進グループ 田中李奈さん

「ピクトグラムが設置されることでよりわかりやすさが向上したのでないかと。使っていただく女性の方にわかりやすくというのはもちろんですけど、性別問わずですねこのような生理用品を受け取れる場所があるということみなさまに広く知っていただければと思います」

取材を終えて

空港で働く女性スタッフによると、女性の代わりに男性が生理用品の場所を聞くこともあるそうですが、みなさん間接的に表現するなど聞きにくそうにしているそうです。

私も、今回、空港を利用する女性にインタビューするときも不快を与えないように、いつも以上に言葉を慎重に選んで取材していました。

空港会社の田中さんにこのことを話すと、「気兼ねなく言えるような社会になればいいんですけどね」と話していました。

生理について、性別問わず、1人1人が知り、理解していこうとすることが大切ではないかと感じました。

この記事を読んで男性含め「こんなピクトグラムがあるんだ」、「生理のとき、そんな問題があるんだな」。そんな風に少しでも思っていただけると幸いです。

筆者

中川聖太 記者(NHK名古屋放送局)

2020年入局。警察、司法取材を経て2022年8月から中部空港支局。
中部空港で好きな場所は滑走路が見えるスカイデッキ。仕事でうまくいかない時に行くと、いかに自分が小さい人間なのかよくわかります。