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AEDで救える命 あなたも"救命サポーター"に!

ニュース特集

2022年10月27日

心臓が止まった人に電気ショックを与える「AED」。救命に欠かせない機器だが、実際の使用率はわずか4%ほどだ。
AEDで救えるのに救えていない命があるのではないか。2022年9月、「救命サポータープロジェクト」が始まった。
AEDで処置ができる人、「救命サポーター」を増やそうという新たな取り組みと、その背景を取材した。

心停止の救命に欠かせないAED

全国に60万台以上設置されているAEDの効果とはどれほどのものか。
突然心臓が止まった人の救命率は、何もしないと1分間に約10%ずつ低下するとされる。
心停止の人を救うために私たちができることは、主に①119番通報、②胸骨圧迫(心臓マッサージ)、③AEDによる電気ショックがある。

実は、救急隊が到着するのは、通報から平均8.9分。
救急隊の到着を待っていたのでは、8%の人しか救えない。
一方でAEDを使って電気ショックを行うと、半数以上の人を救うことができる。

しかし実際には、誰かの目の前で倒れた人にAEDで電気ショックが行われているのは、わずか4%ほどだ。

突然そうした現場に遭遇すると、混乱してAEDが必要だと思い浮かばなかったり、どこにAEDがあるのか分からなかったりするなどの原因が考えられる。

"救命サポータープロジェクト"開始

そこで、医師などで作る「日本AED財団」は、AEDを使って処置ができる「救命サポーター」を増やそうと、2022年9月30日プロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトを広めるために、財団では、誰でも無料で使える専用のアプリを開発した。

アプリには「最寄りのAEDを検索する」機能があり、クリックすると、現在地から最も近くにある3つのAEDの場所を表示してくれる。緊急で使用したいとき、AEDを探す時間を大幅に短縮できる。

また、救命方法の流れをイラストで確認できるほか、アプリの地図上にまだ反映されていないAEDを新たに登録することもできる。
誰もが救命サポーターになって、身近にあるAEDを登録したりすることで、いざというときに備えることができるのだ。

ゲームキャラの"推し活"でAED学ぶ

より多くの人にAEDを知ってもらうための取り組みはほかにも広がっている。

10月1日、名古屋市港区で、お気に入りのゲームのキャラクターを応援する「推し活」をしながら、救命処置を学んでもらおうというユニークな講習会が開かれた。

「推し活」を楽しむファンたちが、訓練用のキットを使って、胸骨圧迫は胸の真ん中を「強く、速く、絶え間なく」押し続けることや、AEDは器械の音声に従って操作すればいいことなどを学んだ。

「救命講習に興味はあったが、きっかけがなくて。コラボのおかげでより自分事にできた」

「身近に感じられて学べてとてもよかった」

こうした講習会は、日本AED財団がオンラインでも開いているほか、各地の消防や日本赤十字社なども開催している。

講習会を受け救命できた例も

心肺蘇生法やAEDを学んだことで、救命につながった例も報告されている。
2021年の大型連休中、神奈川県鎌倉市の中学校で、1人の教師が部活動中に突然倒れた。呼びかけに反応しない教師に、生徒たちはすぐに胸骨圧迫を開始。10数分後に救急隊が到着するまでに、体育館に設置されていたAEDで電気ショックを行って、教師の命を救った。
どんなケースでも救えるわけではないが、中学生たちの行動は、その場にいる人の迅速な対応が救命につながることを示している。

"完璧でなくていいのでできることを"

救命サポータープロジェクトを立ち上げた日本AED財団の石見拓専務理事は「AEDは、電気ショックが必要かどうかの判断をして、音声で指示してくれる。目の前で人が倒れ反応がなければ、119番通報する、AEDを取りに行く、人を呼ぶ、など完璧でなくていいのでできることをしてほしい」と話す。

大切な人の命を救うために

「AEDは飾るものではなく、使うもの」

11年前、心臓突然死で亡くなった桐田明日香さん(当時小学6年生)の母親桐田寿子さんの言葉だ。明日香さんは、1000メートル走を走った直後に運動場で倒れ保健室に運ばれたが、その保健室にあったAEDが使われなかった。

「救急隊が到着前にAEDが使われていたら、明日香は助かったはずだ」

寿子さんは、AEDで救える命を救いたいと、事故後からAEDの積極的な使用を呼びかけてきた。
今回始まったプロジェクトの名は"team ASUKA"。明日香さんが大好きだった家族、そして友達を救える社会にしたい。そんな思いが込められている。
誰にでも起こりうる、突然の心停止。
あなたも私も救命サポーターになって、「AEDがあるのに使われず救えなかった」をなくしていきませんか。

筆者

松岡康子 記者(NHK名古屋放送局)

静岡局、豊橋支局、名古屋局、科学文化部、生活情報部を経て、2013年から再び名古屋局。主に、新型コロナなどの医療分野や介護分野の取材を担当。
AEDについては、一般の人の使用が認められた2004年から継続取材。
愛知県小牧市出身で、2人の息子の母親。