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新型コロナ"第6波" 相次ぐ学級閉鎖で「1人1台端末」の活用は

ニュース特集

2022年3月15日

2022年に入ってからの新型コロナウイルスの「第6波」で、臨時休校や学級閉鎖を行う学校が相次いでいます。
文部科学省は、全国の小中学校で配備を終えている1人1台のタブレット端末を活用して、自宅でも学習支援を受けられるよう、対応を求めています。
一方で、自治体や学校によって、取り組みにばらつきが出ているのではないかという保護者からの声もあります。
教育現場では、この端末の活用がどこまで進んでいるのか。現状と課題を取材しました。

いち早く活用を進めてきた自治体では

愛知県内で、いち早くオンライン教育を進めてきたのが、岡崎市です。

岡崎小学校では、「第6波」でも、タブレット端末で学校と家庭の子どもたちをつないで、スムーズに授業を進めてきました。

岡崎市が、オンライン教育で一歩先を行っている背景には、前の年からの取り組みの積み重ねがあります。
「第5波」が猛威を振るっていた2021年9月、岡崎小学校では、クラスを半分に分け、教室とオンラインの授業を交互に実施。本格的にオンライン授業の導入に踏み切りました。

このとき、家庭で1人になると端末をうまく扱えない子どもがいたことから、端末をふだんの授業から積極的に活用し、端末の操作に慣れるよう努めてきました。

さらに、市は、学校を通じて小中学生の家庭を対象にオンライン環境のアンケート調査を実施。必要な家庭にはモバイルルーターを貸し出すなど、率先して環境整備を進めました。

「第6波」では、一方的に授業を配信するだけでなく、「第5波」以上に双方向でやりとりができるよう工夫しながら授業を続けています。

課題をやりとりするアプリでは、子どもたちが文字を書き込む様子が、リアルタイムで表示され、離れていても、子どもたちの理解度がわかります。

端末の活用を進めてきたことで、教室で行うものに近い授業が可能になりつつあると言います。

小田昌男校長

「なによりも子どもとつながる、子どもの表情を見ながらリアルタイムで学習を進めることができるという意味ではとても有意義なツールだと思っています」

"第6波"で見えた課題

一方、臨時休校や学級閉鎖が相次いだ「第6波」では、オンライン教育の課題も浮き彫りになりました。

名古屋市のある公立小学校では、のべ6クラスで学級閉鎖を余儀なくされたほか、濃厚接触者になるなどして、欠席する児童が相次いでいます。

この日も、2人が自宅から授業に参加。教室の子どもたちと一緒に問題を解き、端末を使って提出していました。

基本的な環境整備に課題

ところが、今、直面しているのが、故障による端末不足です。

名古屋市の小学校の校長

「本校は、予備の端末が10台弱ぐらいあるらしいんですけれど、それ以上に修理に出していますので、足りていない状況ですね」

半導体不足などの影響で修理が長引いていることもあり、市が確保している予備の端末を使っても、やりくりはギリギリ。児童全員が一斉に持ち帰れるだけの端末を確保できない時もあるといいます

さらに、家庭ごとにオンライン環境が異なるため、長時間、オンラインで授業を行うことは、現実的ではないと言います。

名古屋市の小学校の校長

「月々の負担が増えますので、制約が出てしまうご家庭もあるかと思います。つなぎっぱなしではなくて、オンラインでのやりとりは、短い時間でより効果的にというのを現場としては探っていかないといけないと思っています」

基本的な環境整備がネックに

端末の整備や通信環境など、基本的な環境整備がネックになって、取り組みに差が出ているオンライン教育。

愛知県内では、弥富市や蟹江町などが、文部科学省の調査に対し、2022年1月の時点で「子どもたちが端末を自宅に持ち帰って活用する準備ができていない学校がある」と回答しました。

理由について、弥富市の教育委員会は、
▼そもそも端末をリース・購入した段階で、持ち帰っての使用を想定しておらず、破損の際の補償などに問題が生じることや、
▼学校のサーバーの容量が十分でないことなどを挙げています。
また、蟹江町の教育委員会は「公教育である以上、家庭のオンライン環境に差がある現状では、活用を進められない」としています。

学びの"格差"どう解決するか

自治体や学校によって対応が異なれば、学びの「格差」につながりかねません。こうした現状をどのように解決していけばいいのでしょうか。

教育のデジタル化の専門家で、国際大学グローバルコミュニケーションセンターの豊福晋平准教授は、端末を活用しながら、環境整備の必要性に理解を広げていくことで、活用と環境整備を、いわば「車の両輪」として進める必要があると指摘しています。

豊福晋平准教授

「端末をどのように活用するか、教師や自治体だけで決めるのではなく、家庭も含め、学校や自治体などの当事者で、共通の認識を持つことが必要だ。そして、端末の活用を進める中で、家庭でのオンライン環境の整備などに保護者の理解を広げ、協力を得ていくことが必要だ」

子どもが学ぶ時間は取り戻せない

「第6波」により、学校に来られない子どもたちへの学習支援を行う必要に迫られる中で、1人1台端末の有効性に改めて気づかされた部分も多いと思います。
対応が遅れる一方で、子どもたちが学ぶ時間はどんどん過ぎていってしまい、取り戻すことができません。文部科学省も求めているように、まずはできる取り組みから進めていくことが必要ではないでしょうか。

筆者

佐藤 裕太記者(NHK名古屋放送局)
2019年入局。警察担当を経て、2020年から愛知県政を担当。進学塾で熱血講師をしていた経験を生かし、教育分野の取材に取り組む。