
みなさんご存じの豊臣秀吉ですが、「どうする家康」の秀吉は、これまでのドラマや小説とは違う印象を受けている人も多いかも知れません。
「どうする家康」では、親しみやすいお国ことば(尾張弁)を強調するかのように使い、意味なく後ろから蹴られても、なぜかいつもニコニコ笑顔で対応する木下藤吉郎(秀吉)。
ただの気のよい善人なのか。果たして...?
そうした藤吉郎が秀吉と名乗るようになり、少しずつあの笑顔の裏に秘めていた野心がかいま見られ...。
現在ドラマでは、ついに家康を家臣にして、小田原攻め、朝鮮出兵などに突き進む秀吉の様子も描かれています。
すべてのシーンの撮影を終えた直後のムロツヨシさんにお話を聞きました。
秀吉を振り返って

ムロツヨシさん
最初は緊張といいますか、自分にやりきれるかどうか不安はあったけど、大きいやりがいがありました最後まで。遠慮は何も生まないと思って、この役をやらせていただくとき、意見を言わせていただき、提案もさせていただきました。お市様へ手をほおにもっていくところなどは提案させてもらいました。茶々にも同じくやるのですが、そこはよかったら同じ動きをやりたいと伝えました。




お市は、ほおに添えられた秀吉の手を払いましたが、娘である茶々は笑顔で受け入れました。この腹の内が分からない茶々の度胸に秀吉は動揺。一方で自分と似ているものを感じた瞬間だったのかもしれません。今後の物語の伏線になる大事なシーンとなりました。
家康・松本潤さんとの関係

加藤
以前のインタビューで家康演じる松本さんとなるべく会わないようにしていると話していましたが、変化はありましたか?
ムロツヨシさん
最初はそうしていました。ちょっと友人関係があるので。ちょっと友人関係って意味が分かりませんね(笑)意味をくみ取ってもらえれば。序盤の秀吉が醸し出す"なんだこいつ感"を出すときというのは、仲がよいと遠慮してしまうところもあるし、手の内を出さない、好き勝手やるので、家康が困り、嫌がってくれたらいいなというのもありました。信長様を通じて出会うことになってから少しずつコミュニケーションは取っていったけど、(9月に放送される)第34~35回くらいからはすごくそれが出ていると思うのでちょっと(芝居が)変わっていると思います。
秀吉は"ダークピエロ"

加藤
これまでさまざまな役を演じてきたムロさんが秀吉を演じていて、ここおもしろいなと感じたのはどんな部分ですか?
ムロツヨシさん
どこかでダークヒーローにならなくてはいけないけど、信長様のようなヒーロー・スターではない。秀吉は"ダークピエロ"なんです。人の前で笑われることすらも計算に入れながら時代をつくっていく。時代を切り裂いていく。みんなが分からないことが見えているからこそ、自分のやりたいことをわざと隠れて進めさせるような才覚のあった人。そこは大事にしました。また、なんでこの人が、これで天下が取れるのだろうと思ったときに、"予知能力"が誰よりもあって、先見の明ではないけど、そういうものがあったのではないかと気がつきました。だいぶ当たると自分で自覚してからすごく動きがよくなって、信長様の死をなんとなく予見しているんですよね。すべての空気、時代の匂いがよめていたからこそ、第六感とか言ったりしますけど、秀吉には確実にあって、ちゃんと自覚もしていて、動きも自分ですべて計算がたっている人なのだと思います。さらに、失敗してもすぐに計算を戻せる人でもあります。柔軟性もとてつもなく恐怖だったと思う。周りとしては怖いですよね。失敗したら普通は動揺します。でも秀吉は動揺する次の瞬間、次のことを考えているので。恐ろしいことですよ。
注目は家族のシーン!


ダークな面が増えている秀吉ですが、今後の注目シーンを聞いてみると戦いのシーンではなく、家族のシーンと答えてくれました。
実は、「どうする家康」について脚本の古沢良太さんは、家康や瀬名など「家族」が大事なテーマになると事前のインタビューで語っていました。戦国時代ならではの家族の形。
どのように描かれるのでしょうか?
ムロツヨシさん
見どころは、茶々との関係性。寧々さんも。そのファミリーとしての関係性だと思います。ファミリーだから見えるものがこの作品を通して見える。豊臣家が見えるところがあるので家族のところは楽しみにしてもらいたい。
加藤
豊臣家でもそこが見られるんですね。
ムロツヨシさん
豊臣家の絆の形がどうなっているのか。絆は存在しないのか。そこは見ていただきたい。
ムロさんの愛知の楽しみは...?

最後に、以前のインタビューで「愛知の街に出て居酒屋でみんなとお酒を飲みたい!」と語っていたムロさん。名古屋でそうした機会がなかったためその目標は実現していないそうですが、新たな楽しみができたと言います。
ムロツヨシさん
愛知はサウナ文化がとてつもないスピードで進んでいるんです。東京ももちろん名古屋のスピードたまらないですよ!
加藤
行きましたか?
ムロツヨシさん
あの有名サウナにいきました!あすは違うところまで行きますから。このイベントの次にあすのサウナの予定を入れました(笑)居酒屋にもサウナにもまた来たいです。
筆者・編集を終えて

「まるっと!」リポーター 無類の歴史・ドラマ好き"カトリーナ"こと加藤里奈
2005年、私が中学生のとき『踊る大捜査線 シリーズ』で初めて見たムロツヨシさんが気になり、当時検索機能が今のように発達していないガラケーのWEB機能で名前を調べたのを覚えています。最近では『ウロボロス~この愛こそ、正義。』の若頭の右腕役の芝居にゾクゾクしましたし、福田組『スーパーサラリーマン左江内氏』や『今日から俺は!!』はコミカルな芝居が最高でした!そんなさまざまな役を演じてきたムロさんが表現していく秀吉の裏話、興味津々で聞きたいことがたくさんあって、時間が足りないくらいでした。
"ダークピエロ"や"予知能力"などの話を聞いたときは、唯一無二の"ムロ秀吉"を完成させてムロさんならではの答えを導き出しているのを教えて頂けて胸が高鳴りました。
番組「まるっと!」の片手をくるっと回わすポーズをお願いすると、すぐに両手を前に出して包み込むようなポーズをやっていて「それ"ZIP!"です」と突っ込ませて頂きました(笑)カメラが回っていない待ち時間もスタッフ含む部屋にいた20人くらいの関係者が笑いに包まれていました。
まだまだ"秀吉回"は続きます!小田原攻め、朝鮮出兵、そしてムロさんが注目と話す家族。どうなっていくのか楽しみにご覧ください!!
物語は、東海から。
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【公式サイト】
加藤
この秀吉、演じきって振り返っていかがですか?