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若者×戦争 "幻のジブリ映画"をめぐって

2023年1月16日

2022年12月9日放送の、東海ドまんなか!「いまに戦争を伝える 愛知発"幻のジブリ映画"」。高畑勲監督が生前、企画した戦争映画について取り上げました。原作は、愛知の児童文学作家・しかたしんさん(1928-2003)が書いた「国境」。戦時中の朝鮮・満州を舞台に、ある日本人の青年が、行方不明の親友を探し、2万キロの旅を繰り広げる冒険小説です。今回、この作品を読んだ愛知の中学生・高校生6人が、戦争について話し合いました。現代の若者にとって「戦争」とは?

"若者が戦争に触れる機会"どれくらいある?

はじめに中高生の皆さんに聞いたのは、ふだん、戦争について考える機会が、どれくらいあるかということです。すると、そうした機会は決して多くないと口をそろえます。

村瀬太星さん

授業で、何年に何があったとは習うので知ってるけど、正直、それ以上のことを友だちと話し合ったりするっていうことはないですね。

村瀬太星さん【中学2年】

「はだしのゲン」全巻読破 「火の鳥」「Dr.スランプ」も好き

石川陽彩さん

歴史のテストのために復習しとこうとか感じで、あまり考えずに、「ああ、こういうことがあったんだな」って覚えて、もうテストに取り組む、みたいな感じです。

村瀬弘樹さん

学校で歴史を教えてくれるんですが、「昔の人が起こしたこと」として教えられている気がして、自分もそう捉えてしまうんです。だから、そこから先に行かないっていうか、考えるというところまでいかないですね。

高桑優さん

学校の歴史の授業以外で、もう戦争はなるべく遠ざけていたい、自分から離していたいから、日常生活で考えることはそうないし、なるべく距離を置いておきたいと思って避けちゃいます。

若者たちにとって新鮮だった「国境」

そんな中で、今回読んでもらった、戦時中の朝鮮・満州が舞台の「国境」。皆さん、最初は少しハードルを感じたものの、一度読み始めると、最後まで興味深く読み進めたといいます。

高桑優さん

物語に自分がどんどんのめり込んでいきました。新鮮だったし、戦争をもっと身近に感じられました。

高桑 優さん【高校1年】

Tik Tokで「棒人形ダンス」の動画を公開 760万回再生

石川陽彩さん

自分と同じぐらいの年の子が出てきたので、「私がここに入ったらどうなるんだろう、もう死んでいるかもしれない」と思ったりしました。私と同じ年の子でも、戦争に本気で向き合ってる子がいるってすごいなって思って。

村瀬弘樹さん

日本といえば、戦争に負けてアメリカに統治されたという印象が自分の中にはあったのですが、朝鮮・満州を日本が統治していた時代があると知って驚いたというか・・・

村瀬弘樹さん【高校1年】

趣味は演劇 特技は殺陣 将来の夢は舞台俳優

特に驚いたのは、今の時代とは違う、当時の満州の暮らしの描写でした。

村瀬太星さん

日本人と満州の人で給料に差があるという描写があるんですけど、差別みたいなことが当時あったんだなっていうのが、ちょっと驚いたことですね。

福本いおりさん

警察に、急に「身分証明書を提示しろ」と言われる場面があるのですが、選択肢というか自由を与えられない中で生きていることが、今の時代の私たちにとってはあり得ないことだなと思いました。

田中奏楽さん

日本人が、自分たちの文化を満州の人たちに強制して、日本式に変えていこうってするのですが、その道筋が戦争そのものじゃないかなって思いました。

どう受け継ぐ?戦争の記憶

大事な話だとはわかっていても、ふだんは、「遠い時代の話」と、なかなか関心が持てない「戦争」。でも「ちょっとしたきっかけがあれば、若い世代も関心が持てるのでは?」と言います。

福本いおりさん

国語の教科書で、戦争の物語、「ちいちゃんのかげおくり」とか「一つの花」とかを読むと、戦争のことについて考えたりするんですよね。

福本いおりさん【中学1年】

村上春樹が大好き おすすめは「1Q84」「ねじまき鳥クロニクル」

高桑優さん

学校教育って時間が限られているじゃないですか。限られた時間の中で、どうしても、戦争についても、事実や結果を教えるだけになっちゃう。だから、映画や本が、子どもが戦争について考える、いいきっかけになると思います。教室の本棚に戦争についての児童文学書を入れてくれるとか、私が小学生のときにやってほしかったなって思うし、もし自分が小学校の先生になったらやろうって思うし、きっかけをつくってくれるといいなと思います。

村瀬弘樹さん

この「国境」っていう本を読んで、「こういう考え方もあれば、こういう見方もできるよな」っていうのを頭の中でいろいろ考えていくうちに、ああ、誰かとしゃべりたいと思ったんです。それこそジブリとかの映画にして、とても多くの大衆の目に触れるようになったら、多分いろんなところで議論とかもできると思うし、もうとにかく多くの人に読んでほしいなっていうのが率直に思ったことです。

田中奏楽さん

映像にはない、本の良さもありますよね。たとえば「国境」が映画化されたら、映像があるので、自分の想像がそれ以上膨らまなくなってしまうけど、本だったら、自分の想像を膨らませることができる。

田中奏楽さん【高校2年】

部活は「ボランティア」 先月 修学旅行で広島・原爆ドームへ

村瀬太星さん

何か一つきっかけがあると、どんどんそれについて知っていこうって思う子が多分増えるんじゃないかなって思う。

福本いおりさん

大人になっていくと、大人の考えというか、ちょっと頭も固くなっていってというか。だから、なるべく小さいころにそのきっかけを持った方がいいっていうことかな。

どうすれば戦争を防げる?

ロシアによるウクライナ侵攻など、今も、世界から戦争はなくなっていません。最後に、どうすれば戦争はなくなるのか、皆さんと話し合いました。

村瀬太星さん

今もロシアとウクライナの言っていることがお互い違って、どっちを信じたらいいのかなっていうのは、こっちから見ているとすごく不思議っていうか・・・。やっぱり暴力って手っ取り早いんですよね。それで、その暴力をふるっちゃう。これがもっと大きい話で言えば戦争になるのかなって思うんで、自分の意見と相手の意見を交えて話し合って一番いい案を選んでいくということを世界の国々でもできたら、世界の戦争もなくなってくんじゃないかなっていうふうに思います。

石川陽彩さん

強いとか弱いとかではなく、互いの意見を尊重し合うことで、平和になっていくのかなって思います。

石川陽彩さん【中学2年】

ジブリは全作品鑑賞済み ジブリパーク行きたい!

田中奏楽さん

「国境」を読んで、人と人っていうのは身分とか、言語とか宗教とかいろいろ違うけど、やっぱりつながり合えるんだなっていうのを思ったんです。主人公の昭夫は、日本人を敵に回してまでモンゴル人を助けたじゃないですか。多数派を敵にするほど怖いことはないと思うけど、それでも自分の意思を貫いたってことがすごいいいなと思いました。

高桑優さん

「国境」の物語は、若者たちが自分の意思を持ってちゃんと行動に移すことによってどんどん物語が進んでいく。だから、その自分の意志ちゃんと持って行動しようねって言ってるように感じます。「私はこう思ってるんだよ、あなたはどう思う?」みたいな議論が必要だと今思って・・・。ちょっと見栄を張っちゃうじゃないですか、どうしても。その見栄張りはいらなくて。もっと素直に、相手の意見もちゃんと踏まえつつ、自分の意見もちゃんと言って、それで平和になれば、それに越したことはないなって。