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"さまよう若者たち"どう向き合う 全国こども福祉センター・荒井和樹さん

東海 ドまんなか!

2022年9月2日

繁華街で一晩中、仲間とすごす若者たち。彼らはなぜそこに集まるのか。社会や私たちはどう向き合えばいいのか。名古屋駅前で子どもたちへの声掛けを続ける、全国こども福祉センターの荒井和樹さんに話を聞きました。東海ドまんなか!「さまよう若者たち」(9/2放送)

名古屋に集まる若者たち

東海地方では、名古屋駅・栄・金山に集まります。栄は「映える」スポット。うしろには観覧車があるしホテルのネオンがあります。「俺らの文化を発信しよう」みたいな意識があると思います。全国的には、東京「トー横」、大阪「グリ下」、名古屋「ドン横」、福岡「警固キッズ」があります。栄には商業施設が多く、盛り上がる条件はある程度そろっています。久屋大通が整備され、芝生ができ、座れるところが増え、集まるようになりました。

「自由」と「主導権」求め、街に集まる若者たち

彼らはふだん、地域社会で、固定化された役割とキャラクターで、生きづらさを感じながら暮らしています。既存のコミュニティーでは、仕事もアルバイトも部活も、目的と成果が決まっていて、成果を出さなかったら、ただの役立たずになってしまいかねません。それが、遊び相手がいるところに行くと、自身を受け入れてもらえるし、自分自身もその中で新しく「地位」を築き直せるチャンスがあります。都市部には自由があり、自分たちが主導権を握りやすい環境があります。かわいかったり、かっこよかったりすれば、すぐに上位にいけます。フォロワー数が多く、インフルエンサーの素質を持っている子は、そこで勝ち上がり、はい上がれるチャンスがあります。自分が活躍できるコミュニティーは居心地がいいです。それを彼らは探しています。

搾取され、だまされ、傷つく「弱者」

ただ、そこは、大人も参加する「競争社会・商業主義・能力主義」の場でもあります。弱者は搾取され、だまされ、傷つけられます。学校・家庭・地域で見ていれば解決できた問題も、そこでは解決できません。これは昔から続いている問題です。ホストにはまり、高額の出費をしてしまう人も昔からいました。これまでも繰り返されてきたことが解決されないまま放置され、最近またスポットが当たっていると感じます。SNSなどのツールは変化していますが、問題の構造は変わっていません。

自分を傷つける若者たち

やんちゃな若者は昔からいましたが、最近では、他者に暴力をふるうのではなく、自傷・ドラッグなど、自分自身に暴力を向けるようになっています。背景には、インスタやツイッターで、自分の信用や評価が「見える化」されることがあると思います。暴力をふるっても、恥辱・スティグマ(社会的偏見)になります。

子どもたちを"尊重"する

大人は、子どもたちの自由を奪い、しばりつけるのではなく、価値観を尊重する必要があります。可能なら一緒に現場に行き、体験する必要性があります。そうすれば、子どもたちの見えているものがわかります。経験・共感が大事です。「分からない」「共感できない」と言ってストップしてしまっている大人が多いです。時間がなく生産性重視で働いているから、子どもたちの趣味や価値に寄り添う時間が取れていません。SNSなどの新しいツールが出てきてあきらめてしまっていますが、そこに、あえて挑戦してみることも、彼らに近づく・理解するという意味では大切ではないかと思います。わかり合えない大人に対しては、子どもは「この人に話しても無駄だ」となってしまいます。たとえ理解できなくても尊重し否定しないというスタンスが重要です。

大人は、踏み込みすぎず、"参加"する

学校や就労をベースにした社会で、彼らはうまく活躍できていませんが、社会が多様だと考えたときに、彼らが、自分と近い考えや価値観を持っている人たちと集うのは、むしろいいことです。副産物的に薬物被害や性被害があるわけであって、そこがメインになっているかのように報道されてしまっていることも問題があるのではないかと思います。たしかに、事件にはしかるべき対応をすべきですが、それ以外のことに関し、いろいろ言うのは踏み込み過ぎという印象も持っています。彼らがパーティーを開いたとき、パーティーが悪いみたいなことになりますが、引きこもっている子がパーティーをしていたら、むしろいいことなのではないかということにもなります。子どもたちだけで集まるから、当然ルールやモラルは低くなりがちですが、そこにいろんな人たちが参加していればいいのではないかと思います。

大切なのは"教育"

子どもたちがこういう社会でも生きやすくなるような教育活動をしていくことが大切です。単純な解決策をたてることは、子どもたちや親からしたら、すごく嫌だと思います。「親を支援すべきだ」、「子どもを支援すべきだ」のどちらかの結論になることが多いと思います。誰かに問題を押し付けるような形にしてしまうと、結局分断を招きます。人々がより良く生きていけるような教育活動が必要です。

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