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祖国にも日本にも居場所がない~祖国に帰れない外国人が直面する現実~

東海 ドまんなか!

2022年4月8日

「わたし 12.5kg くらい やせて います
ほんとう に いま たべたい です」

1年前の2021年3月、私は名古屋市にある入管の収容施設でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなったというニュースを目にしました。
生前彼女が書いた手紙には「ほんとう に いま たべたい です」という文字が。
なぜ助けを求めていた彼女が亡くならなければならなかったのか、二度と同じことを繰り返してはいけないと感じ、去年5月「あるスリランカ人女性の死~入管収容施設でなにがあったのか~」という番組を制作しました。

当時の記事「スリランカ人女性の死が投げかける入管施設の"長期収容"問題」

「ここから連れて行って」ウィシュマさんを救えなかった後悔

ウィシュマさんの手紙を受け取っていたのはシンガーソングライターの眞野明美さんです。
眞野さんはウィシュマさんが収容施設を出たら一緒に暮らすことを約束していました。
私が初めて眞野さんの家に伺った日、眞野さんはウィシュマさんを迎え入れるために用意したベットカバーや一緒に料理するために買ったフライパンを見せてくれ、心から楽しみにしていたことを教えてくれました。

眞野さん

「わたしにとっては娘ができるような気持ちだった。
一緒に暮らしたらやりたいことがたくさんあったね。
亡くなる3日前、『ここから連れて行って』と言われた言葉が忘れられない。
ウィシュマに何もできなかった。助けてあげることができなかった後悔がずっとあるね」

二度と繰り返したくない 始まった"共同生活"

ウィシュマさんを亡くしてから1年、眞野さんは同じことを繰り返さないために、行き場を失った外国人を自宅に迎え入れ、生活のサポートをするようになっていました。

住人の一人がウガンダ出身のルーバさん。
祖国でイスラム教の布教活動をしていたところ夫を殺され、命の危険を感じ、在留資格を持たないまま日本に逃れてきたといいます。
難民申請を出していますが、未だ認められていません。

ルーバさんは来日後、約3年間、収容施設に入っていましたが、入管が犯罪や逃亡の恐れがないと判断した場合などに認められる「仮放免」という制度で、外に出て眞野さんの家にやってきました。

逃れてきた日本でも 先の見えない生活続く

住人のみなさんは、眞野さんの家にたどり着いた今も先の見えない生活を続けています。
仮放免中は働くことは禁止され、県外への移動も制限
さらに健康保険に入れないなどさまざまな制約があります。
在留資格がないため、自分で家を借りることもできません。
さらに、仮放免は一時的なものでいつまた収容されるか分かりません
再収容への恐怖や先の見えない生活がいつまで続くかわからないストレスから心身共に不調があらわれ、多くの住人が病院に通院する日々を送っています。

眞野さんは在留資格を持たず、祖国にも帰れない外国人が
"人として"生きていけるようサポートをしています。

眞野さん

「在留資格を失っていたとしても、命を奪う権利は誰にもない。
目の前に生きいる人たちの人権が守られて、人生もう一回歩けるようにサポートするっていうのはウィシュマさんからの宿題だと思ってるので、やれる限りはやる」

誰でも人間らしく生きていけるような社会へ

一昨年の日本の難民認定率は1%未満と先進国の中でもその認定率の低さは際立っています。
認定されるまでのプロセスも申請者が難民であることの証拠や関係者の証言を集め自ら立証することが求められ、容易ではありません。

住人のみなさんに話を伺ってみると、祖国や家族とも離れ、日本にやってきた背景には私には想像もできない壮絶な事情がありました。
在留資格がない外国人を「危険な存在」としてシャットダウンする前に、どうしてここで生きようとするのか、その背景に耳を傾けることも必要だと思います。
どんな人でも人権が守られ、人として生きていける社会に変わっていけるよう発信を続けていきたいと思います。

筆者

NHK名古屋 ディレクター
大間千奈美
2018年入局 政経国際番組部を経て現所属
LGBTQ、在留外国人の人権などをテーマに取材

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