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あのとき、何食べた? ガンビアへの愛を育む料理 ドモダ・フフ


皆さんには、"忘れられない食事"はありますか?
「あのとき、何食べた?」は、中部に住む外国籍や外国にルーツのある方々の"忘れられない一品"を掘り下げるグルメドキュメントです。

名古屋市でレストランを営む、ビントゥ・ジャロさん。
33年前にガンビア共和国からやってきました。
日本にはガンビアの大使館がないため、2015年から名誉総領事の仕事もしています。
"ガンビアと日本の懸け橋になりたい"
そんな彼女の思いが詰まった料理を紹介します。

目次

【ビントゥさんの"あの時"】母国を知ってほしい。偏見を変えるために作ったレストラン

ビントゥさんの思い入れ深い料理は、ガンビアの国民食「ドモダ・フフ」。ピーナッツバターを良く水に溶かし、刻んだトマトやタマネギ、ピーマンなどのお好みの野菜を一緒に入れて、色が変わるまでじっくり煮込みます。そこに鶏肉、オクラ、ショウガを水と加えスープ状にし、主に西アフリカや中部アフリカで主食とされている "フフ"にかければ完成です。ガンビアではスープ状にする前のカレーのような「ドモダ」をライスにかけて「ドモダ・ライス」にして食べるのも定番だそうです。
そんなビントゥさんが名古屋でガンビア料理レストランを始めたのは2年前。日本ではまだ知名度の高くないガンビアのことをより多くの日本人に知ってもらうためには、現地の味を食べてもらうのが一番と考えました。

ビントゥさんは33年前に来日し、2人の子供を育てながら英語教師をしていました。
日本での暮らしの中で、ガンビアの大使館がないことに不便を感じることが多く、政府に何度も提案し続けた結果、なんと2015年に「名誉総領事」を任されることに。以来、日本とガンビアの架け橋となるため、ボランティアで領事の仕事を続けてきました。
しかし、周りにガンビアのことを知る人は少なく、黒人というだけで怖がられたり、電車やエレベーターで避けられたり、偏見を持たれることが多かったと言います。

母国に対する偏見を変え、日本人にもっとガンビアのことを知ってほしい、そう思いレストランでこのドモダ・フフを提供しました。野菜がたっぷり入ったピーナッツバターのコク深いスープに、刻んだショウガとオクラを入れれば、さっぱりとした味わいにネバネバも加わってより日本人好みの味に。日本のお餅に作り方も食感も似た「フフ」は、餅好きな日本人なら好きになるに違いないと考えたそうです。 ビントゥさんの予想通り、ドモダ・フフはたちまち大人気に!リピーターが一番多いメニューになったと言います。
最近では、このレストランでガンビアのことを知って好きになり、直接ガンビアに旅行に行く日本人も増えてきたそう。冬にはガンビアツアーも行うなど、ビントゥさんとこのお店は、着実にガンビアと日本の架け橋となってきています。

【ビントゥさんの"今"】ガンビアの子どもたちをサポートしたい

ビントゥさんには、日本とガンビアの架け橋になるという夢のほかに、もう一つの夢があります。それは、ガンビアの農村部に学校を作ること。
ガンビアにはまだ、学校に行くことができない子、ごはんをおなかいっぱい食べられない子、着る服がない子たちが大勢います。国の未来を背負う子どもたちが、しっかり勉強し立派な大人になれるよう、ビントゥさんは2020年にはNGOを設立し、資金や勉強道具、衣服などのサポートを着々と進めています。今はまだ領事の仕事が忙しく、できることが限られていますが、いつかはお金を集めて学校を建てたい、そう思っています。
人生の半分以上を日本で過ごしてきたビントゥさんですが、母国への思いは変わることはありません。大好きなガンビアがより豊かな国になるよう、次の世代への希望もつなげていきたいと、夢を語ってくれました。

【ドモダ・フフのレシピ】日本人の口にベストマッチ!ガンビアの国民食

見た目はカレーのようなドモダ・フフ。しかし味は、ピーナッツとショウガの風味が強く、今までに食べたことない味わい!でもとっても癖になる!少し手順が多く、じっくり煮込む時間が必要ですが、その分作る人の愛情もたっぷり込められます。

<材料(3~4人分)>
<ドモダ>
  • 水・・・1500ml
  • ピーナッツバター・・・250g程度
  • フレッシュトマト・・・1個(缶詰も可)
  • タマネギ・・・1~2個(お好みで)
  • ピーマンなどお好みの野菜
  • 鶏肉・・・1枚
  • トマトペースト(お好みで)
  • ハバネロ(お好みで)
  • ブイヨン(固形)・・・1~2個
  • オクラ・・・一袋
  • ショウガ・・・大さじ1~2(お好みで)
  • 塩・ブラックペッパー・・・適量
<フフ(1個分)>※食べる人数に合わせて
  • 米粉・・・2カップ
  • お湯・・・100ml~120ml
  • サラダ油
<作り方>

(1)タマネギ・トマト・ピーマンを細かく刻む(ビントゥさんはミキサーを使用)

(2)1Lの水にピーナッツバターを混ぜて溶かしながら煮る。
しっかり溶け、10分~15分ほど煮込んだところで(1)で刻んだ野菜、トマトペースト、ブイヨン、塩コショウを入れて、色が変わるまでさらに煮込む。
鍋の表面がぐつぐつし始めたら、塩コショウとハバネロを入れる。
ひと煮立ちさせ、ピーナッツバターの油が浮いてきたらドモダの完成。
(このまま鶏肉を加えてライスにかけてドモダ・ライスにしてもOK!)

(3)残りの500mlの水を鍋で沸騰させ、鶏肉をゆでる。鶏肉に火が通ったら、先程の完成したどろっとしたドモダを投入。仕上げに刻んだオクラとショウガを入れればフフ用のドモダスープが完成。

(4)新しい鍋でお湯を沸かし、そこに米粉を入れてまとまりが出てくるまで火にかけながらヘラでよく練る。ある程度まとまってきたらサラダ油を少量足し、鍋にくっつかないようにする。

(5)ボールのように手で丸めて、お皿に乗せ、先ほどのスープをかけたら完成!


今回ご紹介したのは、ガンビア、ビントゥさん流のドモダ・フフのレシピ。
ピーナッツバターでつくるドモダのような料理はアフリカで広く親しまれているのですが、同じ西アフリカのセネガルでは「マフェ」という名前で呼ばれることもあるそうです。フフは、現地ではキャッサバやヤムイモを使って作ることが多いそうですが、ビントゥさんは日本で使いやすい米粉を使って作っています。
作り方も人それぞれで、野菜も、にんじんやかぼちゃなど好きな具材を入れることも多いそうなので、それぞれの家庭のスタイルで楽しめる料理です。



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