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あのとき、何食べた? 違いを包み込み"家族"になれるクレープ


皆さんには、"忘れられない食事"はありますか?
「あのとき、何食べた?」は、中部に住む外国籍や外国にルーツのある方々の"忘れられない一品"を掘り下げるグルメドキュメントです。

愛知・岡崎市にある分子科学研究所で、最先端の量子コンピュータを研究しているシルヴァン ド レゼルックさん(32)。フランス出身で、2014年から日本の大学で研究を始めました。日本の大学でおくる初めての研究室生活。そこで、フランスと日本との"雰囲気"の違いに悩まされ孤独感を感じることになりました。しかし、シルヴァンさん自身が作った一つの料理がきっかけで、その状況は大きく変わっていったのです。

目次

【シルヴァンさんの"あの時"】異国で感じた大きな孤独感・・・

シルヴァンさんの思い出の料理は、日本でもおなじみのスイーツ"クレープ"。小麦粉・卵・牛乳などを混ぜ合わせて薄く焼いたフランスが発祥の食べ物です。フランスのクレープは日本でいえばたこ焼きやお好み焼きの様なものだというシルヴァンさん。フランスの多くの家庭にはクレープ専用のホットプレートがあり、シルヴァンさんも子どものころからふだんの食事としてクレープを楽しんでいたそうです。そんな"家庭の味"クレープが、シルヴァンさんの人生を変えてくれた料理になりました。

2014年、24歳の時に日本の大学で研究をしたいと来日したシルヴァンさん。しかし当初は、慣れない日本での生活に大きな孤独感を感じたといいます。その最も大きな要因が「コーヒーブレイク」の時間がなかったことでした。フランスでは、朝やお昼時に"みんなで"コーヒーやお茶を楽しみながら、ざっくばらんにプライベートの悩みや仕事や勉強の相談をするんだそう。しかし、所属していた日本の研究室ではそういった風習はなく、皆が自分の研究に黙々と取り組んでいたため、シルヴァンさんは自分の悩みや思いを伝えるタイミングをつかめなかったのです。さらに、このころはまだ日本語を話すことも苦手で、研究室内でうまく友達を作ることができなかったと言います。

孤独感が拭えぬまま年末年始を日本で過ごすことになったシルヴァンさん。そんな時、職場の近くで出会ったあかねさんに誘われ、あかねさんの親族や友人が集まる新年会に参加することになりました。そこで披露したのが手作りのクレープでした。フランスではごく当たり前の食べ物であるクレープが想像以上に大好評。新年会に参加していたみんなが「クレープのシルヴァン」と覚えてくれたそうで、このことが日本で生活していく上での大きな自信につながりました。さらに、この新年会からあかねさんやあかねさんの家族とも信頼関係が構築されていき家族ぐるみの付き合いが始まっていきます。みんなと会話したい一心で、日本語も猛勉強。そのかいあって日本語も上達し、次第に日本での生活に慣れていきました。そして、2021年にはシルヴァンさんとあかねさんは結婚。2人は家族になっています。

【シルヴァンさんの"今"】コーヒーブレイクが生み出す研究室の活気

現在、分子科学研究所の助教授として量子コンピュータの研究をしているシルヴァンさん。その成果が世界から注目される忙しい研究室に所属しながらも、自ら積極的に声を掛け、「ティータイム」の時間を設けています。その効果は絶大。研究室のメンバーは「雰囲気がよくなり、研究もはかどり成果にもつながっている」と声をそろえます。

そんな、「ティータイム」に登場するのがシルヴァンさんの手作りクレープ。今でもクレープが、人間関係の構築に一役買っているのです。研究室のメンバーも"家族"のような感覚だというシルヴァンさん。「昔は食べるために作っていたクレープが今はもっと大切な事になりました。今は、人を幸せにするためにクレープを作るようになりました」と笑顔で教えてくれました。

【シルヴァンさん流 クレープのレシピ】生地の味をたのしむ!"本場"のクレープ

日本でクレープといえば、たっぷりのホイップクリームや果物を包んで食べるイメージですが、本場フランスではもっとシンプルに生地の味を楽しむことも多いそう。
実は、ふだん家にあるものだけで簡単にできてしまいます。トッピングにフルーツなどをのせればもちろんおいしいですが、バターや砂糖などシンプルでもOK!ぜひ生地そのものの味を楽しんでみてください。

<材料(4人分)>
<生地>
  • 小麦粉・・・250g
  • 卵・・・4個
  • 牛乳・・・500ml
  • 塩・・・ひとつまみ
  • バター・・・50g
  • 砂糖・・・大さじ1
  • 好きなお酒・・・大さじ1
    (シルヴァンさんはアマレットというリキュールを使っていましたがビールなども合うそうです)

<トッピング>
  • 砂糖
  • バター
  • 蜂蜜
  • レモン果汁(ボトル入りのものでOK)
  • お好きなフルーツなどお好みで
<作り方>

(1)小麦粉と卵を混ぜて、ちょっとずつ、温めた牛乳を加える。

(2)塩、砂糖、溶かしたバター、リキュールを加えて、1時間以上冷蔵庫で寝かせる。

(3)(2)の生地を温めたフライパンに、生地を薄く延ばして両面を1分ずつほど焼く。

(4)お好みのトッピングをのせて完成。


取材したときにごちそうになった、シンプルに生地を味わうフランス流のクレープは絶品でした。特にあかねさんお勧めの"レモン果汁をかけたクレープ"は意外な組み合わせでしたが、本当においしかったです。取材者の私も自分で作って家族に振る舞ったところ大好評でした!本当に簡単にできてしまうので、ぜひ作ってみてくださいね!


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