被爆から72年。長崎原爆に関するさまざまな知識・情報を夕方のニュース「イブニング長崎」で毎日、お伝えします。

長崎原爆ノート59「悲しき別れー荼毘(だび)」・「ふりそでの少女」『悲しき別れー荼毘』には、原爆の犠牲となり、だびに付される2人の少女が、晴れ着姿で薄化粧を施され、並んで寝かされている様子が描かれています。実体験を絵に描いたのは、14歳で被爆し、去年、83歳で亡くなった被爆者の松添博さんです。松添さんは、終戦の29年後、『悲しき別れ』を描いたことをきっかけに、原爆の実態を証言する「語り部」を始め、喉のがんで声帯を失った後も、機械を使って被爆体験を語り続けました。『悲しき別れ』については、「かわいい盛りの女の子があの頃着ることのできなかった 振り袖の着物を着て、しかも顔には薄化粧がしてありました。周囲の心遣いが何とも哀れでなりませんでした。だから非常に心に残っていたんです」と話していました。『悲しき別れ』は、平成4年に制作された絵本、『ふりそでの少女』に納められ、絵本は平和教育の現場などで活用されるようになりました。数々の悲惨な光景を目撃した松添さんにとっても目に焼き付き、生涯、忘れることのできない場面となった『悲しき別れ』は、絵本『ふりそでの少女』とともに原爆の非人道性を訴え続けています。
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