被爆から72年。長崎原爆に関するさまざまな知識・情報を夕方のニュース「イブニング長崎」で毎日、お伝えします。

長崎原爆ノート30「原爆症認定の裁判」原爆症と認定されるには、病気が原爆の放射線の影響で起きたと認められることが必要ですが、国に申請が却下されるケースが相次ぎ、原爆症と認められなかった被爆者たちが平成15年から集団訴訟を起こしました。集団訴訟を起こした被爆者は全国でおよそ300人に上り、国側の敗訴が続いたため、国は、平成20年にがんや白血病など4つの病気だけでなく、心筋梗塞も原爆症と認定する対象に加えるなど認定基準を緩和し、その翌年には、甲状腺機能低下症と、慢性肝炎・肝硬変も対象の病気に加えられました。しかし、その後も心筋梗塞や慢性肝炎などを発症したものの、原爆症と認められなかった被爆者が訴えた裁判で国側の敗訴が相次いだため、国はおととし12月、心筋梗塞や慢性肝炎などの病気について、爆心地まで2キロ以内で被爆するなどした場合、積極的に認定すると、要件を明確にした新たな認定基準に改めました。しかし、去年にも、大阪地裁と熊本地裁で新たな認定基準に含まれていない病気になった被爆者などを原爆症と認める判決が出されるなど、司法と行政の判断の隔たりが埋まらない状態が続いており、被爆者団体が制度の改善を要望しています。
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