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NHK長崎 ローカルグルメを超えたい! 水産県・長崎の挑戦

  • 2023年03月16日

長崎のグルメといえば、何を思い浮かべますか?
ちゃんぽん?皿うどん?それとも、トルコライス?
実際に県外の人へのインタビューでもこんな声がほとんど。

でも、魚がとてもおいしいことはご存じですか?
恥ずかしながら私は赴任するまで、長崎に魚のイメージはありませんでした。

ところが、地元の人に話を聞くと、長崎の魚がおいしいのは、言ってしまえば「当たり前」。
肉より魚を食べるという人もいます。(肉もおいしいです)

こんなにおいしいのに、なぜ、県外ではあまり知られていないのでしょうか?

                              NHK長崎放送局 小島萌衣
 

長崎のグルメといえば?

長崎のおいしい魚たち。
魚種は豊富で漁港からの距離も近く、長崎の人たちは新鮮な海の幸を身近に感じてきました。

長崎市のアーケード街で、地元の人に長崎のおいしいもの、県外の人に勧めたいグルメを尋ねるとこんな答えになりました。

長崎県民

やっぱり魚とか。

長崎県民

なんでもいいんですか?
水産関係のお魚とか、ちゃんぽん、皿うどんもおいしいですよね。

長崎県民

魚。週に5回は食べるかな、お肉より魚が多いです。

中には、身近すぎて魚は思いつかなかったという人も。

ところが。
長崎の空の玄関・長崎空港で観光客に同じ質問をぶつけると、全く違う反応が返ってきました。

 

長崎空港到着口の竜のオブジェ
記者

長崎のグルメのイメージは?。

観光客

ちゃんぽんしかわからないですね。

観光客

ちゃんぽんとか、カステラ。

観光客

長崎ちゃんぽん

記者

魚のイメージはありますか?。

観光客

魚?・・は、ないですね。

観光客

魚!?・・・ないねえ・・。

やっぱり強い、ちゃんぽんにカステラ。
ローカルグルメが豊富な長崎では、魚の印象は埋もれてしまっています・・・。

おいしさが知られていないのはなぜ?

なぜ、長崎の魚のおいしさはあまり知られていないのでしょう?
長崎の魚をPRしたい気持ちが強すぎる長崎市水産農林政策課の課長に聞いてみました。

長崎の魚をPRしたい気持ちが強すぎる課長

長崎市水産農林政策課長
「やっぱり、ちゃんぽんや皿うどんのイメージがかなり強いというか、ふだん実は(県外の人が)食べている魚は、長崎産をけっこう食べているんだよという部分があっても、やっぱりそれだけちゃんぽんや皿うどんが強いんだと思います」。

また、取材していく中では、そもそも長崎では魚が全体的にがおいしいので、わざわざ高級魚を買おうという需要が少なかったり、たとえば北海道サケやカニ、といった「長崎と言えばこの魚」というスター選手がいないという指摘もありました。

実は県外でも食べられている?

それにしても、県外でもふだんから長崎の魚が食べられているというのは、どういうことでしょうか?

実は、各地のスター魚ともいえる魚は、長崎産の魚も使われていると言います。

課長

下関に出荷されているトラフグはけっこう長崎産は多いです。

え?フグと言えば下関のイメージですが、長崎産も食べられている・・?

実は養殖トラフグの生産量が全国トップの長崎。
下関の市場にも長崎産のトラフグを卸しています。

長崎の水産物はすごい

県外で楽しまれているのはトラフグだけではありません。
長崎でとれる魚種はおよそ250種。
魚種の豊富さは全国トップと言われています。

また、令和2年は漁獲量は▼アジ類、▼カタクチイワシ、
            ▼タイ類、▼イサキ、▼アナゴ類、▼サザエが全国トップ。
養殖の▼クロマグロや▼フグ類、
   ▼「その他のブリ類(ブリ、カンパチ以外)」、
   ▼「その他の貝類(カキ類・ホタテ以外)」も生産量が全国1位です。

全国トップがこれだけ多いのに、県外からは「水産県」のイメージが薄い長崎・・・。

長崎の魚の魅力を知って欲しい

長崎県や長崎市は、冊子を作るなどしてPRを進めています。

このうち、長崎市が進めるキャンペーンが「さしみシティ」。

長崎に住んでいる人は、このロゴを見たことがあるかもしれません。
「長崎は日本一さしみがおいしいまち」をキャッチコピーに、長崎を訪れる観光客に向けて長崎の魚のおいしさをPRしています。

この中では、県産魚を取り扱っている飲食店などを紹介するHPや冊子も展開しています。

課長

市民の皆さんも含めて巻き込んで、長崎の魚のおいしさをPRしていきたいと考えています。

そんな課長が特に推したいのが、「鉄火巻き」です。
一般的に鉄火巻きといえば、中身は赤身のマグロのイメージが強いと思います。
ですが、長崎では鉄火巻きと言えば、中身は白身の魚が使われています。

特別にいただいた、課長の秘蔵の名刺にも…。

「白鉄火長(しろてっかちょー)」の表記が。

課長の名刺も宣伝材料の1つ。
県産魚のPRに余念がありません。

おさかなヘブンながさき


長崎の魚をPRしているのは行政だけではありません。
県外出身のデザイナー、ヒロトさんとリクトさん。

右:ヒロトさん 左:リクトさん

長崎に来て、魚の味わいに感動した2人は県外の人に向けて県産魚の魅力を発信するウェブサイトを立ち上げました。

魚料理を提供する飲食店を訪れて実食リポートを掲載しています。

ヒロトさん

長崎県外の、特に僕たちと年の近い、若い方々を主にターゲットに発信していきたいと考えています。

この日はヒロトさんが長崎産の魚にこだわったおでん屋さんを取材しました。
県産のアジのだしや県産魚にこだわったかまぼこを使ったおでんを食リポします。

味わうヒロトさん

ヒロトさん食リポ
「歯ごたえがすごいありますね。ぷりっぷりですね」。

率直な食リポを動画に撮って、記録します。
そして、協力してもらった店にはお手製のシールを貼らせてもらうなどして、活動を広げようとしています。

長崎おでん
「入舩」
金子さん

これを見て、全国からうちに来ていただいて長崎の夜を楽しんでほしい。今後の長崎の活性化につながればと思う。

ヒロトさん

「長崎といえば例えばトルコライスとか、そういった印象がありますが、そうではなくて長崎イコール魚という印象をより強めたくて。長崎の魚のことが一目でわかるようなウェブサイトにしていきたい」。

水産県としての認知度アップなるか?
長崎の挑戦は続きます。

取材後記

長崎に来て初めて刺身を食べたとき、そのおいしさに感動したのを覚えています。
けれども、長崎県民にとって、魚がおいしいのは当たり前のこと。
その情報、もっと早く知りたかった・・・と思いつつ、なぜ知らなかったんだろう?ということで取材を始めました。

「長崎といえばこの魚」というスター選手がいないという意見もありましたが、逆に言えば、すべてがスター選手。
長崎の魚のおいしさを県外の人にもっと知って欲しい!と、取材を通して改めて強く思いました。 

  • 小島萌衣

    NHK長崎放送局 記者

    小島萌衣

    2015年入局
    沖縄局、佐世保支局を経て 現在は長崎市政や原爆・平和関連の取材を担当

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