ＮＨＫ長崎ハウステンボス賃上げへ全社員対象平均６％

2023年01月23日

長崎県佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」は
グループの全社員を対象に平均で６％の賃上げを行う方針を固めたことがわかりました。
なぜ今、賃上げに踏み切ったのでしょうか？

関係者によりますと、長崎県佐世保市にあるハウステンボスはテーマパークやホテルなどグループ全体の契約社員を含むすべての社員１０００人あまりを対象にことし７月から賃金の引き上げを行う方針を固めました。

基本給を一律で引き上げるベースアップと定期昇給分を含めて月額の賃金を平均で６％引き上げるとしています。

来場客は回復傾向　香港ファンドの傘下に

ハウステンボスは去年９月、香港に拠点を置く投資会社「ＰＡＧ」の傘下に入りました。

海外を中心にコロナ禍で大きく落ち込んだ来場客は回復傾向にあり、去年（Ｒ４）９月期の決算は
３年ぶりに黒字に転換しましたがいまも、コロナ禍前の８割にとどまっています。

なぜ今、賃上げするのか？

そうしたなかでも食料品や光熱費の値上げが相次ぎ、社員の家計への負担が増加するなか、生活の安定を図るとともに地元を中心に雇用している社員の定着など人材の確保を図る狙いがあります。
会社が全社員を対象に賃上げを行うのは７年ぶりです。

”物価上昇率を超える賃上げを”

岸田総理大臣はことしの春闘で物価の上昇率を超える賃上げを実現するよう経済界に協力を求めています。

発表されたハウステンボスの賃上げについて日銀長崎支店の鴛海健起支店長は個別の企業の動きについてはコメントできないと前置きした上で、次のように話しました。

日銀長崎支店　鴛海健起支店長
「物価上昇を意識した賃金の改善といったものを求める動きが全国的に高まっている。
　長崎県内の企業も賃上げといったことを経営の持続のためにも、考えないといけない状況にある。目先の物価上昇への対応というだけではなくて、中長期的に経営していくという観点で、出された戦略方針ということではないかと考えている」

鴛海健起支店長（賃上げの地方への波及について）
「大企業、あるいは為替・円安でプラス効果を受けている輸出産業に比べると、長崎の企業は賃金改善力といったものが弱いというのは事実だと思う。ただ、無い袖はふれないという側面があるのは事実だが、袖を作っていくためには何をしたらいいのかという観点で、事業モデルの変革といったことを集中的に行うことで、賃上げをしていこうという意欲や自信が出てくるのではないかと思う」　

企業に対して賃上げの実現が強く求められるなか、中小企業を含めた地方の企業の間で、こうした賃上げの動きがさらに広がることが期待されています。