ページの本文へ

長崎WEB特集

  1. NHK長崎
  2. 長崎WEB特集
  3. 子宮頸がん"9価HPVワクチン"定期接種へ 長崎の専門家に聞く 

子宮頸がん"9価HPVワクチン"定期接種へ 長崎の専門家に聞く 

  • 2023年01月17日

みなさんに質問です。子宮けいがんを予防するワクチンを接種していますか?

日本では2022年度から子宮けいがんなどを予防するHPVワクチン接種の積極的な呼びかけが再開されました。そして、来年度、2023年4月以降はより予防効果が高い「9価ワクチン」も定期接種とする方針が示されました。

子宮けいがんの病気やワクチンの効果について、長崎市の「やすひウィメンズヘルスクリニック」の安日泰子院長に聞きました。

NHK長崎放送局 福光 瞳

子宮頸(けい)がんとは?

日本では毎年約1万1000人の女性が子宮けいがんと診断され、約2900人が命を落としています。

子宮けいがんは子宮の出口に近い「けい部」にできるがんです。主に性交渉におけるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が原因とされています。

ただ、早めに発見して治療を受ければ、多くの場合が命を落とすことなく治せる病気とされています。また、発見が早ければ早いほど子宮を残した治療が可能で、将来、赤ちゃんを授かることができます。

 

子宮けいがんを防ぐために①定期的な検診

子宮けいがんで苦しまないために、できることは2つあります。1つ目は定期的な検診です。

安日泰子 院長
「子宮けいがんは"穏やかながん"で、HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染して子宮けいがんに進行するまで10年ほどかかります」

そのため、2年に1回、子宮けいがんの検診を受けていれば、早期発見につなげることができます。

20歳を越えたら2年に1回の検診をして、自分の命を守ってください。初めての検診には緊張や不安も伴いますが、痛みもほとんどなく、あっという間に終了します。私も定期的に検診を受けています。まずは1度、検診に行ってみてください。

 

子宮けいがんを防ぐために②ワクチン接種

子宮けいがんを防ぐためのもう一つの方法がワクチンの接種です。

子宮けいがんは、唯一予防できるがんと言われています。子宮けいがんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因で発症します。ウイルス感染が原因のためワクチンでの予防が可能です。

HPV(ヒトパピローマウイルス)へは性交渉を通じて感染するので、性交渉を経験する前の接種が最も重要となります。そこで、日本では小学6年生~高校1年生の女の子を対象にワクチン接種を公費(無料)で提供しています。

子宮けいがんワクチンは接種したあとに体の痛みなどの症状を訴える女性が相次いだことから、8年ほど厚生労働省は積極的な呼びかけを一時的に中止していました。

しかし、その後、国内外で安全性や有効性に関する研究が進みました。ワクチンを接種していない人でも同様の症状があることがわかり、安全性について特段の懸念が認められない、などとして2022年4月から積極的な呼びかけを再開しています。

 

「9価ワクチン」も定期接種に

子宮けいがんワクチンですが、現在、定期接種として公費(無料)で受けられるのは「2価ワクチン」と「4価ワクチン」です。

そして、来年度、2023年4月以降はより予防効果が高いとされる「9価ワクチン」も定期接種の対象とする方針が示されました。

 

「9価ワクチン」とは?

「○価」というのは、簡単に言うと「○種類のタイプのウイルスを対象にしている」ことを表します。子宮けいがんを引き起こしやすいHPV(ヒトパピローマウイルス)には、約15種類のタイプがあります。「2価」であれば最も重要度の高い2種類、「4価」であれば4種類、「9価」であれば9種類のタイプのウイルス感染を予防します。

それぞれの予防率はどうでしょう。「2価・4価ワクチン」は子宮けいがんの原因の60~70%、「9価ワクチン」は80~90%を防ぐとされ、「9価ワクチン」の方が感染予防率が高くなります。

現在、公費で受けられるワクチンは「2価ワクチン」と「4価ワクチン」です。

いま「2価」や「4価」のワクチンを接種するのが良いか、2023年4月以降の「9価ワクチン」を待った方が良いのか?悩む人も多いと思います。

安日先生は大前提として、「早く打てるものを早く打つこと」を検討してほしいと言います。

その理由は、性交渉を経験する前の接種が極めて重要なためです。子宮けいがんワクチンは、2価・4価・9価いずれも3回の接種が必要で、接種完了まで数か月かかります。

ただ、性交渉がまだ想定されない場合は「9価ワクチン」を待つ方が良いと話していました。

 

接種の機会を逃した世代への対応

子宮けいがんワクチンについて、もう1つ、注意点があります。「積極的な勧奨」を中止していた8年あまりの間に、ワクチン接種の機会を逃してしまった人、いわゆる「キャッチアップ世代」の方々へ向けたものです。

対象となるのは、1997年4月2日~2006年4月1日に生まれた女性です。無料接種の期間は2024年度までとなります。

また、呼びかけを中止していた期間に自費で接種した人についても、自治体に申請すれば払い戻しが受けられるということです。

 

自分で理解、納得して接種を

子宮けいがんワクチンについては、今あるものを接種するのか、2023年4月からの「9価ワクチン」を待つのか、また接種そのものをするかどうか、悩む方や不安のある方も多いかと思います。

ワクチンの有効性など、自分で理解して納得したうえで接種することが何より重要です。

先日、接種を逃した世代の女性に話を聞きました。大学で医療を学ぶ学生です。授業で子宮けいがんワクチンのことを知り、接種をすることにしました。

10代女性
「打った方が良いんだろうなとぼんやり思っていたけど、ずっと後回しになっていました。たまたま、授業で子宮けいがんについて勉強する機会がありました。将来の自分の命を守る確率が上がったと考えると、ワクチンを打って良かったと思っています」

安日先生のクリニックでは、子宮けいがんワクチンについての説明動画を用意し、接種を検討している親子に公開しています。詳しくは、やすひウィメンズヘルスクリニックにお問い合わせください。

安日泰子 院長
「子宮けいがんワクチンは2009年に日本で認可されました。2009年~2013年は約70%の接種率でしたが、それから8年の間に1%前後まで落ちました。世界は子宮けいがん撲滅へと進んでいますが、日本は取り残されています」

「こうしたなか、予防効果が高い『9価ワクチン』を、約10万円かかるワクチンを無料で定期接種できるので、これを機会に受けて欲しいです」

安日泰子 院長
「一方で、お母さん方など今も不安を覚える人もいると思います。私たち医療関係者はもっと不安に対応すべきだったと反省しています。不安がある方、悩んでいる方には丁寧に説明しますので安心して来てもらえたらと思います。定期接種として無料で受けられる間にぜひ検討をお願いします」

 

取材後記

私は、子宮けいがんワクチンの積極的な呼びかけが行われている期間にギリギリ受けることのできた世代で、中学生のときに3回の接種を完了させました。

当時を思い返すと正直なところ、「周りがみんな打っているから打つ」という感覚でした。

もし私の誕生日が1年ずれて接種を逃していたらどうだっただろうか?と考えることもあります。後回しにしていたかもしれないし、ワクチンの存在さえ知らなかったかもしれません。

いま接種対象に当たる方には、まず子宮けいがんのリスクやワクチンの重要性を知っていただきたいと思います。接種するかを決めるのはそれからでも大丈夫です。一人でも多くの方に正しい情報が届くと嬉しく思います。

  • 福光瞳

    NHK長崎放送局

    福光瞳

    「イブニング長崎」リポーター
    岡山県出身
    福祉関係を中心に取材

ページトップに戻る