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長崎五島列島の“世界遺産の島”・奈留島でサンタラン開催

  • 2022年12月24日

五島市奈留島(なるしま)では、毎年12月にサンタクロースの格好をして、走ったり歩いたりしながらゴールを目指す「奈留島サンタラン」と呼ばれるチャリティイベントが開催されています。いったいどんなイベントなのか、NHK長崎放送局の木花牧雄アナウンサーが参加してきました。

NHK長崎放送局  森下拓磨

五島列島の奈留島へ

長崎港から五島・福江島を経由し、およそ2時間30分。
奈留島に降り立ったのが・・・

NHK長崎放送局アナウンサー 木花牧雄

木花アナ
「奈留島到着しました!天気もいいですね。
 空気も澄んでます。
 サンタたちが駆け巡る島 上陸です!」

五島列島のほぼ中央に位置する奈留島。人口およそ1900人の小さな島です。

島民の宝「江上天主堂」

そんな奈留島において観光資源となっているのが世界文化遺産の構成資産の一つ、江上集落にある「江上天主堂」です。

1918年(大正7年)完成 国指定重要文化財

しかし、島の過疎化の影響もあり、教会を今後も維持していく事は年々難しくなっています。そこで、開かれているのが「奈留島サンタラン」です。参加費の一部が、「江上天主堂」の維持・管理費として寄付されます。

主催団体によるサンタ衣装の準備

こちらは 奈留島出身の 葛島勝幸さん。

カトリックの信徒で、幼いころから 江上天主堂に通っていたという葛島さんは、若い力で島を盛り上げようと 5年前にボランティア団体を仲間と立ち上げ、去年からサンタランの運営に携わっています。

普段は奈留島の大工さん

葛島さんは江上天主堂を守り続けることが、奈留島の活性化にもつながると、考えています。

葛島勝幸さん
「島外の方に奈留島に来ていただくのが一番の目的 です。江上天主堂に来るのはもちろん、島の人と関わると活気が生まれると思うので、人と人とのつながりとか奈留島の良さを知ってもらいたいです。そこにサンタランが少しでも力になれれば」

島の宝を守る「奈留島サンタラン」

スタート地点の奈留港には多くのサンタクロースの姿。

8回目を迎える今年の参加者は総勢82人。半数以上が、奈留島以外からの参加です。

トナカイ姿の葛島さん

そして、、、木花アナもサンタ姿で準備万端です。

ゴールは8キロ先の「江上天主堂」

スタート!!

2022年12月4日(日)、五島列島の奈留島を舞台にサンタランが始まりました。ゴールの江上天主堂まで、およそ8キロの道のりをそれぞれのペースで進みます。

スタート直後は島民の歓迎のアーチ

道中、参加者にも話を聞きながら進みました。

奈留島に住む ご家族の参加者

木花アナ
「どちらからいらっしゃったんですか?」
参加者
「奈留に住んでます。去年、奈留島に来て2回目の参加です。家族で出るのは初めてです」

木花アナ
「いかがですか?奈留島での生活は?」
参加者
「めちゃめちゃ良いですよ。穏やかで。子育てにはものすごく良い環境だと思います。自然もあって海にも行けて」

福江島からの参加者

木花アナ
「世界文化遺産の維持費に使われる活動、いかがですか? 」
参加者
「普段見ない景色を見ながら、なおかつ間接的に世界遺産に関わる。面白いきっかけづくりのイベントなのかなと思いますね 」

福岡県からの参加者

参加者 
「自分も楽しみながら、誰かのためになるというのはすごく嬉しいです」

みなさん、歩いたり、止まったり、写真を撮ったり、思い思いのペースで江上天主堂を目指します。

沿道では島の方々からの声援も

商店街を進むと。最初の中継所が見えてきます。

この中継所では年に一度のサンタランを盛り上げようと、島民の方たちが準備した ジュースやおかしのおもてなしを受けることができました。

そして中継所で出会ったのが、奈留島に住む高校生たちです。

奈留島に住む 高校生たち

木花アナ
「江上天主堂の修復にあてられるチャリティイベント。島の人にとって江上天主堂は特別なもの?」
高校生
「世界遺産になるかならないかの時は自分たちもドキドキした。世界遺産になってたくさんの観光客が来て奈留島が盛り上がって嬉しいです」

島の愛にあふれた高校生たちと別れ、ゴールの江上天主堂まで残り6キロ。

ゆったりと進んでいると、、、、通りすがりの車の中から声をかけられました。

島民
「木花さーん。(ゴールまで)歩きますか?」
木花アナ
「歩きます。ありがとうございます。頑張ります」

気づけば、ほぼ最後尾にいた木花アナ。皆さんに追いつくため、島を駆け抜けることに。

木花アナ 奈留島を激走

木花アナ「サンタの服着て、奈留島を激走(笑)。他のサンタ速いな。ちょっと他のサンタ速いよ。本当にもう・・・。」

走る木花アナに島民の応援も

そして、走ることおよそ30分・・・自宅の前を中継所として開放している人にも出会いました。

木花アナ
「なぜ自宅前で中継所をやっているんですか?」
島民
「みなさんの楽しんでいる顔を見たい。自分が歩くよりは、もてなしたいなと思って」

奈留島の方々の大きな愛も感じつつ、残り1.7キロ 

急こう配の上り坂も

そして、ゴールへ続く長いトンネルを抜けた先には。

ゴールの江上天主堂はすぐそこに

木花アナ
「見えてきました。江上天主堂です。世界文化遺産ですね。ゴール地点間もなくです! 」

スタートからおよそ1時間30分。島の人たちに見守られながらゴールゲートをくぐります。

ゆるキャラや島の皆さんが迎えてくれました
木花アナ「ゴールで~す」

ゴール後も続く「おもてなし」

さらに、ゴール後に待っていたのも、島の人たち からの様々な「おもてなし」でした。

島の高校生による演奏
炊き出しのカレーライス
参加者は江上天主堂の見学も

参加者
「奈留島に貢献できることが嬉し思いました。とてもすてきな大会だなと思いました。」

そして、無事にゴールまでたどり着いた木花アナは・・・

木花アナ
「みなさん充実した表情をされています。私も本当に楽しませてもらいました」
「みなさんのチャリティへの思いや、江上天主堂が島の宝だということがわかりました。そんな江上天主堂がゴールというところが良いですね。奈留島の素晴らしいコースを堪能させてもらいました!」

主催した葛島さんは、今後も奈留島の為 サンタランを継続していきたいと話します。

葛島勝幸さん
「今後は島の若手をもっと巻き込んで参加者を増やし、サンタランで奈留島の活気を今以上に作っていけたらと思います。参加費の一部が江上天主堂の維持・管理費の寄付になりますので、活動を通して教会を守っていくことに貢献できたらと思います」

取材後記

五島市の奈留島は、シンガーソングライターの松任谷由実さんの曲「瞳を閉じて」の舞台にもなった美しい小さな島です。豊かな自然があり、古くから漁業が盛んな一方、60歳以上が70%を占めるなど五島列島の中でも、少子高齢化や人口減少が深刻化しているという問題も抱えています。

しかし、奈留島には葛島さんも所属する若手ボランティア団体があり、島外の人を呼ぶ「サンタラン」や、島の方々同士の交流を深める「夏祭り」など様々なイベントで島を盛り上げようと工夫されていました。島のために立ち上がった若者たちの今後の活動に注目したいと思います。

  • 森下拓麿

    NHK長崎放送局

    森下拓麿

    2022年入局 長崎県出身
    ニュースディレクター
    サッカー部出身で趣味はパスタ作り

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