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NHK長崎 「舞いあがれ!」五島のばんばは実在するの?

  • 2022年12月22日

連ドラ「舞いあがれ!」の世界では、ヒロイン・舞のふるさと長崎県の五島列島に、舞を励ましてくれる“祥子ばんば”という素敵なおばあちゃんが出てきます。五島列島に行けば“ばんば”に会えるのでしょうか?

NHK長崎放送局 記者 池田麻由美

“五島のばんば” 実在するの?

「舞も、ばらもん凧ごたあ、どがん向かい風にも負けんと、たくましく生きるとぞ」
「変わりもんは変わりもんで、堂々と生きたらよか」

連続テレビ小説「舞いあがれ!」に登場するヒロインの祖母、祥子ばんばの台詞です。
力強く優しいことばで舞を励ましてくれます。

こんな素敵なおばあちゃんは本当にいるんだろうか?もしいるなら元気をわけてもらいたい!そんな素朴なギモンから、ドラマの舞台、長崎県の五島列島に向かいました。

まずは、町なかで聞き込みです。
 

“祥子ばんば”のような人を探しているんですが...。

いると思いますけどね、みんな明るくて、いいおばあちゃん

いるとは思います。
元気だし、いろんなことを教えてくれたりするおばあちゃんですよ

ばんばは “カテリナさん”

ドラマに出てきたような“ばんば”は、どこにいるのでしょうか?
手がかりを求めて町役場に向かいました。
 

話を聞かせてくれた、新上五島町役場の桐林秀匡さんです。
実は桐林さんは、連ドラが始まる1年半ほど前から、担当者に島を案内してきました。

ドラマに出てくるような”ばんば”をさがしているのですが...。

ちょうど女船頭をされてる“カテリナさん”という方がいらっしゃいます。大変パワフルな女性で、1人で船頭をしているのでちょうどイメージに合う方かなと思います。若松島にいらっしゃいますよ。

“カテリナさん”というのは”ばんば”の名前でしょうか?
情報をもとに新上五島町の若松島にやってきました。

“カテリナ”は○○の名前

会えました!

濱川久美子さん。63歳です。
「カテリナさん」というのは、ばんばの名前ではなく、久美子さんが保有する遊覧船の名前でした。

なぜ遊覧船を始めたのですか?

昔から父が美しい若松瀬戸を船で走りたいって言っていたからです。

久美子さんと父・善二さん

久美子さんが遊覧船に乗るようになったきっかけは、瀬渡し業を営んでいた父親でした。
久美子さんは、若松島の魅力を遊覧船で伝えたいという父親の夢を受け継いだのです。
 

若松島は手つかずの自然がある島で、人情的にどこにも負けない温かさがあるんじゃないかなと思います。父がそう思ってやっていたことを自分が引き継いでいまだにやっているということは、父に喜んでもらっているかなと思いますね。

密着!“ばんばの1日”

久美子さんの1日に密着させてもらいました。
まずは、遊覧船の運航です。
久美子さんは、「舞いあがれ!」の祥子ばんばと同じく巧みに船を操ります。
1番人気の、教会などをめぐる2時間あまりの遊覧コースを案内してくれました。
心地よい風と青い海を全身で味わうことができ、県内外からお客がやってくるといいます。

やりがいは何ですか?

やっぱり観光客とか人との交流ですね。楽しいですね。やっぱり船って男仕事じゃないですか?大変なこともいっぱいあるけど、やっぱりお客さんが喜んで、2回、3回も来てくれるとものすごく感動します。

その次は、島の仲間とゲートボールです。
ドラマの祥子ばんばが島の仲間に囲まれていた姿と重なります。
久美子さんは週に3日はゲートボールをしていて、審判の免許も持っている、頼れる存在です。

久美子さんはどんな人?

濱川さんはそのままなんです。元気でお人好しで優しいんですよ

ドラマのばんばには似てる?

似てるんじゃないですか。言いたいことはっきりいうし。

小さな漁船で海に出て魚を釣りに行くこともあります。
3キロものタイをつり上げたこともあるそうです。

ドラマの祥子ばんばが、ヒロイン・舞を、島の食材で美味しそうな手料理で元気づけたように、久美子さんは私たちクルーのために、島の食材でごちそうを作ってくれました。

人からもらった手作りのかまぼこ、刺身は漁師さんからもらいました。
さつまいもは今が旬。全部、お金かかっていないんです。

船を巧みに操縦し、おいしい島の恵みで元気づけてくれる久美子さん。“久美子ばんば”こそ私たちが探していた”五島のばんば”でしょうか?
そう尋ねると...

ドラマでもおなじみの五島弁で答えてくれました。

五島は “舞いあがれ!” 以上に ○○○

五島列島は過疎化が進んでいます。
“久美子ばんば”が子どもだったころは、地元はドラマの中のように、子どもがたくさんいて、笑い声が絶えない賑やかな集落だったそうです。しかし今では過疎化で、活気がなくなりつつあるふるさとに、さみしさを感じているといいます。
過疎化が進む地元を盛り上げるために、島を行き交う人々の交流を活性化しようと、久美子ばんばは遊覧船の仕事を続けていきたいと話しています。
 

簡単なものじゃないですね、活性化って。
でも、人との交流が楽しくて、それをなくしたらもうだめよと思ってやっています。遊覧船も、いつまで続くかわからないけどやれるだけ頑張ります。
新上五島町は「舞いあがれ!」以上に美しいところがいっぱいあるので、ぜひ1度来てみてください!

  • 池田麻由美

    長崎放送局 記者

    池田麻由美

    令和2年入局
    警察担当を経て
    現在は長崎市政担当

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