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NHK長崎 雲仙断層群「南東部」地震確率を初試算

  • 2022年10月27日

長崎県の島原半島にある雲仙断層群の「南東部」について、研究機関が「今後30年以内にマグニチュード7点1程度の地震が起きる確率が最大で1点1%」という試算をまとめました。南東部で発生確率が試算されたのは初めてだということです。

雲仙断層群・南東部で初めての試算

 

これまで国は島原半島の雲仙断層群のうち、南島原市の沖合から雲仙市にかけて東西に延びる「南東部」について、マグニチュード7点1程度の地震が起きる可能性があるとしていました。

 

こうした中、産業技術総合研究所は「南東部」で音波探査記録の再解析やボーリング調査などを進めた結果、2800年から5500年の間隔で断層が活動してきたとみられることが分かりました。

 

こうした調査内容を踏まえ、研究所が試算を行ったところ、今後30年以内にマグニチュード7点1程度の地震が起きる確率は、0点5%から1点1%になったということです。

これは、国が地震の発生確率を4段階で示すランク分けでは上から2番目で「やや高い」を示すAランクに相当するということです。研究所によりますと「南東部」について発生確率が試算されたのは初めてです。こうした研究結果などを踏まえ、国が最終的に発生確率を求めるということです。

 

産業技術総合研究所 大上隆史さん
雲仙断層群の南東部では、これまで地震の発生確率が評価されていなくて、今回初めて、地震の発生確率を求めるための評価をすることができました。
発生確率は最大1%程度で、小さいと思うかもしれませんが、熊本地震は発生前の長期評価が0点9%程度だったので、改めて備えていただきたい

そもそも「雲仙断層群」って?

木花アナ

そもそも「雲仙断層群」とは、どのような断層群なんですか?

上原記者

雲仙断層群は、島原湾から島原半島を経て橘湾にかけてほぼ東西に分布する活断層群です。この活断層群は▼北部、▼南東部、▼南西部の3つに区分されていて、今回、発生確率が試算されたのは「南東部」になります。「南東部」は、南島原市の東の沖合から雲仙市にかけて、長さ23キロ程度にわたり延びていて、マグニチュード7点1程度の地震が起きる可能性があるとされていますが、これまでその発生確率は明らかになっていませんでした

発生確率が試算された意義はどこに?

地震に詳しい九州大学の清水洋名誉教授は、今回の試算について「切迫性をある程度把握できるようになったという点で大きな意義があります。1%前後は『大丈夫だ』という数値ではなく、もし最大規模の地震が起きた場合は、揺れだけでなく、有明海沿岸部に津波のリスクもあるので警戒が必要です」と話しています

今回の結果は、国のレベル分けではAランクに相当しますね。

そうですね。Aランクは4段階のうち上から2番目の「やや高い」に相当しますが、一方で、冷静な対応が求められます。私たち一人一人が、避難場所や安全な避難ルートの確認など、日ごろから出来る地震への備えを冷静に進めるきっかけにすることが大切だと思います

取材後記

長崎で取材をしていると「長崎は地震が少ない」という会話をよく耳にします。私自身、確かに近年は比較的小規模な地震が多いと感じていましたし、「島原半島といえば雲仙普賢岳の噴火」というイメージもありました。このため、今回、熊本地震と同じ程度の発生確率が試算されたことに率直に驚きました。

過去を調べてみると、ちょうど100年前に島原半島で起きた島原地震ではマグニチュード6点5と6点9の地震が立て続けに起こり26人が亡くなっています。長崎でも大きな地震が起こりうるという意識を私たち取材者がしっかりと持ち、取材したいと思います。

  • 上原聡太

    長崎放送局 記者

    上原聡太

    平成30年入局
     警察担当、佐世保支局を経て、現在は遊軍担当として災害や原爆を取材
    趣味はロードバイク

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