「坂道をゆく」⑩ 池田 耕一郎
2022年4月14日
こんにちは。
リレー日記「坂道をゆく」の第10回です。
この連載は長崎県内の坂道を全身で体感して、長崎の歴史や文化、自然の魅力を探っていく個人的な趣味の企画です。どうぞお付き合いください。
第10回 「多良の森の坂」前編
4月10日(日)長崎県大村市で行われたトレランのレース「多良の森トレイルランニング」に出場しました。参加したのは修験者コース。総距離は40km、そして獲得標高は3400m。間違いなくタフですね。
ちなみに公式ホームページの記述はこんな感じです。
「九州屈指のアップダウンの激しいコースです。
コース上には鎖場もあり、多良山系を最大限楽しめるレイアウトになっています」
“九州屈指のアップダウン”、 “鎖場もあり”、“最大限楽しめる“というパワーワードが並びます。
ということで快晴の空の下、午前7時にスタートするのでした。
まずは、3kmほど舗装路を走って山に向かいます。
みなさんナップサックを背負って出発です。防寒着、ヘッドライト、補給食、絆創膏などが詰め込まれています。ちなみに私は水2リットルを背負っていきました。
最初のターゲットは奥に見える左側の山、標高826mの郡岳です。
今年の修験者コースの出場人数は135人です。
少しずつ集団はばらけて山の中に入ります。
登山道は狭いので一列で登ります。
前を走っていた赤いマントの選手。
近づいてみるとパーマン1号でした!
「去年、出場して二度と参加したくないと思ったが結局来てしまった」とのこと。
うーん、二度と参加したくなくなるほど、辛いのか…。この先の道中にガクガクブルブルです。
スタートから1時間10分後に郡岳に到達。
ここから先は尾根沿いにしばらく走りやすい道が続きます。ちょうど椿の季節が終わりを迎えていて椿の花が芸術作品のように落ちています。
そして、突如、現れる絶景!
随分と高いところまで登ったことが分かります。遠くに山々の稜線、そしてポツンとある山間の集落。「まんが日本昔話」のような光景を見下ろしながら日本の美しさを再認識します。ザワワと気持ちの良い風が吹き抜け、爽快な気持ちに包まれました。
しかし、このあたりからコースはタフさを増してきます。穏やかなトレイル区間はなくなり、ロープを握りしめながら登り降りします。
小さな峠を幾度も登っては降りて、登っては降りての繰り返し。そして、また登る。
スタートから2時間30分後、標高1075mの経ヶ岳に到達。すでに滝汗状態です。
経ヶ岳を越えるとコースはさらに過酷さを増します。この区間は高低差300m近くを一気に下っていきます。
気持ちよく走れる下りの道はありません。せっかく登って得た位置エネルギーは運動エネルギーに変換されませんでした。なんだか損した気持ちです。
ようやく下り終わったら今度は足元が悪いガレ場の登り。もはやヒザがガクブルです。
序盤で出会ったパーマン1号さんもヘルメットをかぶる余裕はなく、素顔をさらして「みつお君」になっていました。正体がバレたら動物に変えられてしまいますよ…。
大変なのは岩場だけではありません。足が上がらなくなると張り巡らされた木の根っこに引っかかっては転びそうになります。というか、何度も転びました。
自撮りしたら、スマートフォンが汗だくでこんな感じ。
撮り直しました。
スタートから3時間20分後。
ようやく標高870mまで下りて金泉寺に到着。金泉寺は弘法大師・空海が建立したと伝えられている由緒あるお寺です。こんな山奥に立派なお寺があり、驚きます。隣には立派な山小屋も整備されていてコーヒーなどを楽しめます。
ここが一つ目のエイドステーションです。「多良の森トレイルランニング」のスタッフやボランティアの皆さんが水、スポーツドリンク、おにぎりやカステラ!を用意してくれていました。水を1.5リットルほど補給。ありがとうございました!
このポイントでようやく17.2km。半分にも至っていませんが、すでに疲労困憊。パーマン1号さんの冒頭の言葉、「二度と参加したくないと思った」という言葉をかみしめながら、後半戦へと向かうのでした。
投稿者名:池田 耕一郎投稿時間:21:00