「坂道をゆく」② 池田 耕一郎
2020年12月4日
こんにちは。リレー日記「坂道をゆく」の第2回です。
この連載はランニングを通して、坂道を全身で体感して、長崎の歴史や文化、自然の魅力を探っていこうという、まったく個人的な趣味の企画です。どうぞ、おつきあいください。
第2回 「七面山の坂」
今回、訪れたのは七面山妙光寺です。長崎市街地(眼鏡橋)から北東におよそ3kmのところにあります。
スタート地点の中島川沿いは平たんですが、新大工町を抜けて、
鳴滝のシーボルト記念館を越えると坂の勾配がいい感じになってきます。
石畳の坂をタンタンタンと靴音を鳴らしながら上って、途中でお地蔵さんにご挨拶。
長崎市内には、こうしたお地蔵さんをよく見かけます。
お花やお酒が供えられていて、地域でとても大事にされている様子がうかがえます。
そして、坂道は先へ進むにつれて、どんどん勾配が大きくなっていきます。それと同時に道幅も狭くなっていき、
車と人がすれ違うときはお互いに譲り合う必要があります。細くカーブを描きながら、
先へ先へと続いていく坂道は大好きです。その先に何があるのか?冒険心が刺激されます。
坂道はどんどん細くなり、勾配はどんどん急になり、汗を噴き出しながら上っていくと、
ようやく七面山妙光寺の三門に到着。
ここでフィニッシュと思いたいところですが、坂道はまだまだ続きます。
「長坂」と呼ばれる階段が待ち受けています。煩悩と同じ108段あるそうです。
(長坂)
一段登るごとに煩悩が消滅するということですが、もはやしんどくて煩悩どころではありません。
ちなみに「長坂」を終えてもさらに階段が続きます。そこを上っていくと、冒頭の写真で紹介した奥の院に到着。
気がつけば、けっこうな高さまで上っています。
手元のアプリを見れば標高196m。最後の1kmで150mくらい登っている計算です。
そして、自分が上ってきた街の方を振り返ると・・・。
紅葉している木々の先に長崎湾を眺めることができます。
市街地からたった3kmの距離ですがけん噪のない静かな時間が流れています。
今年は紅葉の色づきが遅く、七面山はまだまだ紅葉を楽しめます(12月2日現在)。
違う日に七面山に上ったときはアサギマダラを見かけました。
谷からの風をつかまえて優雅に羽ばたいている様子に心が癒されました。
日常と違う風景が広がるお気に入りの場所です。
さて、坂道を下って復路の途中ですばらしい景色に出会いました。
中島川沿いで門の中から、それは、それは鮮やかな黄色が目に飛び込んできました。
光永寺の中に入ってみるとイチョウの大木がそびえたっています。青空に映える黄色に色づいた葉。
圧倒されるほどの美しさに思わず心が揺さぶられました。樹齢はいかほどでしょうか。
きっと長崎のこれまでの歴史をじっと見つめてきたのでしょう。人間なんてちっぽけな存在だと思わされます。
長崎の「上り坂、下り坂、まさか」。
次の坂道で会いましょう!
投稿者名:池田 耕一郎投稿時間:10:00