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2013年7月12日(金)

「阿寺渓谷~いのち輝く清流~」

長野県の中央、険しい山々に囲まれた木曽谷。この地にひっそりと水をたたえる“阿寺渓谷”がある。目を引くのは渓谷を流れる水の青さだ。そのエメラルドブ ルーは“アテラブルー”と呼ばれ、輝きは1年を通して途切れることはない。季節は夏。清流にしか生息しないアジメドジョウやヤマトイワナが泳ぎ、川沿いに はランの仲間・セッコクなど、珍しい花々が咲き誇る。番組では、様々な生命が輝きを放つ、美しい阿寺渓谷を見つめる。

阿寺渓谷(あてらけいこく)

長野県大桑村にある渓谷。全長15キロほど。木曽谷の山奥を源流とし、木曽川へと注がれていく。中央アルプスなど周囲の山の火山活動によって噴出した花崗岩が目立つ。エメラルドグリーンに輝く水は地元で「阿寺ブルー」と呼ばれている。
「あてら」の「あて」とは「陰」を意味し、陰の多い渓谷を意味すると言われている。

【動物(登場順)】
  • ヤマトイワナ
    サケ目サケ科。イワナの日本固有亜種で、本州中部地方の太平洋側、山岳地帯の河川に生息。
    体長 25 cm。他のイワナ亜種のような白い斑点が目立たず、側面により小型で紅色の小斑が散らばる。県内では準絶滅危惧種。
  • アジメドジョウ
    コイ目ドジョウ科。日本固有種。中部地方に分布。体長は10センチほど。
    川底に生えるコケをエサにしている。水の綺麗な清流にしか棲んでおらず県内では準絶滅危惧種に指定されている。
  • カケス
    スズメ目カラス科。大きさは33センチ。屋久島以北の山地に棲む。 留鳥として、国内に留まっている。
  • オオルリ
    ヒタキ科。大きさは16センチほど。東南アジアから日本全土に渡ってくる夏鳥。低山から山地にかけての林に生息する。オスは頭部から背、尾までの上面が青色。
  • トビ
    タカ目タカ科。九州以北の水辺から山地まで、もっとも普通に見られるタカ科の鳥。
  • カジカガエル
    本州、四国、九州
    生態:山地の渓流や、湖とその周辺の川原、森林に住んでいる。急流に流されないよう発達した吸盤が特徴。鳴き声がシカの鳴き声に似ていることから河鹿蛙と名づけられている。
  • ムササビ
    ねずみ目リス科。長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空し、樹から樹へと飛び移ることができる。160m程度の滑空が可能である。本州、四国、九州に生息し、日本国外には生息していない。夜行性で、主に樹上で生活し、種子、果実などを食べる。
  • アマゴ
    サケ目サケ科に属する魚。本州、日本海側以外の渓流などの河川に分布。渓流の中でもイワナなどとの混生を避けるため、下流域に分布する。
  • ウグイ
    コイ目コイ科。春になると雌雄ともに鮮やかな3本の朱色の条線を持つ独特の婚姻色へ変化する。婚姻色の朱色の条線より「アカウオ」や「サクラウグイ」と呼ばれることもある。この時期には川の浅瀬で比較的流れの緩やかな直径2~5cmの礫質の場所を選び、春から初夏にかけて集団で産卵をおこなう。
【植物(登場順)】
  • ササユリ
    ユリ科。本州中部から九州に分布する多年草。山地の草原や明るい森林に生育する。小さなものは根生葉のみであるが、大きく育ったものは花茎をのばし、6月から7月にかけて美しい花を咲かせる。県内では準絶滅危惧種に指定。
  • ハンショウヅル
    キンポウゲ科。本州、九州に自生する落葉性のつる植物で林床の木陰や林の縁に生える。
    漢字では「半鐘蔓」と書き、下向きにぶら下がるように咲く花の姿が火の見櫓などにぶら下げられている半鐘に似ているところから付けられた。
  • ヤマオダマキ
    キンポウゲ科。北海道~九州の山中に咲く多年草。花期は6月~7月。
  • ヒメシャガ
    アヤメ科。北海道西南部、本州、四国、九州北部に分布する。冷涼な場所を好んで咲く。
    花期は5月~6月。県内では絶滅危惧種に指定されている。
  • カワサツキ
    ツツジ科。花期は6月~7月。渓流植物といい、水の流れが速く増水時には水をかぶってしまうような環境に咲くことで他の花との競合を避けられるような渓谷の岸壁などを好む。
長野県レッドデータブック

日本では、希少な動植物保護のため90年から環境省が国際的に絶滅の恐れのある種をリストアップした「レッドデータブック」を作成。長野県でも98年から製作を開始しました。
番組内でも「絶滅危惧種」、「準絶滅危惧種」という表現をいくつかの動植物に当てはめています。以下その定義を記します。

  • 絶滅危惧種
    ごく近い将来絶滅の危険性が高い、絶滅の危険性が高まってきている種
  • 準絶滅危惧種
    現時点での絶滅危険度は高くないが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧種」の 上位ランクに移行する要素を有している種

出典「長野県希少野生動植物保護基本方針」

阿寺渓谷に関するお問い合わせ
  • 大桑村観光協会 TEL:0264-55-4566

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