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恩人への感謝を胸に奮闘 御嶽海の夏場所

  • 2024年06月13日

 

初日から5連勝をあげるなど、幕内の序盤戦をけん引した夏場所の御嶽海。中日に負ったけがの影響で終盤は黒星が目立ったものの2場所連続の勝ち越しを果たしました。奮闘の背景には相撲人生の節目を迎えた2人の恩人への感謝の思いがありました。

(長野放送局 松下周平)

奮闘の背景は

春場所では小結・阿炎を破る

ことしの春場所で2場所ぶりの勝ち越しを果たした御嶽海。5日目から大関経験者の正代や髙安らの実力者を次々と破って4連勝を挙げると、10日目には3場所ぶりの三役との対戦となった小結・阿炎との一番も制し、復調を印象づけました。

御嶽海

まあまあ、悪くなかったと思います。体がしっかり動いて、自分の思い通りの相撲が取れた

復調の背景には、ことしに入って相撲人生の節目を迎えた恩人たちへの感謝の思いがありました。

御嶽海

恩返しじゃないけれど、いいところを見せたいというのもありました

断髪式に臨んだ“兄貴分”

はさみを入れる横綱・照ノ富士

その1人が去年の夏場所で引退した36歳の元大関・栃ノ心です。ことし2月、国技館で行われた断髪式では、横綱・照ノ富士など、そうそうたる面々が大いちょうにはさみを入れ、引退を惜しみました。

元大関・栃ノ心

ジョージア出身の栃ノ心。平成30年の初場所で初優勝を果たすと、その年には大関に昇進。彫りの深い顔立ちと力強い取り口で高い人気を誇りました。

何度も稽古をともにした2人

栃ノ心が所属した春日野部屋は御嶽海の出羽海部屋と同じ一門で、歩いてすぐの場所でした。御嶽海は入門初日から、5歳年上の幕内力士だった栃ノ心に胸を借りたといいます。

御嶽海

最初は怖くて、恐怖心の方が強かったです。これだけ大きい人もアマチュアにはいなかったので、少し壁を感じました

御嶽海の悩みは、所属する出羽海部屋から自分以外の関取が長く出ていないこと。実力の近い力士と
稽古する機会がどうしても不足するなか、何度も栃ノ心と稽古をともにし、自信をつけていきました。

御嶽海

世間で言う“かわいがり”もありましたが、強くしてもらっているというのが本当に伝わってきたので、僕自身は“かわいがり”だと思っていませんし、兄貴分のような感じでした

断髪式は御嶽海も参加

断髪式では御嶽海もはさみを入れ、直接、感謝の気持ちを伝えました。

御嶽海

「ここまで育ててくれて、ありがとうございました」と、ひとこと言いました

支えてくれた付け人の引退

元幕下・海龍

相撲人生の節目を迎えた恩人はもう1人。長く付け人を務めてきた元幕下の海龍です。ことしの春場所限りで引退し、世話人として部屋には残るものの、付け人は交代となりました。およそ8年間、そばで支え続けてくれた3歳年上の兄弟子への思いも、春場所で星を伸ばすことができた大きな要因でした。

およそ8年間、付け人を務めた
御嶽海

兄弟子なので、そこはしっかり立てつつも、気兼ねなく何でも言える関係でした

勝っても負けても、いつも花道で出迎えてくれた海龍。1番の思い出を聞くと、平成30年の名古屋場所で初優勝を決めたときと返ってきました。

初優勝の直後、熱い抱擁
御嶽海

初優勝して花道で抱き合った時で、今でも鮮明に覚えています。僕の引退まで付け人をやってほしかったです

破竹の勢い見せた序盤

翠富士に勝って連勝

恩人たちへの感謝の思いを胸に、御嶽海は夏場所でも序盤から白星を積み重ねます。初日に隆の勝を押し出しで破ると、2日目の翠富士との一番では、もろ差しで土俵際に追い込まれながら逆転の小手投げで連勝を飾りました。

阿武咲を破って初日から4連勝

続く3日目は錦木を寄り切りで圧倒。4日目は阿武咲に土俵際で上手投げを仕掛けられながら逆転の下手投げで勝利をおさめました。

新しい付け人の幕下・出羽ノ城

この日の花道では、新しく付け人となった出羽ノ城とグータッチするなど心身共に調子のよさを伺わせました。

明生を寄り切って初日から5連勝

5日目は明生を相手に50秒近い一番を制した御嶽海。初日からの5連勝は3度目の優勝を果たし大関昇進を決めたおととしの初場所以来でした。31歳となったベテランは代名詞である突き押しの速攻だけでなく、粘り強さも武器に白星を積み重ねていきました。

6日目に土

6日目は宇良との全勝対決

6日目の相手は同学年で同期入門の宇良。ここまで全勝どうしの注目の一番となりました。左差しを試みる宇良に対して御嶽海はおっつけで応戦したものの、逆に左腕をたぐられて上手出し投げで土俵を割り、連勝は5で止まりました。取組のあと、御嶽海はサバサバとした表情の中にも悔しさをにじませていました。

左腕をうまくたぐられた
御嶽海

盛り上がったからいいんじゃない

アクシデント発生

中日に左足を痛める

続く7日目も星を落とし5勝2敗で迎えた中日。アクシデントが起きました。湘南乃海を押し出しで破ったものの勢い余って土俵から転落。左足を強打し、付け人らに肩を借りて花道を引き揚げました。

翌日からは左ひざにテーピング

9日目は左太ももにテーピングを巻いて土俵に上がった御嶽海。左足をかばうかのように立ち合いから左に変化して金峰山を下し7勝目を挙げました。しかし10日目は左足のふんばりがきかず、琴勝峰に押し出しで敗れました。

勝ち越しは得意の形で

前に出る相撲で勝ち越し決める

目標とする勝ち越しまであと1勝。11日目に御嶽海が見せたのは持ち味の前に出る相撲でした。左足のけがを感じさせないような鋭い立ち合いから美ノ海を寄り切りで破り、2場所連続の勝ち越しを決めました。

御嶽海

ほっとしています。きょうは自分の相撲をとれると信じていたので、それをしっかり出せてよかったです。(足の状態は)大丈夫

その後は4連敗で夏場所を終えた御嶽海。ふた桁勝利には届きませんでしたが、前半戦は大関経験者としての底力とベテランらしさを融合させた取り口で大いに土俵を沸かせました。

御嶽海が所属する出羽海部屋は6月27日から3日間、木曽町で合宿を行う予定です。上松町出身の御嶽海は少年時代から通い慣れた隣町で鋭気を養い、大勢の地元ファンが訪れる7月の名古屋場所に備えます。3場所連続の勝ち越しとなれば、およそ3年ぶり。夏場所の前半のような相撲が取れれば、ふた桁勝利、そして優勝争いへの期待も高まります。

  • 松下周平

    長野放送局

    松下周平

    遊軍で主にスポーツを担当。

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