自転車用ヘルメットあなたはしますか?
- 2023年05月25日

4月から、年齢を問わず自転車に乗るすべての人を対象に着用が努力義務となったヘルメット。町なかでは、まだまだ着けている人が少ないと感じます。では、そもそもなぜヘルメットの着用は必要なのか?調べてみると、ヘルメットにまつわる驚くデータが見つかり選んではいけないものがあることも分かりました。(長山尚史)
なぜヘルメットをする?

5月上旬、自転車専用道路がある長野市中心部でヘルメットの着用率を調べました。その結果、高齢者を中心に着けていた人はいたものの、およそ1時間での着用率は1割程度にとどまりました。着用していた人に話を聞きました。

ヘルメットをかぶることへの抵抗よりも事故に遭ったら怖いなと思って着けている。

努力義務化されて、通勤中にかぶっていないとまずいと思って着用している。急に飛び 出してきてぶつかりそうになる自転車もあるので怖い。
一方で、こんな声も聞かれました。

努力義務化になったあとヘルメットが品薄になっている。
“想像以上”の事態

そこで、自転車用ヘルメットを販売する長野市内の店舗を訪ねました。聞いてみると、この店舗では大人用のヘルメットを買い求める客が急増していて、特に努力義務化になる1か月前のことし3月には、“駆け込み需要”で売れ行きが前年と比べて5倍ほどになったそうです。その後も好調な売れ行きが続いていて、5月上旬の時点では大人用ヘルメットの入荷は未定となっていました。

高齢者や今までヘルメットをしていなかった方がヘルメットを購入されている。想像以上にヘルメットを着用しようという人が多いと感じている。
ヘルメットの効果は?

では、そもそもなぜヘルメットを着用する必要があるのか。JAF=日本自動車連盟が、自転車どうしが衝突する事故の実験を行い、ヘルメットを着けていた場合と着けていない場合での頭部への衝撃の強さを測定しました。その結果、着用していた場合はしていないときと比べて衝撃が17分の1にまで小さくなることが分かりました。つまり、ヘルメットをしていないと頭部に17倍の強さの衝撃がかかるということで、けがや死亡のリスクが大幅に高まることになります。長野県警察本部のまとめでは、2022年に県内で自転車に乗っていて事故に遭い亡くなった人は8人で、全員がヘルメットを着用していなかったということです。警察は「自分の命を守ることになる」として着用を呼びかけています。
ヘルメット着用の注意点!
一方で、専門家は、ヘルメットによっては十分な効果を発揮しないことがあるとして着用の際の注意点を次のように話します。

かぶらないよりはましかもしれないが、ヘルメットがしっかりと頭に合ったものでないと、事故のはずみでずれたりし て衝撃から身を守れない。選ぶときは何個かかぶり比べてほしい。自転車用のヘルメットは、プラスチック製のものが多く紫外線に弱いので買い替えも必要になる。購入した日を記録して3年程度で新しいものにしてほしい。自転車は、人の命が乗っている“車両”だという意識を持ってヘルメ ットをかぶる習慣をぜひ身につけてほしい。
取材後記
長野市内を取材して「まだまだヘルメットの着用は進んでいない」と感じました。着けていない人に理由を聞くと「髪が乱れるから」とか「周りの人が着けていないから」などさまざまな意見がありました。しかし、JAFの実験結果にもあるように「着けないことによるリスク」を何より1番に意識しないといけないと思います。危険性がより多くの人に伝わるように、機会を捉えてヘルメットに関する取材をして発信を続けていきたいと思います。