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丸山智己がゆく! 信州の温泉と「地熱メシ」

  • 2023年05月11日

    温泉地の数、全国2位の信州の「知られざる温泉」を俳優の丸山智己さんが旅しました。 
    お湯がないお風呂に…絶品「地熱メシ」!とっておきの温泉旅をルポします。

    知る人ぞ知る 「仲間湯」

    まず訪れたのは、松本市にある浅間温泉です。 
    レトロな空気感が残る浅間温泉は、城下町松本の奥座敷です。

    浅間温泉の歴史が始まったのは今からおよそ1300年前。 
    江戸時代にはお殿様や善光寺参りの旅人が疲れを癒し、明治以降多くの詩人や画家にも愛されてきました。

    温泉街を歩いていると目に入るのが桶を持った人たちの姿…

    銭湯らしき場所もないし…と思っていると、古民家の中にありました!
     

    「仲間湯」と呼ばれる地元の人たちが利用している共同浴場です。

    外から見ても分かりませんが、温泉街には10か所「仲間湯」があるそうです。 
    毎月数千円の会費を払えば、温泉旅館と同じお湯を、毎日楽しむことができます。

    ただ、仲間湯は一般の人はなかなか入れないそうで…

    仲間湯会長 西村 清亮さん

    西村 清亮さん
    大体入る人が固定されているから。この時間にはあの人が入る、この時間にはあの人が入る、という風に決まっています。

    暗黙の了解のような文化があるのだといいます。

    4年前東京から松本に移住してきたという中井佑太さんにお話を伺いました。 
    温泉が大好きだった中井さんは、仲間湯の存在を知ってこの街に住むことを決めました。

    中井 佑太さん

    中井 佑太さん
    最初は入り方が全然わかりませんでした。大家さんから色々話を聞いて、西村さんのところにお願いしに来ました。仲間に入れて頂いて、こういう場所に来られて本当によかったなと思います。思っていた以上です。

    地元の人たちの心も温めてきた仲間の湯。
    西村さんは、この地域ならではの温泉文化を次の世代にも残していきたいと話していました。

    本を読むためのお風呂 新しい温泉の形

    続いては、歴史ある温泉街にできた新たなお風呂をご紹介します。

    センスを感じる本屋さん… 
    でも、せっかく温泉にきたのに…と思っていると、そこに現れたのはお風呂。

    読書にひたるためのお風呂だったのです。 
    浴槽をソファー代わりに。首までつかって本を読みます。

    岩佐 十良さん

    ユニークなお風呂の仕掛け人、岩佐十良さんです。

    人気雑誌の編集長でもある岩佐さん。本社があるのは新潟県魚沼市です。
    19年前に東京から移転し、旅や食文化の魅力を地方から発信してきました。

    岩佐さんは今、地方を元気にしようと、全国各地の旅館の再生に取り組んでいます。
    読書のできるお風呂もその1つ。経営難だった老舗の旅館をリノベーションして再スタートしました。

    お風呂の仕掛け人 岩佐 十良さん
    大浴場ってみんなが集まってお風呂に入る場所じゃないですか。そこをみんなで本を読む場所に変えました。みんなでお風呂につかりながら本を読んで交流が起きたりっていうことをイメージしました。松本自体が街道の要の場所で、感覚なのですが、『地力』というか、土地の力みたいなものを感じたんです。

    お湯のない温泉 地熱風呂

    燕岳に向かう豪雪の道を進むこと1時間。
    続いては、安曇野にあるちょっと変わった秘湯です。 

    標高1400メートルにある中房温泉です。 
    ご主人の百瀬孝仁さんに案内されて中へ進むと…ぽっかりと雪がない場所がありました。

    中房温泉がある一帯は、地球の「裂け目」、活断層の上にあります。
    そこを通り、マグマなどの熱や、温められた地下水がのぼってきて、地面を熱します。
    この「地熱」が、中房温泉の雪を溶かしているのです。
    地熱で温められたお湯もあちこちから湧き出ています。

    中房温泉が開かれたのは、約200年前の江戸時代。
    以来、山仕事をする人たちや湯治客、戦後は登山客などにも親しまれてきました。

    この温泉の9代目、百瀬さんが始めたのが「新・湯治」です。
    源泉の多さを活かし、浴場を次々と新設。今では17種類ものお風呂を堪能することができます。

    その一つが「地熱浴場」

    地熱を浴びて体を温めます。
    毛布を掛けて横になると…大地の温かさに包まれてひと眠り。中房温泉ならではのひと時です。

    ワイルドにいただく 「地熱メシ」

    この日料理したのは、信州牛のローストビーフと佐久の地鶏を使った蒸し焼きです。
     

    肉に塩をふり、下味をつけます。鶏肉の中には、ニンジンや玉ねぎなど野菜を詰めます。

    牛肉はそのまま表面を焼いて焦げ目をつけます。
    どちらもアルミホイルで包み、アルミ缶に入れ、米袋におさめて向かうのは、百瀬さんが「焼山」と呼ぶ、地熱が最も強い場所です。

    地面の温度はおよそ100度!穴を掘り、肉を入れ砂をかけて埋めます。
    まさに天然のオーブン、ワイルドな調理法です。

    土の中で熱すること10時間。
    ローストビーフもちょうどよいミディアムレアに仕上がりました。

    ご主人の百瀬さんの夢は、次の世代に受け継ぐための「チャレンジ」なのだといいます。

    百瀬孝仁さん
    代々、温泉を守ったり、自然を守ったりして、やってきています。その恩恵にあずかってこういう料理を作ったりしてきているので、それを次の世代にもつなげていけるように、これからもっと面白いものを作ったり、実験をしたりしながら仕事をしていこうと思います。

    最後にひとっ風呂

    最後にもうひとっ風呂浴びた丸山さん。今回の旅の感想は…

    丸山 智己さん
    まだまだ知らないところがいっぱいあります。各地にそれぞれの温泉の文化があって、それを守っていく、次世代につなげていこうというふうに思っている方がいっぱいいて、温泉愛が強く、温泉を通じてその人たちの温かみに触れ、心身ともにほっかり。もう大満足です。

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