長野 野沢温泉の素材で「ジン」を作る オーストラリア人の挑戦
- 2023年04月11日

オーストラリアから野沢温泉村に移住し、地元で採れる素材を生かしたお酒「ジン」を造る男性がいます。地域の人たちに支えられながら、移住した村を盛り上げようと挑戦を続けるオーストラリア人男性を取材しました。
野沢温泉村にほれ込み移住

野沢温泉村で作られているジンです。森をイメージしたさわやかな香りが感じられると人気を集めています。

オーストラリア人のフィリップ・リチャーズさんです。村に湧き出る水と山の恵みを生かしてジンを作っています。
フィリップ・リチャーズさん
「野沢温泉村の水が軟水でまろやかでおいしくて、この水で酒を造ったら絶対おいしいと思いました」
リチャーズさんは25年前に友人との旅行で冬の野沢温泉村を訪れ、スキーや温泉を気軽に楽しめる村の魅力に取りつかれました。村を何度も訪れ、地元の人たちとお酒を飲みながら語り合ううちに、夢を共有できるかけがえのない友人ができました。

3年前、リチャーズさんは野沢温泉に移住してきました。そして、人と人をつなぎ、村を活性化したいと地元の素材を生かしたお酒を造る会社をつくりました。そして去年、夢だった蒸留所を完成させたのです。

フィリップ・リチャーズさん
「野沢温泉村のことを発信して観光客を呼べたら、村のためになるかなと思いました」
こだわったのは「香り」
大好きな村の良さが伝わるお酒にしたい。
リチャーズさんが特にこだわったのは「香り」です。村に広がる豊かな山や森を想像できるような香りを加えたいと、地元で採れる素材を探し続けました。

助けてくれたのは村内の山林を所有する友人でした。「クロモジ」と呼ばれるクスノキ科の木を香りづけとして使えるように提供してくれたのです。
ジンが完成!次の夢はウイスキー
去年の12月、2年をかけてお酒が完成。地元の店では、リチャーズさんのお酒を目立つ場所に置いて応援してくれました。

酒店の店主
「すごく売れています。野沢のいいものを造ってくれてうれしいです」
発売から2か月。同じ価格帯のものと比べて5倍ほどの売れ行きがあります。外国人観光客が増えてきたこともあり、おみやげとして人気が出ているのです。

リチャーズさんの次の夢は、村の名前をつけたウイスキーを造って世界に広めることです。楽しい語らいのひとときを、この村を感じられるお酒とともに過ごして欲しい。移住してきたひとりの外国人の思いが、少しずつ広がっています。
フィリップ・リチャーズさん
「お酒を飲んで野沢温泉村のことを思い出して、『また行きたい』と思ってもらえたらいいと思います」