【2018年3月9日(金)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


伊那市危機管理課の取り組み


伊那市役所危機管理課防災係の新たな取り組みをご紹介します。伊那市といいますと、このコーナーでは、去年(平成29年)の春に、狐島地区の狐島自主防災会の取り組みをご紹介しました。そのご縁もあって、私は狐島で行われた防災講演会に出席し、信州各地の防災の取り組みをご紹介するとともに、地域の方々と交流してきました。その時、防災への意識が高い方が多い印象を持ちました。 伊那市役所危機管理課防災係長の柴正人(しば・まさと)さんにお話を伺います。
柴さん、伊那市では、特に地震や水害などへの防災活動に力を入れているそうですね。


柴さん:はい、地震では、南海トラフ地震や糸魚川静岡構造線断層帯地震で、甚大な被害が出ることが予想されています。一方、水害では、平成18年豪雨の際に、天竜川の氾濫危機や大規模な土砂災害も経験しました。


Q:そういう状況の中、市として、非常に重視しているのが、自主防災組織だそうですね?


柴さん:広範囲で大規模な災害が発生した際には、行政による災害対応には数日の時間がかかるものと考えています。その数日の間に、自主防災組織の皆さんには、避難所の開設や、「自助」「共助」「公助」における「共助・共に助け合う」といった側面などで、活躍が期待されます。伊那市には、すべての地域に、184の自主防災組織があり、活動しています。


Q:伊那市では、平成30年度、防災に関するさまざまな取り組みを始めるそうですが、まずは、これまで別個に活動することの多かった市内の自主防災組織の連携を進めていくそうですね。


柴さん:「自主防災組織連絡会」という会を立ち上げたいと思っています。というのも、規模の小さい自主防災組織では、災害時の救助活動等に不安を抱えているからです。効果的な防災訓練や防災への備えなどを「情報共有」していただくことによって、お互いの活動レベルを上げていこうと考えました。平成30年5月を目途に、連絡会の立上げを行い、その後は、防災研修会や地域の活動発表会の実施などを考えています。


Q: 今まで個別に活動してきた市内各地の自主防災組織が連携を図ることで、地域の防災力アップにつながるでしょうね。この「自主防災組織連絡会」の他にも、平成30年度からはもうひとつ、「連絡会」を立ち上げるそうですね?


柴さん: もう一つの連絡会は、「伊那市自主防災アドバイザー連絡会」です。自主防災アドバイザーというのは、民間資格である防災士の資格をお持ちの皆様です。現在、市内に長野県自主防災アドバイザーの認定を受けられている方々が42名いらっしゃいます。その中からご賛同いただきました22名の会員で「伊那市自主防災アドバイザー連絡会」を立ち上げることとなりました。個々の活動内容や防災知識を「情報共有」することによって、より高いレベルの防災スキルを習得していくことを目的としています。


Q: そして、もうひとつ、伊那市では、平成30年4月に、新たな防災拠点がオープンするそうですね?


柴さん: 現在、「伊那市防災コミュニティセンター」の建設を進めており、4月に開館予定です。地域コミュニティのための市民の方が集い交流する場として使っていただくほか、防災教育のための研修会や講演会を開催する会場としても使用していきます。また、災害が発生した際、市役所本庁舎が使用できなくなった場合の災害対策本部代替施設として活用します。さらには、自衛隊や緊急消防隊、警察などの受入施設となる予定です。


Q: ここまで、伊那市の平成30年度の動きをご紹介いただきました。

ここで、以前このコーナーにご出演いただいた、伊那市狐島の自主防災組織の北原正義(きたはら・まさよし)さんもいらっしゃいますので、お話を伺いましょう。
北原さん、伊那市狐島地区の最近の防災活動はいかがですか?


北原さん: 狐島自主防災会では、防災訓練を平成30年4月1日に開催します。今回は「地域の子どもたちに防災を学んでもらう」という新しいテーマを掲げます。内容を検討するにあたっては、「ゆる〜り信州」のこのコーナーで紹介された松本市の「源池防災キャンプ」の取り組みが参考になりました。


Q: 防災の知識・経験を共有しようというのがこのコーナーの趣旨ですから、それはうれしいお話です。これからの防災のために、北原さんは何が大切だとお考えですか?


北原さん: できることならば、各地域の防災リーダーを育成する「防災リーダー育成学級」のような組織を、長野県または伊那市が立ち上げて、新しくできる伊那市防災コミュニティセンターにおいて定期的に防災を学べる機会を作ってもらえたらいいな、と私なりに考えています。


Q: 「防災リーダー育成学級」というのはおもしろい視点ですね。北原さん、これからも、狐島の防災にご尽力ください。ありがとうございます。

では、再び、伊那市役所の柴さんに伺います。これからの防災・減災を考えるうえで、柴さんはどんなことが大切だとお考えですか?


柴さん: 私は、災害時に自分の命を守るうえで一番大切なことは、まず「自分は絶対に生き残る。」という強い意志だと感じています。ただ、それだけでは、命を救うことが難しいですから、日頃からの備えが必要です。備えをするうえでは、災害の発生をイメージする「想像力」が何よりも重要だと思います。また、現代社会でだんだん希薄になりつつある近所づきあいが、「防災」によって、古き良き時代の人間関係が復活し、孤独死といった悲しい事案も防げるような社会になったらといいなぁと願っております


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