【2018年2月26日(月)放送 ゆる〜り信州 「防災の話」より】


上田 道と川の駅おとぎの里の取り組み


「上田 道と川の駅おとぎの里」で行われている防災活動をご紹介します。世話人の石井孝二(いしい・こうじ)さんにお話を伺います。
まずは、「上田 道と川の駅 おとぎの里」についてご紹介下さい。


石井さん:千曲川、浦野川の自然環境を生かした「川の駅」と「道の駅」が一体となった全国で初めての施設です。年間、およそ20万人が利用しています。公園内にはウォーキングコース、芝生広場、ドッグラン、多目的広場、子どもたちが安心して遊べる浅瀬の川などが整備されています。農産物や手芸工芸品、お土産等の物販コーナーと食堂は、地元の女性グループが運営し、地元食材を使った加工食品づくりも盛んにおこなわれています。食堂では「馬肉うどん」や「手作りチャーシューのラーメン」などの定番メニューや、季節限定メニュー、冬は、「おしぼりうどん」「とん汁定食」が人気です。また、オリジナルのソフトアイス「桑の実ソフト」や、信州ジビエバーガーの「馬鹿(うましか)バーガー」も人気です。


Q:「上田 道と川の駅おとぎの里」は、地域の防災拠点にもなっているそうですね?


石井さん:そうなんです。「上田道と川の駅」は「防災拠点」として位置づけられています。「防災倉庫」、それから主にドクターヘリの離発着に利用される「ヘリポート」、「バルクタンク」、「炊き出し用機材」「災害対応自動販売機」などが設備されています。このうち、防災倉庫には、仮設テント50張、毛布700枚、発電機付き投光器2基、飲料水、ブルーシート800枚などを保管しています。また、災害用のトイレも準備しています。施設内にある24のマンホールを外すと、洋式トイレの設置ができるようになっています。用を足すために、トイレを囲う小型テントも準備しています。


Q:そういった設備も活用しながら、平成13年からは、毎年9月には大規模な防災イベントを開いているそうですね?


石井さん:はい、「安全・安心イベント」というイベント名で実施しています。昨年(平成29年)は、19団体に参加いただき、およそ5000人の来訪者の皆様に参加いただきました。内容は、「災害対策・安全対策車両大集合」「安全スタンプラリー」「わんニャンお助け隊」「防災シミュレーションYes・Noゲーム」「防災ディスカッション」など、さまざまなコーナーを設けました。地域の防災拠点として、防災力の向上につなげられたと思っています。


Q: 参加した方からはどんな声が上がっていましたか?


石井さん: 多くの人に喜んでいただきました。「安全スタンプラリー」は、チェックポイントとした参加団体のブースでスタンプを押してもらいゴールすると、非常食がもらえるようにしました。特に、子どもたちは、この防災イベントに遊びに来るような感覚で来てくれます。友達と一緒に、防災について学べる各ブースを回り、楽しみながら防災について学んでくれました。また、このイベントに毎年参加する子どもも多いんです。定期的に防災を学ぶ機会をつくることが、地域の防災力を底上げすると考えています。


Q: 「上田 道と川の駅おとぎの里」では、9月の「安全・安心イベント」の他にも、毎年12月には「防災訓練」を行っているそうですね?


石井さん: はい、毎年12月の訓練では、地元自治会の役員さんや道の駅の会員さんを中心に、避難訓練、情報伝達訓練、緊急通報訓練を実施します。そのほか、AEDの使い方や心臓マッサージの方法を指導していただいたりしています。消防団の皆さんには「炊き出し訓練」もしていただき、参加していただいた来訪者の方と一緒に昼食を食べたりして、交流の機会にもなっています。


Q: そのほか、地域の防災拠点として、福島や熊本との交流も続けているそうですね。


石井さん: 福島の復興イベントの応援には、ここ7年欠かさず行っています。熊本で地震が起きた際には、備蓄してある水を数トン、トイレットペーパーなどの生活用品などを、2トントラック一杯に積んで送り届けました。


Q: 最後に、これからの防災・減災を考えるうえで、石井さんは何が重要だとお考えですか?


石井さん: 自助・共助・公助のあり方を、住民一人一人が認識すること。そして、関係機関のみなさまとその認識を共有することだと考えています。今後の計画としては、近隣自治会の皆様の更なる積極参加をいただき、地域ぐるみで防災意識の向上を目指したいと思います。より広範囲のみなさまと、より多くの団体や関係機関のみなさまと、「リスクコミュニケーション、つまり、災害に備えたコミュニケーションの醸成」を図りたいと考えています。


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